布引山の緑は深く、空気も流れる風もここでは体を通りぬけるように優しい。
ハーブ香るそこで自分を解放し、安らぐ時間を得ることを期待してでかけた。
新神戸駅から徒歩5分ほど歩くとハーブ園へのロープウェイ入り口に着く。
ハーブ園への現在のロープウェイは昨年リニューアルされたという。
動きだすとぐんぐん上がっていく。
以前一度訪れた「布引の滝」も、滝つぼから流れ落ちるのが見えて壮観。
そして重要文化財に指定されている
「布引五本松ダム」も見えてきた。
上へ上るほどに神戸の街が眼下に広がる。そして空気が冷たく感じるのもこの時。
展望レストハウス
ドイツの古城「ヴァルトブルク城」をモチーフにしたという建物。そして広場。
レストランやハーブグッズのショップがある。
クラシックな雰囲気が神戸らしい。
薔薇が満開。
行き届いた手入れで咲いた見事な薔薇につつまれる場所。
どの薔薇も香りが良く、目にも華やか。
さほど広くはないが、どのくらいの色、香りがあるのだろう。
山の頂上に咲き乱れる薔薇たちはここだけで濃密な楽園を作り出している。
手前のシルバーの茎と穂はラムズイヤー。
ブルーと白のニゲラ。その奥のグリーンはローズマリー。
白い花のコリアンダー
南欧原産のハーブ。カレー料理などに欠かせない素材。
コーンフラワー(矢車草)ユーラシア原産のハーブ。
あたりに咲き乱れる矢車草は風に揺れて可憐。
こうして咲き終わろうとする矢車は感動的でさえある。
グラスハウスに咲いていたフクシアの色に息を呑む。
「女王の耳飾り」として有名だが
形状の複雑な美しさと種類の多さでコレクションしている人も。
ローズマリーとミントの葉がガラスの器に。
キッチンにこんなふうに飾られていたらそれだけで潤う場所になり
さりげない心づかいが生活を豊かにする。
そんなことを再認識させてくれたコーナー。
短い時間だったがロープウェイの空中散歩、そして目に広がった神戸の街。
広大な敷地で過ごした数え切れないほどの植物たちとの時間は
日常の中の別の時間であったような思いでハーブ園を後にした。
春の散歩は落ち着かない。終わる花、今を盛りの花、これからの花。
歩いては止まり、止まっては歩く・・。過ぎる時間は花が決めている。
上向き、前向き ツツジの色とチューリップの色と
メキシコのような色合い 地面にちりばめられた星(ハナニラ)
野生的だけれどフォルムはエレガント(シャガ) アクセサリーなら青い宝石(ムスカリ)
少しずつ香りと明るさを増していくモッコウバラ 片思いの八手の実
春の集まり
八重桜がたわわに咲いている。
花びらがひとかたまりになった房。
後ろから光を受け、淡いピンクが濃淡に染まり
雪洞(ぼんぼり)のようである。
太宰治が「津軽」に描いた故郷の思い出には、八重桜がその胸のうちを雄弁に語る花として描かれている。
太宰は青森県屈指の大地主に生まれたが、生まれてすぐに乳母の手で育てられた。
二番目の乳母・越野たけに三十年ぶりに会いに行った太宰に、たけは驚き、喜び、うろたえる。
その抑えがたいたけの狼狽は龍神様の森に咲く桜の
小枝に向けられ そしてたけはやっと話し始める。
「まさか来てくれるとは思わなかった。小屋から出てもお前の顔を
見ても、わからなかった。修治だ、と言われて、あれ、と思ったら、
それから、口がきけなくなった。」
ここのくだりは涙ぐむ思いがするが、生母の愛情を知らずに育った太宰にとって
たけの存在は故郷であり母であることをかみしめた平和のひとときであった。
無言だった壁に光がさした。
たったそれだけのことなのにこの明るさの中に花をあしらいたくなった。
残っている花はわずか。
ただ楽しいだけではないけれど、とくべつ曇る気持ちでもない。
それでも春が送ってくれるひかりは自分の何かを
回復してくれるようだった。
so young なひかり。
透ける青いグラスに真っ青なデルフィニュームベラドンナ。
ひかりを背にはっきりする色と溶ける色と。
今年もこの日がやってきた。
桜が満開に咲き競うなか、人はこのつかの間の美にその時の思いを込めて木の下に集う。
釈迦が生まれた八日は花祭りの日。
この日を祝って花御堂に据えられた釈迦像に今年も甘茶をかけ、無事でいられることを感謝した。
写真は目黒区・祐天寺の花御堂と桜
祐天寺境内の桜を見て春の陽と桜の花びらを楽しんだあと、芝の増上寺へ足を延ばした。
日曜日と満開の桜とでどこも人でいっぱい。
バスで通りかかった目黒川は黒山の人だかりで、桜よりも人のほうが多いくらいだ。
芝・増上寺の花御堂
本堂前ではお祭りのイベント。
そして境内は屋台とテーブルが用意され人がぎっしり。
花御堂は正面入り口の右側にひっそりと設置されていた。
ここでも甘茶をかけ、自分が息災であることを感謝し、早々に人混みから離れた。
東京タワーに桜。カメラを向けていたら飛行船が飛んできた。 一瞬の光景。
春の絵筆はあざやかに、そしてやさしく今日の花祭りを彩っていた。
ユーカリとペッパーベリーで生けてみた。
丸いユーカリの葉は短く使うとかわいらしい表情で
ボリュームも好きなように調節できる。
このペッパーベリーは半ドライ。
外はとても寒い。
あるかなきかの雨音。
葉は色づき、日が落ちるのが早い。
秋の風景ではあるが暖かくて肌で季節を感じることが出来ない。
出回っている花で秋を集めたけれど
冷気が流れる山の木や草は今どうしているのだろう。
使用した花
ダリア、カーネーション、クレマチス、ダイアモンドリリー、ダスティミラー、
カール、ゲイラックス、ユーカリ