今日は雨の中、へしこスパゲッティ

7月26日、日曜日。 曇り時々雨。 
 てっきり梅雨明けしたものとばかり思っていたのだが、どうやらそれは別の地域の話であったらしい。 ああ、そうでなくても短い夏が…。 

 今日は二人して、なかなかなかなか無為に過ごしてしまった。 お昼ご飯を済ませた気だるい昼下がり、私が先に眠くなってしまって昼寝(ああ、ひゅるる~と底なし穴に落ちていくようだった)。 夕方近くになり目を覚ますと、だーさんが爆睡中であった。 何だかな…。 無為って奴は、割と好きなのだけれどもー。  

 午前中の内に車で買い出し等をサクッとこなし、さてさて近くの喫茶店で昼食を…と目論んでいたところに足止めの大雨であった。  

 
 雨脚が弱まったところを見定めて、もう一度家を出る。 傘をさして水たまりをよけよけ、二人で向かったのは最寄りの駅前。 生憎の雨にあった観光客らしき人々が、駅の周辺でたむろしているのを横目に。

 かつて、小旅行でこの地を訪れた時から、「これは目をひくなぁ…」と感心していた喫茶店。 目をひく理由は簡単、こちらの看板おじさんである。
 ←実は、微妙に傾いている…。 
 しかし、如何に看板おじさん一人がこちらの気を惹こうと常に立ちっぱなしで頑張っていようとも、要するに普通の駅前の喫茶店だろう…と、おざなり気味に決めつけていつも通り過ぎていたのであった。 が、最近になって、こちらのお店にて“へしこスパゲッティ”なるものがいただけると知り、今回二人してそれを目当てにお邪魔してしまった次第であるー。

 はいこちら、「Pine」というお店でっす。 
 間口が狭いものの、存外奥行きのあるお店。 私たちは奥のテーブル席に着かせていただいた。
 で、まずビール。

 オーダーは、始めから決まっていたのですんなり。 サンドイッチやカレーも色々あるのだけれど、種類が多いのはやっぱりスパゲッティであった。 その内容はあくまでも喫茶店メニュー(たらことか明太子とかイタリアンとかナポリタンとかインディアンとか…)ではあるが、量がちゃんと3段階になっているのはありがたい。

 ちなみに“へしこ”とは要は鯖(主に)の糠漬けのことで、例えばそれを日本酒などに合わせてつまんだ日にゃあ、これがもう酒呑みには堪えられない乙な味…! …なのだけれど、今日はあえてスパゲッティの具材で…。

 手前が私の頼んだ“へしこスパゲッティ”のSで、奥に写っているのがだーさんのMサイズのもの。 …じ、実は、たいして量が違うようには見えなかったのじゃが…(はてさてふむ)。 
 へしことトマトソース?という驚きの組み合わせのお味は、なぜか梅干しを連想させたのであった…。 ふふふ、私は好きですこういうの。

 喫茶店のスパゲッティなんて、名古屋で働いていた頃にいただいて以来であった。 名古屋といえばもちろん、玉子が敷かれた鉄板でいただくイタリタンとかね…(懐かしいよう)。
 だーさんが、パスタだけでは量が足りなかったと言うので、駅の売店にて焼き鯖寿司を一本買う(ここだけの話、焼き鯖寿司のおススメは塩荘!)。 帰宅後、美味しそうに頬張るだーさんの隣で、私は一切れ。 美味なり。

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お寿司♪ 「寿し 丸勘」

7月18日、土曜日。 曇り。 
 引っ越してきた当初は、涼しいのを通り越して「5月なのに寒い!」と思った地(ここは敦賀)であるが、梅雨が明けてからはだんだんに夏らしくなってきた。 今日の空は曇り空だったけれど、風もあったけれど、日傘でお出かけ。 

 そしてお昼ご飯は、またまた近場のお寿司屋さん。 最初に向かったお店はやっていなかった(夜のみの営業かも)ので、すぐに次の候補店へと向かう。 なんか、大好きなエスニック系のお店とかは全然見付からないのに、お寿司屋さんにはことかかないぜ…(あと、蕎麦屋ね)。
 

 はい、やってきましたのは「寿し 丸勘」でっす。  
 お店の前の打ち水が、涼しげで何だか気持ち良かった。 すがすがしい。 
 12時ちょい前に着いたら暖簾が出ていたので入らせてもらったのだが、やっぱり少しばかり早過ぎたかも知れない。 私たちが店内に入ると同時に、カウンターの端っこで新聞を読んでいた人影が、すばやくカウンターの向こう側へ…。  

