“欲望”という名の電車に乗って、
“墓場”と書いたのに乗り換えて、
六つ目の角で降りるように教わってきたんですけど。
“極楽”というところで。
テネシー・ウィリアムズ「欲望という名の電車」
白人、黒人、メキシコ人などが入り混じる場末の一角に住む妹を、
主人公ブランチが場違いな装いで訪ねてくる。
妹を訪ねたのは癒えることのない傷を埋めるためだった。
上品な物腰ながらも、繊細すぎるブランチの行動はつかみどころがなく、
妹の夫、粗野なスタンリーは苛立ち、ふたりは激しく対立するようになる。
彼女の真実の声を聞くことができない周囲の誤解。
スタンリーが暴き出したブランチの暗い過去と、屈辱的な暴力行為に追い詰められ
傷ついたブランチは、やっと見い出せたかすかな愛さえも偏見のために失ってしまう。
精神病院に送られたブランチが医師に言うことばは、痛切であり、象徴的でもある。
どなたかは存じませんが
あたしはいつも見ず知らずのかたのご親切を
頼りに生きてまいりましたの