1月30日(水)のつぶやき(読んだ本、『怪奇小説精華』)

@rinakko 08:07
【世界幻想文学大全 怪奇小説精華 (ちくま文庫)】を読んだ本に追加
 再読も込みで大満足。今回初めて読んだ作品でとりわけ好きだったのは、「クラリモンド」や「蜘蛛」、「闇の路地」。「幽霊屋敷」の訳が素敵だった。
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アンナ・カヴァン、『アサイラム・ピース』

 心待ちだった短篇集。『アサイラム・ピース』の感想を少しばかり。

 “薄れゆく蜃気楼さながらに、なおもかすかに見て取れる陽光に照らされた草地。そして、青い青い空のアーチに遠い放物線を描いて飛翔する緑色の鳥――亡霊のように投じられたエメラルド色の短剣。” 113頁

 白い頁を繰る指先が、刻々と冷たくなる。一篇一篇、息を詰めていた。宥めることも叶わぬ剥きだしの孤独が、ただ文章という形だけを得て吐き出されているとは…なんて、辛いことだろう(それを読むのも)。美しく異様な幻視、白を切り裂く緑の光。病室の窓に嵌められた格子よりも堅固な、強迫観念の檻は、か弱き囚われ人を逃しはない。
 追い詰められた小動物の悲鳴が充満して、びりびりと細かく震え続けているような世界から、そのきつさから、心が離せなくなった。憑かれた自分の内側が、ざわりとそそけ立つ感触に苛まれても、ここにある孤独と狂気には毫も近付くことなど出来ない…と思いつつ、ただ魅入られた。怖いまでに純度が高く、突き刺さるのだ。

 ヘロイン常用者であったことや自殺未遂のことを、全て意識から締めだして読むのは困難な作家だが、それで作品から受ける印象がさほど変わるとも思えない。周囲の空気が薄くなっていくような息苦しい切迫と、どこまでも煽り立ててくる不安の絡みつく感触、姿なき敵、鳥の姿へそそぐ狂おしい眼差し…。そしてそれらの謂れは、作中からはわかり難い。どの物語もあっという間に、絶望の淵へと沈み込む。訳者あとがきを読んで、少しく納得するしかなかった。
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1月27日(日)のつぶやき

@rinakko 17:49
@catscradle80 はい、金曜日に買ってきて早速^^ 私は新刊は、お隣の大阪まで出て購入しております。そういう時だけ腰が軽いです(笑)。本屋まで足を伸ばして手に入らないと、がっかりですよね。hontoで早く届きますように~。
@rinakko 18:23
@catscradle80 1万円以上でポイント15倍!! 思わず確かめてしまいました。ほ、ほんとだ!(おい) 一度で使うのはちょっと勇気がいるけれど、1ヶ月の購入額を考えたら、先々お得ですわよねえ。おほほ…。
@rinakko 18:51
@catscradle80 あ、バベルの図書館という手がありましたね。確かに期間限定ポイントは、ちょっと憎いですね。使おうと思えば使えちゃうけれど(笑)。
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1月26日(土)のつぶやき(ハービスPLAZA、「ブルディガラ」)

 (後日追記)この日のお昼ご飯は、ハービスPLAZAの「ブルディガラ」。かなり並んだよ…。

 前菜の、“函館産 真鱈とポテトのブランダード 生カリフラワーのコポー添え”。




 だーさんのパスタは、“菊菜と小柱のリングイネ トマトソース”。


@rinakko 14:27
お昼ごはん。黒毛和牛肉とからし菜のリングイネ 白ワインバターソースだす。

 白ワインをグラスでいただきながら。美味しかった。ご馳走さまでした♪
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ラジスラフ・フクス、『火葬人』

 読み終えてから帯を外してみた…。『火葬人』の感想を少しばかり。

 “なんと幸せで、人間らしい愛なのだ、と。” 52頁

 救いのなさに戦慄した。戦争が人間を変えてしまう、狂わせてしまう。その恐ろしさもさることながら、家族思いで善人だが凡庸な主人公の、いとも容易い感化ぶりには背筋が凍った。何よりも、まるで別人のように変容していく本人が、それをまったく自覚しない姿はすこぶる不気味でおぞましい。自分は愛情深い夫であり父親であり、親切な隣人である…という認識の、何という薄っぺらさ。“選ばれた人間”と呼ばれてあっ気なく変節する、その空虚さと言ったらどうだ。
 火葬場《死の寺院》で働くコップフルキングル氏は、火葬人としての仕事に誇りを持ち、土葬に比して火葬が如何に優れているかを常に説いている。しかし、物語の終盤では、火葬人という立場が全く違う意味合いを持つ。主人公のとった行動といい、彼の新たな任務といい、あまりにもグロテスクだった。
 こんな状況の中に身を置いたら、信じるに値するものを見付けられるだろうか。いつの間にか目の前の現実が、のっぺりと奥行きを欠いた悪夢へと変わってしまう世界で。

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1月24日(木)のつぶやき

@rinakko 16:50
【青い花 (岩波文庫)/ノヴァーリス】を読んだ本に追加

 うとり。作中作も大好きだった。未完なのが本当に残念…。

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1月23日(水)のつぶやき

@rinakko 10:35
久世光彦の作品は、女性の描かれ方が私にはきつくて…読んでいて辛くなるのでだんだん手に取らなくなったけれど、『一九三四年冬―乱歩』はやはり素晴らしい。江戸川乱歩論としても読めるし、他にも言及される作家や作品が多いのでとても楽しかった。初読時は知らなかった渡辺温の「可哀相な姉」とか。

@rinakko 10:45
【ナイトランド 創刊号/朝松健・森瀬繚・朱鷺田祐介・立原透耶・鷲巣義明・マット・カーペンター他】を読んだ本に追加
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久世光彦、『一九三四年冬 ― 乱歩』 再読

 新しい文庫本で再読。『一九三四年冬 ― 乱歩』の感想を少しばかり。

 “危うい足元が緊張になり、前のめりの不安が恐怖になる。こんな快感を思い出したのは、いったい何年ぶりだろう。江戸川乱歩は、いかにも探偵小説家らしく、ひとり不気味に北叟笑んだ。” 73頁

 とてもよかった。やはり好きだなぁ…と。色っぽくて滑稽で品があって、もちろん蘊蓄はたんもりで。面白楽しくて、でもじんわりと哀切がにじむ。それに何より、不惑にして執筆に行き詰った乱歩にそそぐ眼差しの優しさと、そんな乱歩に幻の名作を書きあげさせた愛が、物語全体を包み込んでいる。
 おどろおどろの話は平気で書くのに、実は怖がりな乱歩。くよくよと禿を気にする乱歩…。己の老いに直面させる冒頭も、その後の展開に効いてくる。時折ぐっと、胸に迫った。久方ぶりの久世さん、心ゆくまで堪能した。

 連載を中断させた挙句に行方不明…の乱歩は、実は自宅からさほど遠くない帳ホテルに身を潜ませていた。鞄に入れてきた昔のメモ帳には、遊び半分で書き付けた題名がびっしりと書かれている。あれこれと思いめぐらし頁をめくると、一つの題名が目に留まった…。
 帳ホテルにて、乱歩の無聊を慰めてくれることになるのが、妖しさと人懐っこさを兼ねそなえた美青年の爺華栄と、アメリカ人で探偵小説ファンのミセス・リーである。方や、そつなく気がきく中国人のボーイ、片や、マンドリンを爪弾く可憐な人妻。そんな嬉しい出会いもありつつ乱歩は、かつてない自由と孤独を味わう。そして、昔を彷彿させる奔馬の如き勢いで、筆を走らせる。やがて乱歩の物語と、作家の現実は、“仲良く手をつないで踊”りだす…。

 乱歩自身の作品が取り上げられるのは言うまでもないが、他にもエドガー・アラン・ポオやエラリー・クイーン、大谷崎、宇野浩二、物語の中では先年に死んでしまった「可哀相な姉」の渡辺温…などなど、言及される作家や作品が多いのも、楽しくて興味深い読みどころとなっている。また、乱歩の夜の夢もふんだんに描き込まれている中に、谷崎が出てきたり…なんて、心憎くて堪らない。それこそ北叟笑む作者を、思い浮かべてしまったことよ。

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1月21日(月)のつぶやき

@rinakko 17:01
【日本探偵小説全集〈2〉江戸川乱歩集 (創元推理文庫)/江戸川 乱歩】を読んだ本に追加
@rinakko 17:03
【日本探偵小説全集〈2〉江戸川乱歩集 (創元推理文庫)/江戸川 乱歩】
 「陰獣」を読みたくて手に取ったが、もう一篇もう一篇…と止まらなくなった。再読の機会にもなったので、大変に満足。


@rinakko 17:04
【潤一郎ラビリンス〈14〉女人幻想 (中公文庫)/谷崎 潤一郎】を読んだ本に追加

 美貌の兄妹を描く「女人神聖」がよかった。
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ヴァージニア・ウルフ、『ヴァージニア・ウルフ短篇集』

 『ヴァージニア・ウルフ短篇集』の感想を少しばかり。

 “玻璃の尖った指先はみな下方を指している。光はその玻璃を辷りおり、滴って緑色の水溜まりを作る。” 27頁

 とても素晴らしかった。“意識の流れ”の手法による文章を読むのには、独特な緊張感を強いられる気がしたが、少しずつ慣れてくると、その揺蕩いから意識が離せなくなる…つまりは癖になる。とり憑かれる。茨に歩を妨げられるように、幾度となく引っかかる箇所がある。するりと通り抜けられない。そのもどかしささえ、何とも言えない手応えだった。
 喚起されることが尽きない。この文章はどんな状態を差し、どんな眺めを表しているのだろう…と思いあぐね、その都度浮かべた答えの形は、きっと今だけのもの。いつの日か同じ頁を開いたなら、その時の私は違う光景を心に描くかしら…と、そう考えたら何故か嬉しくなった。そんなことにまで思いを馳せたくなる文章が、この1冊の中でたくさん待ち受けていた。

 好きだった作品は、たったの2頁が昏い宝石のようで息を呑んだ「青と緑」や、あっ気にとられる結末の「同情」。長篇を読み返したくなってしまった「ボンド通りのダロウェイ夫人」。“意識の流れ”に引き込まれた、「弦楽四重奏団」と「書かれなかった長篇小説」。
 とりわけ忘れがたいのは、「壁の沁み」。小さな壁の沁みから始まって、豊かに広がっていくイメージの重なり…。魔法を見せられた。
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