 カウンター席を横目にテーブル席に落ち着かせてもらい、店内をきょろきょろ。 詳細なお品書きはなくって、だいたいセットで頼む感じらしい。 でも私たちは酒呑みなので、やはり肴からはじめたい…。


 うひひ、だーさんが頼んでくれたお刺身。 こちら側の希望は「3種くらいで少なめでいいので…」、それで出していただけたのが鯵とスズキとアワビ。 旬のもの♪
 貝好きな私が喜んだのは言うまでもなく、だーさんが絶賛していたのがこの小振りなアワビ。 決して硬すぎないコリコリした歯ごたえが、何とも絶妙な塩梅であるー。 もちろん、肝も堪能。

 いつものようにビールをおかわりして(だーさんは熱燗←夏でも?)、いよいよお寿司を頼む。 うひひひひ。
 少しだけ、ネタを見せてもらいながら大将さんと話させてもらった。 「この貝は何ですか?」「バイ貝です」「ああ!」…。 そしたらば、今日はイカが良いとか地の物のおススメは海胆とか。

 こちら、だーさんの上にぎり。 ここにもアワビがあって、だーさんはとても美味しそうに味わっていた。
 にぎりの一つ一つは小さめ。 美しいなぁ…。

  私は、おススメのものを5貫ほど握ってもらった。 おお、ちゃんとおススメのイカが♪
 貝好きなのがばれていたのか、5貫のうち2貫が貝。 

そしてちょっとビックリしたのが蟹。 今は旬じゃあないはずだけれど、やっぱりこの辺は蟹が有名だからかなー。 私たち、ひょっとしたら観光客だと思われていたかも…。 
 蟹味噌がね、これまた旨いのだー。 むほっ。

 いただいたもののどれもが本当に美味しくって、これまた良いお店が見つかった。 お店の方たちも感じが良かったし、程よく上品な雰囲気の中でゆるゆると過ごさせていただいた。 ご馳走さまです♪ 

 風が強かったので、暖簾がはためくはためく。 ぱたぱたぱた…。  明日はちょっくら地元。
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堀江敏幸さん、『彼女のいる背表紙』

 気持ち良く整頓が行き届いた本やさんや図書館の書架に、はたまた何かの折にちらりと垣間見た誰かの本棚に、綺麗に整列した数々の本の背表紙たち。 その、様々な書体によるタイトルを負った一つ一つの背表紙の向こう側に広がる、その世界の果てしなさを思うと、その奥行きの深遠さに思いを馳せると、ざわつく憧れで胸がいっぱいになってしまうことがしばしばある。 
 だからこの、何とも素敵なタイトルには惹き寄せられてしまった。 「はてどんな内容だろう?」と気になってしまった。 堀江さんの書いたものを読むのは、この随筆集が初めて。

『彼女のいる背表紙』、堀江敏幸を読みました。
〔 背表紙のむこうに、彼女がいる。 逆を言えば、そこにしかいない。 すぐ近くなのに遠く、遠いのにひどく身近な友人のように。 書物のなかの「彼女」と書き手の生きた道すじを静謐な筆致で重ね綴る。 『クロワッサン』誌で好評を博した、上質な随筆集。 〕

 遥か遠い日々に、自分が何度も何度も繰り返し読んだ本があったとして、もしも今その本が目の前にあったならば、ただもう一度手に取ってページを繰るだけで、かつて出会った懐かしい人々に、少しも変わらぬそのまんまな人々に再び会える――ということ。 懐かしい彼らの上には時間が流れないのに、ただこちら側にいる私だけが着々と年を取り変わっていく――ということ。 考えてみたら、何て不思議な付き合いだろう…。 現実にはあり得ない、でもだからこそ、とても大切な付き合いになったりもするのだなー、おお。 いつまでも心に棲む。

