パトリシア・A・マキリップ、『妖女サイベルの呼び声』

 初マキリップ、堪能した。『妖女サイベルの呼び声』の感想を少しばかり。

 えも言われぬ独特な雰囲気が、とてもよかった。深い森の中に姿をあらわす、美しく優雅な幻獣たちの姿が忘れがたい。氷の白に焔の赤、鬱蒼たる森の深い緑、竜の眠る黄金の褥(しとね)…。冬を思わせる色調がまなうらに残る。冷たく沈んだ雪のような白に、時折鮮やかな色がにじんでいる。
 象牙色の髪の妖女サイベルは、祖父や父や自身が呼び寄せた幻獣たちだけを友に、ひっそりと山の奥深くで暮らしていた。吟遊詩人のようにバラッドを吟唱する赤い眼と白い牙を持った猪は、あらゆる謎の解答を知っている(ただ一つの例外をのぞいて)。煌めく宝物を守る竜、ライオンのギュールス、青い眼の隼ター…と言った、神話めいた姿で数々の伝説や語り草をまとった幻獣たちがサイベルをとり巻いている雰囲気が、とても好きだった。一幅の幻想的なタペストリーを眺めているみたいだった。

 最初は魔術に励むばかりで人がましさに欠ける印象だったサイベルが、物語が進むにつれて変わっていく。エルドウォルド国の王子タムを慈しんで育てることによって愛を知り、やがて人の世の争いからも無縁ではいられなくなり、憎しみを知る――。彼女の心の中の揺らぎや変化、心持ちに深みが増していく過程を丁寧にたどっていく描写には、いつしかひき込まれていた。
 不思議な魔法の力を持つ美しいサイベルを求める者たちの思惑や、愛と怖れの中に身を置いて、サイベル自身も氷の心のままではいられない。けれども自由で誇り高い、己の核の部分は決して変えられない。ゆえに、冷酷な復讐もためらわない。たとえ愛する者たちを、傷付けることになるとしても…。いったいサイベルはどこへ向かっているのだろう?どうなってしまうのだろう…?と、後半の展開から目が離せなかった。
 終盤における、幻獣たちの活躍が素敵! 快哉!
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11月29日(月)のつぶやき

05:46 from web
おはようございます。こーしーなう。夜中に目が覚めた時にちょっと気持ち悪い…だったのだけれど、何とか軽減したようだ。お弁当作れないかと思った。
07:45 from web (Re: @catscradle80
@catscradle80 ううーん、『逆光』は買わないと辛いですかぁ…(涙)。それは参考にさせていただきます。すでに積んでいる『M&D』が場所ふさぎなのですが(苦笑)。でも、面白そうですねぇ。
09:12 from web
カロリミットのお試しセットが届いたので、お試しする。この手のサプリメントは昔からあるけれど、期待度が違うわー。
15:27 from web
急に雨が降り出して、下の道を集団下校中の小学生の悲鳴がここまで届く…。すごい、大粒で冷たいんだろうなぁ。大丈夫かな。…おおおお、雷まで!
15:31 from web
雨宿りしてるかなぁ…。てか、私も出かける気が失せるよう。
17:07 from web
わ~い♪ 初マキリップ読み、すっごくよかった! なんだか思っていた以上に独特な感じがしたのだけれど、ファンタジィをそれほど読んでいないのでどこがどうとうまく言えないわ。あと、感想が書き難い、ファンタジィって…(ぶつぶつ)。
17:10 from 読書メーター
【妖女サイベルの呼び声 (ハヤカワ文庫 FT 1)】を読んだ本に追加 http://book.akahoshitakuya.com/b/4150200017 #bookmeter
18:18 from web (Re: @shiki_soleil
@shiki_soleil は~い、楽しみました♪ ああ、特に独特、そうだったんですねぇ。幻獣たちの雰囲気とか深い森に囲まれた世界とか、とても好きでした。マキリップ、少しずつ読むのが楽しみです~。
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11月28日(日)のつぶやき(福井でイタリアン、「トラットリア チャオ」)

06:01 from web
おはようございます。こーしーなう。今日は福井市まで出かけて映画→ごはん、の予定なので早めに起きている。高い急行を避けて鈍行で行こうとすると本数が少なくって不便。早く着くのしかないんだもん。ぶつぶつ。

 ☆    ☆    ☆    ☆

 (後日追記)この日のお昼ご飯は、福井駅から歩いて少しの「トラットリア チャオ」にて。
 映画を観終わってからお邪魔したのだけれど、まだまだ混んでいた。
 前菜の盛り合わせ。

 能登かき 香味パン粉焼き。

 だーさんの選んだ、タコのピリ辛トマトソーススパゲッティ。

 私の選んだ、ポルチーニ茸たっぷりのクリームソース リングイネで。
 きのこが大好きなので、これは満足~♪だったよ。
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11月27日(土)のつぶやき

07:54 from web
おはようございます。こーしーなう。昨夜の「球形の荒野」は、例によってぼんやりとしか憶えていない…。見直しか。
07:57 from web
『チボの狂宴』も、なかなかの高額。圧倒的な大長篇小説、ですから。うーん。
14:04 from web
今日のお昼ご飯は、以前だーなさんが買ってきてくれた信州の新そば♪ 薬味をたんもりそろえて、出来あいの天ぷらを添えて。お腹いぱ~い。
14:07 from web
買い物のとき、だーなさんの用事で本屋さんに寄ったので、クウネルと山田風太郎も購入した。山風の扉を開ける日が、いよよ近い…?
20:30 from web
つまみに伍魚福のチーズパンチェッタなう…。ふふふ。
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ナタリア・ギンズブルグ、『モンテ・フェルモの丘の家』

 久しぶりに須賀さんの訳。『モンテ・フェルモの丘の家』の感想を少しばかり。

 モンテフェルモの丘の家〈マルゲリーテ〉で、楽しく愉快に過ごしたあの頃。ただただ自由を無駄遣いしていたかつての放逸な日々を、共に過ごした気の置けない仲間たち――。この物語は、そんな主人公たちが取り交わした手紙の数々から成っている。
 ルクレツィアの最後の手紙の結びが、切なくてとても素敵だと思った。それだけでホンの少し、すくいになった。

 …とは言ってもやはり本を閉じた時には、やるせない思いばかりがとりとめもなく胸の中に広がった。虚ろな目に沁みる淋しい西日のように。「あの頃はよかったわねぇ」と、自分にとってのとっておきな“あの頃”を、幾度も振り返っては懐かしむばかりな誰かさんの足元。そこに届く弱々しいい光、それは人生の斜陽だから。大きなお祭りがすっかり終わってしまった後の、残りの日々をただ淡々と倦んでやり過ごさなければならないことに気が付いて愕然としている人たちの声が、一通一通の手紙の中で、あぶくのように浮かんでは消えていくのだ。そんな彼らの呟きは、浅はかだったり健気だったり独りよがりだったり、愚かだけれど可哀想で愛おしかったり…するのだが。

 家族とは何か…。多かれ少なかれ大抵の人は、家族の存在を己の拠り所にしていたり、いつもそうであって欲しい…と願っているものなのだろうか。堅固な絆で守られた、いつまでも変わりなく自分を迎えてくれる場所として、心から信じているものなのだろうか…? ここに描かれていた家族のありさまは、全く真逆だった。
 身につまされるほどやり切れない、流動的に移ろっていく暫時的な家族の姿。確かなことなど欠片もない。常に親しい友人たちに囲まれていた家族が、最後にはばらばらに脆く崩壊していく過程が、彼らが取り交わす手紙の中では、残酷なまでに浮き彫りにされている。息子から逃げ続ける父親、子育てを放棄した母親、自分たちの都合で子供たちの居場所をまるで家具のように移し替える大人たち、浮気を咎めない“開放的”な夫婦の欺瞞と破綻……。そして、はっと気が付いた時には櫛の歯が欠けたように、人が少なくなっている。目の前にいるときには大切にしようとしなかった家族の命が、惜しむ間もなく失われていく。あまりにも儚い。
 この物語の先に希望が残されているのか、正直なところ私にはよくわからない。それでも、残された人たちはこれからも生きていくのだから、どこかしらに希望を見出していくのだろうと思う。ルクレツィアの最後の手紙の結びを読んだ私が、何となしに救われる思いがしたように。
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11月26日(金)のつぶやき

08:16 from web
おはようございます~♪ てっぱん、おばあちゃんが笑ってた…。泣けるぜ、ぐしっ。
13:32 from 読書メーター
【モンテ・フェルモの丘の家 (ちくま文庫)】を読んだ本に追加 http://book.akahoshitakuya.com/b/4480034277 #bookmeter
16:59 from web
生欠伸をするたびに涙がにじむ。うるうるうる。そして目尻の化粧が落っこちる。
18:11 from web (Re: @hanakochia
@hanakochia @shiki_soleil ナジャって、敷居が高いと思ってました!(アンドレ・ブルトンだし…みたいな・笑)。hanakoさんのチェック入りでしたら、次の私の当番で候補持ち越ししてもいいですか…? えへへっ、今すっごく悩んでるんです~。
18:18 from web (Re: @catscradle80
@catscradle80 山田風太郎って同じく未読なのですけれど、ちょっと興味があります。とても惹かれるタイトルですねぇ。デビューにちょうどいいかも…?(笑) あ、でもいきなり上下巻ですかぁ、むむ。
18:35 from web (Re: @catscradle80
@catscradle80 子供の頃にテレビで「魔界転生」(沢田研二が天草四郎という…)を、エッチだなぁと思いつつ結構面白くて夢中で見ていた記憶はありますが(笑)。一緒に読みましょう読みましょう♪
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上田早夕里さん、『華竜の宮』

 短篇集で受けた鮮烈な印象が忘れがたく、こちらの作品を読んでみた。『華竜の宮』の感想を少しばかり。

 ツキソメとユズリハの寄り添う和声が、唄が、いつまでも響いて離れない…。素晴らしい読み応えだった。
 ほとんどの陸地が水没し、多くの物が失われてしまった25世紀。人類は陸上民と海上民とに分かれ、大きく異なる文化のもとで各々の生活を送るようになっていた。それは、高度な情報社会に守られた陸地や海上都市での暮らしと、海で漁をしながら〈魚舟〉に居住して常に様々な危険に晒されている環境下でのそれとに、酷くかけ離れたものとなっていたのだった。それでも、人類が迎えた第二の繁栄時代は、微妙な均衡を保ってそのまま続くかのように見えていたのではあった、が…。
 タグなし船団のオサ・ツキソメ、洋上のトラブルを担当する外交官青澄、海上民でありながら海上警備隊の隊長であるタイフォン…といった立場の全く違う登場人物たちの物語が、時に重なりながら交互に語られていく。一つの扉が開くとまた次の扉があらわれ、またその扉が開くと…といった具合に、次から次へと驚きの展開が待ち受けているので、はらはらしながら頁を繰っていた。

 明るい未来とはとても言い難い世界を見せられているはずなのに、なぜか心惹かれてやまない光景に幾度となく胸を揺さぶられた。それは、大きな〈魚舟〉たちの泳ぐ不思議な海の眺め。そもそも〈魚舟〉は海上民である一人一人の双子の〈朋)として生まれ、後に乗り手としてヒトとの契約を結ぶこととなる(ただし、生き延びて戻ってくる魚舟は限られている)。この、〈魚舟〉という一見とても風変わりな設定には、むしょうに心を捉えて離さないものがあった。回帰とか共生とか唄とか絆とかそういったイメージが一度に同時に喚起される、そんな見事な造形の所為もあるのかも知れない。〈朋〉であり異種でもある乗り手と魚舟が心を通い合わせる様子には、何か懐かしさすら感じてしまう。

 異種でありながら強い繋がりを持つパートナーとしては、陸上民とアシスタント知性体という組み合わせも、この物語の中で重要かつ印象的な役割を持っていた。陸と海とに橋渡しをしようと努める外交官青澄の物語を語るのは、彼のパートナーとして長い付き合いをしてきたアシスタント知性体なのである。アシスタント知性体の本体は電子機器の塊…ではあるのだが、無機的には割り切れない信頼関係や友情がそこには確かにあるようで、興味深かった。
 海上民と魚舟、陸上民とアシスタント知性体、そしてツキソメの存在。人間も魚舟も獣舟も人工知性体も同じ命としてとらえようとする、共生の祈りの唄が物語全体で響いているようにも感じたのだ。エピローグまできっちりなのも嬉しかった。
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11月25日(木)のつぶやき

17:41 from web
BONNIE PINKと斉藤和義の「真夏の果実」でしみじみなう。一旦帰宅しただーなさんは、一緒に少し呑んでから送別会に行ってしまったよ。
17:43 from web
斉藤和義は、昔の尖がってる歌の方が好きだなー。
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11月24日(水)のつぶやき

09:58 from web
美味し~いトリュフチョコ一粒と、温かコーヒーで一息いれて、これからしばらく本読み♪
16:37 from 読書メーター
【華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)】を読んだ本に追加 http://book.akahoshitakuya.com/b/4152091630 #bookmeter
18:01 from web (Re: @hanakochia
@hanakochia あっ、お帰りなさいませ~。夏のようなところでノルウェイの森ですか?と思ったら、そうそう飛行機でしたものね(笑)。
18:07 from web (Re: @catscradle80
@catscradle80 私は図書館にお願いしちゃったのですけれど(私が1番乗りで、まだ1人待ち…)、読むのはぎりぎりだったんですよぉ。さっさと感想を書いて明日返さなければならないと言う(笑)。で、すっごおおおおく良かったですよ!わしわし読めます。魚舟にきゅんきゅんですよ♪
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11月23日(火)のつぶやき

07:48 from web
おはようございます。こーしーなう。そとは風が強いです。風音を聴いているだけで寒くなりそう。びよおお~ごおお~。
11:13 from web
今日のお昼ご飯はカニコース…。かにかに♪Y・・Y 
15:01 from web
帰宅なう。よく利用する近所の魚料理のお店で、カニを頬張ってきた♪ いつも繁盛しているが、今日は順番待ちのお客さんが外にあふれていて凄いなぁ…と思ったら、店内のテーブルのことごとくが“鍋なう”だった。そりゃあ席が空かないはずだ。かくいう私たちもじっくり腰を据えてたし。冬は鍋かね。
15:03 from web
〆の雑炊まで完食したので、ちとお腹が…。
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