7月3日

 金井美恵子『『スタア誕生』』を再読した。
 
 先日読み返した『噂の娘』の姉妹作(内容は続篇なのだが刊行には16年の隔たりがある)。
 少しずつ変わっていくモナミ美容室と、そこに流れる女たちの時間。主人公の両親のその後のことも、映画女優を夢見る “金魚の娘”みっちゃんの更なる奮闘も、小さな幾つもの記憶の齟齬のあるままに語られていく。零れていく。

 “キラキラした明かるい虹色の光のせいで、そこはいつも時間が失われているようなのだ”

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6月26日

 九段理江『School girl』を読んだ。
 
 令和版『女生徒』として書かれた作品と知り、読んでみた。百年近くの時を隔ててどんな風に響き合うのか…と。
 母親と話す時しか日本語を使わない(それ以外は英語で過ごしているらしい)14歳の少女と、『女生徒』の主人公を"遠い昔の親友”と呼ぶ母親の、お互いを大切に思っているのにすれ違ってしまうもどかしさ…など、こんなに背景が違っても母娘のあり方には変わらない葛藤があって、その普遍性に苦しくなった。

 そして「悪い音楽」がとても面白かった。人の気持ちがわからない(本人なりに考えようとはしているがずれている)音楽教師、という設定が秀逸で、擬態が破綻する過程も見事。

 
 
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6月24日

 金井美恵子『噂の娘』を再読した。
 
 美容院を経営する母親の友人(マダム)宅に預けられた少女が、幼い弟と過ごす夏の日々を描く。それは昭和の雑多な匂いとキッチュな色彩に溢れた、曖昧に錯綜する時間と斑な記憶の中。
 不確かな噂話(情事と凶事の変奏みたいな)ばかりがゆき交う大人たちの空間の隅で、ぼんやりと聞いている内向的な少女の心許なさや不安がふと零れてくるように伝わる。時折それらの場面を俯瞰しながら語る「私」は何処にいるのだろう…と思ったり。

 主人公の読んでいる『秘密の花園』が改変されて挿入される件もお気に入り(詩人になることを夢見たことのある若い感じやすい士官って誰…とか)。
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6月22日

 お昼ごめん。ラーメン食堂ふくいち にて、特もやしラーメン。ちょい辛でした。
 

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6月16日

 お昼ごめん。「麺と酒 蔵一」にて、せとうち冷やし醤油そば。
 チャーシューを角煮に変えてもらって、メンマ増し。おいじかった。
 
  
 

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6月15日

 塚本邦雄『連弾』を読んだ。 
 
 ルビの多い文章を追うだけでまず快感。
 聊か毒気が効き過ぎなのでは(特に女性に対して)、お気立てに難がおありで綺羅な人たちしか出てこないのでは…などと思いつつ、引き込まれ魅入られて眩暈する読み心地だった。醜さも美しさも過剰に絢爛で残酷で、もうそれで酔ってしまう。

 とりわけ好きだったのは表題作(未絵さんがだんだん好きにw)と「青海波」と「かすみあみ」(これでもかと立ちこめる香り、そのなかの妖しい少女たち。うとり)

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6月13日

 山尾悠子『初夏ものがたり』を読んだのだった。
 
 既読の作品群とはまた趣が違う(若書きということで)、未読だった作品を読めてよかった。
 なんて愛おしい物語だろう…と思いつつ初夏の情景に浸りつつ、五月生まれなのが密かに嬉しくなったり。そしてクリスティーのクィン氏が好きなので、そこも嬉しく。

 
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5月18日

 お昼ごはん。四つ葉cafe にて、タコライスプレート。夫はパスタプレート。
 お野菜たんもりで美味でした。お腹いぱい…
 
  
 

   

 

 

 菫野短歌のネップリ、しました。20日までですって。
 

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5月17日

 空木春宵『感傷ファンタスマゴリィ』を読んだ。
 
 とてもよかった。
 まず耽美で残酷かつ甘苦い毒滴る作風が好みで堪らないのだが、人の嗜虐性や暴力、どす黒い憎悪(例えば人々を“魔女狩り”へと駆り立てるものの正体)をきっちりと描く筆致にも痺れる。

 表題作では “幽霊とは思考の産物” という件からの、己が己であることの確かさがぐらぐら揺るがされ、自己確立の脆さを突き付けられる展開が頗る響いた。
 「4W」はシスターフッドの物語としても読めるしそこが好きでもあり、「ウィッチクラフト≠マレフィキウム」で見据えているものは性別に関係なく誰もが考え続けるべきことなのだろう…とも思う。


 “だが、少女であったことならある。どうしようもない生き辛さを抱え、間違った世界に生まれてきてしまったと感じる、よるべない孤独な少女であったことは。” 「さよならも言えない」

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5月14日

 金井美恵子『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』を再読した。
 
 素晴らしかった。遠い日々の記憶が弛んで寄り集まり、褪色したモザイク模様になる。茫洋とした時間の流れから掬い上げられる、鮮やかなイメージと繰り返すその語り直しに、ふと眩暈する読み心地だった。
 とりわけ、何度も出てくる “まゆみの生垣” をめぐらし曲がりくねった狭い道の描写は、時間を行き来してとめどない語り口そのものとも重なる。

 “それとも、いつかこの今の瞬間、今こうして見ている月と、この道と、風と、こうして今わたしの感じているすべての感覚を思い出すことがあるだろうか。”
 
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