 ふとした折に其処此処の引き出しからこぼれ落ちてくる、読書の記憶。 物語の中で出会った、「彼女」たちのことについて。 記憶の中の彼女たちのことが、一篇に一人ずつ紹介されている。 物語の内容についてもかいつまんで触れられていくのだけれど、それらを読んでいてふと興味をそそられることはあっても、とりわけ特定の本を勧められているという気分にはほとんどならない。 だから、これはやっぱり随筆集なのだなぁ、と思った。
 ここにとりあげられている物語たちには、あまり華やかな色彩はない。 語られる「彼女」たちの姿も、慎ましく凛とした佇まいにはとても静かな印象がある。 どれも古い作品にまつわる話だと思いながら読んでいる所為なのか、或いは懐かしい事柄を語る温かな筆致の色合いが滲むのか、一篇一篇がセピア色に縁取られているような気がしてくる。

 実際の彼女たちに会ってみたいとも思う。 この一冊でいいようにも、思う。 堀江さんの眼差しを通した彼女たちの姿だけでも。
 …と言いつつ、マダム・ドダン(『木立の中の日々』)は素敵過ぎる。 あと、エミリ・ディキンスンの詩篇はホンの少しの引用であったにも関わらず、胸に刺さって忘れがたい。 そして、ナジェージダさん(『流刑の詩人・マンデリシュターム』)の格好良さ、それからそれから…。 
 あ、堀江さんの小説も読んでみたくなったのであった。
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蕎麦日和♪ 「千束そば」

7月12日、日曜日。 晴れ。 
 雨が降ろうと風が吹こうと私は、お蕎麦をいただいたならば強引にその日を“蕎麦日和♪”にする心づもりでいるのだけれど、今日は天気予報が大きく外れてほぼ一日中晴れ!であった。 ううむ、あの雨マークは何だったんだろう…。 
 今日はお天気が悪いと思っていたので、近場でお昼ご飯にする予定にしていたのであった。

 何週間か前になるが、割と近くに人気の蕎麦やさん(行列が出来るんだってさ)があるとのことで足を運んだ(徒歩20分くらい?)。 かなり開けっ広げな店内で、やたらと量の多いお蕎麦が出されてくるお店だったので、ちょっと期待外れに終わったのであった。 
 さてさてさて今日のお店は…?

 それにしてもお蕎麦が続く。 今日は近場の、「千束そば」でっす。
 店内は、テーブル席よりも座敷席の方が多そうな感じ(奥は見えなかったのでわからないけれど)。 私たちは、ちょうど良いタイミングで空いた手前の座敷席へ。 広いスペースではないものの、ちゃんと仕切りがあるのはとても有り難い。
 ふふふ、ビールが嬉しい季節になってきた。 
 肴にできる一品料理が充実していることは、私たちにとってはお気に入りになるお蕎麦やさんの必要条件かも。 肝心なのはお蕎麦!なのは決まりきっているものの、どうしてもそれだけでは味気ない…。
 むふふ、色々ありますな。 今日は初めてなので、定番で。

 だし巻き玉子。
 大きな二切れ、ほんのり甘い優しいお味。 
 だし巻き玉子を前にすると、しばし“だし巻き玉子”談義になってしまう。 「だし巻きに醤油をかけるのは、もしかして大阪だけ?」とか、「大根おろしも付いてないのは、かなりシンプル」とか、「だって〇〇のだし巻きは…(あーだったこーだった)」とか。 他人が傍で聞いていたら、すっごくどーでもいいような内容の会話だろうなぁ…。 

 野菜天ぷら。
   

 ビールをおかわりして(だーさんは冷酒)、ゆるゆるとお蕎麦を頼む。 ぎりぎりまで迷っていただーさんは、「お好み五段そば」。
 お蕎麦は、二八蕎麦。 こんな風に並べられるととても美味しそう…ではあるが、私はとろろが食べられないのでこれは頼めないなぁ。 とろろ、挑戦するのも怖い…。

 私が頼んだのは、「牛おろしそば」。 隣の壁の貼り紙メニューだったので、おススメなのかな?と思い選んだのだけれど、ふふふ、お肉が硬くてちょっとビックリした…。


 でも!十割蕎麦にしたので、お蕎麦が美味しくって満足~♪  おつゆはやや甘め。 蕎麦湯で薄めて最後まで堪能したのであった。

 ここは、自宅から歩いて15分ほどだろうか? とりあえず、近場にい~い感じのお蕎麦やさんを押さえられて良かった♪  だーさんも気に入ってくれたし、あとはイタリアンのお店とインドとベトナムと…(絶対に無理です)。 うーん、外食は和食系に傾くかなぁ…。 
 あ、そう言えば「ヨーロッパ軒」にまだ行っていない(ここも近い)。 数年前に一度だけいただいたことのある、ソースカツ丼の有名店。 またいずれ。
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蕎麦日和♪ 「今庄そば 忠兵衛」

7月5日、日曜日。 晴れ後曇り。 
 駅から遠く離れた場所に住んだことがない(常に徒歩5分前後)。 電車を利用することが生活と切り離せない、ずーっとそんな感覚で今まできた。 そしてそれはここでも変わりなく…なのだが、普通が一時間に一本(!)という土地に住むのは初めてなのよ。 一本乗り遅れたら次は一時間後(とほっ)という不便さには、なかなか慣れない。 お出かけに、今一つ気軽さが減るように思うのだが。 …ぶつぶつ。 
 だから例えば今日の朝も、だーさんの「10時40分に乗るよ」の一言で、ばたばたばたたっ…と毛づくろいをしなければならないということになるのだ。 それに乗れなかったら、次はほぼ11時40分なのだもの。 …で、何とか間に合いましたけれども、夥しい女の子集団と一緒に電車に乗りました(後で調べたら、関〇ャニ∞のコンサートがあったらしい)。 気合いが入っているのは痛いほどよくわかるけれども、結構野暮ったい女の子の集団だった…(だーさん、困惑の極み)。 むんむん。

 
 さて、この辺りには、越前そばというご当地そばがある。 以前旅行中にもいただいたことがあるおろし蕎麦が、定番のいただき方であるそうな。 そしてその中でも今庄で作られるお蕎麦が格別であったため、それは「今庄そば」と呼ばれるブランドになったらしい。 今ではほとんどの今庄そばのお店が、場所を移ってしまったとのことだけれどね。
 はい、今日私たちがやってきましたのは、今庄駅前にある今庄そばのお店「今庄そば 忠兵衛」でっす。 
 
 開店時間ぴったりに到着してしまった…。


 奥の座敷には池のあるお庭が拝見出来る席も設けられていたが、そこは予約席だったので私たちは手前の方のテーブルへ。 そしてビール。
 瓶と缶しかなかったので、瓶を並べてみた。
 
 酒呑みに嬉しい一品料理のお品書き。 
 

 岩牡蠣の酢の物。
 わーい、岩牡蠣♪

 そして、〆鯖。
 これも美味。

 お品書きによると、これは「わさび漬け」。   想像していたのとは違ったものの、鼻に抜ける辛味がよい塩梅。

 そして、ゆるゆるとお蕎麦を頼む。 お店側としては本当は、混んでくる前にまとめて注文して欲しかったみたいだけれど、私たちは先ずはゆっくり呑みたい派なのでマイペースになってしまう。 そのかわり、待たされても怒らないから。

 私が頼んだ「なめこおろしそば」。 奥はだーさんの「おろしそば」。  一皿の量が少ないのは、越前そばの伝統らしい。 でも、どうしてそうなったのかはわからない。

 今まで頂いた越前そばは幅広でこしが強く、それはそれで美味しいけれどいわゆる洗練された繊細なお蕎麦とは違うものだった。 万人受けするお蕎麦、というか。 それに比べるとこのお店のお蕎麦は、もっと本格的な感じですっごーく美味! うーん、おいしいよう…。

 さらに「そばずし」も。 三つ葉とウナギと玉子の組み合わせ。
 蕎麦ずしは、お店によって工夫の仕方が少しずつ違うから、ついつい食べ比べたくなってしまう。 ここのは、三つ葉の使い方が好きだった。 お蕎麦が少なめだったので、この蕎麦ずしを二人でいただいてちょうどいい感じかな。

 やはり人気のお店らしく、いつしかお客さんがどんどん増えていった。 電車の時間までどうしようか…と言いつつ、お店を後にする。
 ←看板猫。  
 とにかくとにかくお店が少なくって(情報も少なくって)、なかなか思うような外食が出来ない中、今日のお店はまた行ってみたいと思う。 時期になると、ジビエなんぞもあるらしい(だーさんは苦手そうじゃが)。

 食後、少し周りを散策。 ビールの後でにごり酒まできこし召しただーさんは、早々に駅舎で休憩してしまった。
 このレトロな建物は、その名も「昭和会館」。 かつては宿場町として栄えた界隈とのことで、本陣の宿泊場なども残っていた(古色蒼然な佇まいがちょっと怖かった…)。 夏の陽射しの下、ぽっかりとそこだけ時間が止まってしまったかのように見えなくもない、長閑な町並があった。
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