7月9日

 ボッカッチョ/平川祐弘訳『デカメロン 下』を読んだ。

 八日目から最終の十日目まで。一篇、また一篇と読んできてとても楽しかった。ただただ唖然とする話も幾つかあって女性の扱い酷いけどw、それも含めての「これが『デカメロン』か…」と面白かった。 
 
 めも)語り手の性別や人柄と話の内容には、必ずしも関係を持たない(女性が語り手なのに、、、な話もある)。
 観念的な人間造型もボッカッチョの傾向。理念先行型の創作の一例で、夫婦の愛情関係がゲーム感覚で描かれている(第十日第十話)。
 
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

7月8日


 わたしたちの定員二名の箱舟に猫も抱き寄す 沈みゆかなむ

 雨があなたの本性だつた だとしても 硝子の窓に沈む紫陽花

 永遠に降るにはか雨、にはかあめ わたしは本を壊してしまふ

 何万回でも逃げ出した猫追ひかける 七月、私たちの永久に続くトランジット

  ──睦月都『歌集 Dance with the invisibles』

#短歌
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

7月6日

 お昼ごめん。「そば処 とんぼ」にて、ラー油肉蕎麦(冷)。
 思い切って2玉にしたら、1玉が少なめらしいけどやはりお腹いぱい…。ホタテの天ぷらおいじかった。
 

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

7月3日

 金井美恵子『『スタア誕生』』を再読した。
 
 先日読み返した『噂の娘』の姉妹作(内容は続篇なのだが刊行には16年の隔たりがある)。
 少しずつ変わっていくモナミ美容室と、そこに流れる女たちの時間。主人公の両親のその後のことも、映画女優を夢見る “金魚の娘”みっちゃんの更なる奮闘も、小さな幾つもの記憶の齟齬のあるままに語られていく。零れていく。

 “キラキラした明かるい虹色の光のせいで、そこはいつも時間が失われているようなのだ”

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

7月1日

 ジョセフ・オコーナー/栩木 伸明訳『シャドウプレイ』を読んだ。
 
 素晴らしかった。
 舞台はヴィクトリア朝ロンドン。ブラム・ストーカーが劇場支配人としての役目を果たす傍ら『吸血鬼ドラキュラ』の執筆に至る経緯が、当代一の人気だった二人の名優との何とも名付けがたい交わり(深い愛も狂おしい嫉妬も憧れも)を軸に語られていく。
 作中には『ドラキュラ』からの引用や目くばせ、仄めかし、名優アーヴィングが得意としたシェイクスピア劇のセリフの引用やもじりなど惜しみなく鏤められている。

 繊細で人に優しく夢見がちだったストーカーが、その想像世界の中では邪悪な流血の物語を生み出していた…ということ、その、誰にも見せない昏い顔を持つ人物造形に感嘆した(そこがタイトルに繋がる)。
 
 当時の有名な事件(切り裂きジャックやオスカー・ワイルドの裁判など)との絡みも面白い。そして名優エレン・テリーが大好きだった。
 
 
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )