森見登美彦さん、『四畳半神話大系』

 森見作品もこれで3作目なので、とりあえずお腹一杯。『四畳半神話体系』、森見登美彦を読みました。

 “猫ラーメンは、猫から出汁を取っているという噂の屋台ラーメンであり、真偽はともかくとして、その味は無類である。出没場所をここで明らかにするには何かと差し障りがあろうと思うので、細かくは書かない。” 11頁
 
 所謂オムニバス物…です。周到な仕掛けがありまして、かなり楽しめました。4話からなっているのですが、その話同士の関係性とリンクに面白い試みがあるのです。
 相変わらず登場人物たちがすこぶる愉快で(樋口師匠やらあのお方は、『夜は短し』でも登場するあの人たちなのね?)、文章も魅力的です。そして、何度も何度も出てくる猫ラーメンが兎に角すっごく美味しそう! 猫ラーメンのブラックな味、大いに気になるところ。

 そう言えば学生だった頃、ある教授から「大学生はモラトリアム状態」なのだと言われて「なるほど…」と思ったものだけれど、それは兎も角としても、学生という立場は確かにある意味曖昧で不思議ですね。変なエネルギーがあるみたいで、持て余していたり、無駄に爆発させて誰かとぶつけ合ったり…しているのかも。そんなことが出来る時期は人生の中でもきっと限られるし、それはやはり特殊な限定期間であるような気がします。
 で、それが極端な例になると、この作品の登場人物たちのように、傍から見れば凄まじくくだらないようなことにさえ、血道を上げたりしちゃう訳でしょう? だから題材として面白いのかなぁ?
 (2007.2.8)

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )