本が好き!な、りなっこのダイアリーです。週末は旦那と食べ歩き。そちらの報告も。
本読みの日々つらつら
8月25日
@rinakko
【眉輪/野溝 七生子】を読んだ本に追加
素晴らしかった。あまりにも文章が麗しく読んでいるだけで恍惚…なのだが、その内容は古事記をなぞる血腥い悲劇だった。稚い少年王の直ぐな願いと言葉たちが、そして大長谷王子の凄絶な孤独との哀しい比が、胸を衝く。目次の中に「異説ハムレツト」の文字を見たときは一瞬なるほど…と思ったけれど、ハムレットと称するには眉輪王の幼気さが際立ち過ぎて。
王妃たちの愛と怨嗟の声もただ苦しく、韓媛の存在だけが灯のようだった。
“「さよなら、可愛い子、この手で地軸を触つて御覧、この小さい手に、私は地球を載つけて上げよう。」”
8月22日
@rinakko
【汚れた歳月/A・P・ド・マンディアルグ】を読んだ本に追加
散文詩風掌篇(コント)集。訳者の言葉によると、散文詩風幻像綺譚集。初期のエクリチュールでも、思いがけない夢想と幻視に眩暈する読み心地は流石だった。
とりわけお気に入りは、レオノーラ・カリントン(「騎兵学校」)やレオノール・フィニ(「裁かれる快楽のパサージュ」、愛猫家のフィニを皮肉ったラストも好き)、ボナ・ティベルテッリ(「モーリアック嬢の入浴」)に捧げられた作品など。
“そのすべてを回避するのはとても簡単だっただろう。君の猫が暖炉の前でそっと唸りながら、ランプの火で金色に燦めく蝶が飛んでいくのを目の隅でじっとうかがっている。(略)しかし君は、いつも夜に外出し、ドナウ川沿いの大都市の半ば東の郊外をうろつくのが好きだった。”
“私はハツカネズミと一緒に入浴している女性を知っている。確かに色の白いネズミたちで、当の女性はオペラ歌手だ。”
8月18日
@rinakko
【狂える者の書 (パラディスの秘録) (創元推理文庫)/タニス・リー】を再読した本に追加
再読。素晴らしかった。“狂える者”たちへ注がれたタニス・リーの眼差しは、静かで優しくて胸を衝く。
三つの並行世界(パラディ・パラダイス・パラディス)に、狂気の街で狂気を免れ(故に正常ではない)徒に殺人を繰り返す双子の兄妹、いとこに陥れられ監禁状態にある酒飲みで美貌の画家、そして可哀そうなマーマレード色の髪の少女がいた。主人公たちの運命は苛酷だったけれど、各々の魂が行き着いた先に微かな光を思う。
(オレンジ、ジン、ペンギン…の不思議な組み合わせも大好き)
“パラディには多くの側面があるが、地上の天国と呼ぶのは憚(はばか)られる。そう、パラディスは影の都であると、かの街の書物が伝えている。けれどもこのときは違った──この数刻のみは。それこそがパラディスの狂気。”
8月17日
@rinakko
【天國泥棒: 短歌日記2022 (歌集)/水原紫苑】を読んだ本に追加
〈わが師みな男なりけりあかねさす紫式部に史記習ひたし〉
〈葉牡丹にしんじつを問ふ生まれ來て良かりしか汝不機嫌の極み〉
〈フェードルゆ源氏物語に通ふ道ほの明かりしてプルーストも見ゆ〉
〈ウクライナの色を掲ぐることさみし靑と黄色は未生よりもつ〉
〈白木蓮森閑と咲き の絕ゆることなき星を抱かずも〉
〈立枯れの紫陽花獨り筆折りしうたびとのごとくきよらけきかな〉
〈愛されず愛さず生くる天體のきららかさもて海越えむかな〉
〈聖母まとふ靑さびしもよ王權にあらがふラピス・ラズリあらむか〉
〈妄執を愛とよびたる千年の歷史ほろびむ小面老ゆる〉
8月16日
@rinakko
【天涯図書館/皆川 博子】を読んだ本に追加
少しずつ読んでいた。2020年からの時間をたどり直すようで、この先どうなっていくのか…辛くて不安が募る内容だった(そして不安はこの先も続いていくが)。
そんな中、取り上げられた作品は意外と既読のものが多かった(特に新しい作品)。私は再読が好きなので、読み返したい本が増えてしまった。例えば『方形の円 偽説・都市生成論』や『孤児』『洪水』『エルサレム』『暴君』『書物の破壊の世界史』『きらめく共和国』などなど。
短篇「焚書類聚」を読んで、どうかこんなことにはならないように…と
“幻想を創造の資とするものは、現実から目を背けているのか。逆だと思います。現実の苛酷さ、不条理を、熟知するからこそ幻想は飛躍する。”
8月15日
ドラマ「薔薇の名前」、2周目done
ドラマとしてとても楽しめたし、時間さえあればまだいける。そして内容の物足りないところは、小説を読むしかないんだろうな‥
私は「薔薇の名前」は昔映画を観ただけで、肝心な小説は未読のまま、もう今更感が凄くて、文庫化(しないけど)でもない(ないけど)限り、読むことはないと思ってしまう。
巷では、『薔薇の名前』と『百年の孤独』は、文庫化なんぞしたら世界が終わると言うし
(でも、『薔薇の名前』が文庫化出来ない理由が、ちょっと何だかな、、らしいので、いっそ『サラゴサ手稿』みたく新訳は‥) (『フーコーの振り子』は文庫本で読めたのに)
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