山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。

月見草(上林暁「花の精」)

2020-08-08 08:36:39 | 読書

この頃、月見草のことが気になっていた。
というのは、是政橋のことをブログに書いたことがきっかけで、上林暁の「花の精」という作品のことを教えていただき、そこにたくさんの「月見草」が登場していることを知ったからである。

月見草ってのは、この写真の花のことだよね。待宵草ともいう。

多摩川の河原あたりに群生しているんだったら、そんなにすごい花ではなく、ありふれたものだと思うので、作品の中の情景は、これが、いっぱい咲いていたんだろう想像していたのだ。

それで、昨日上林暁の「花の精」を読んでみると、物語は、まず最初に庭の月見草から始まっているのだった。
その花がもう少しで咲くので、楽しみにしていたところを、植木職人が剪定ばさみで切り倒し、根こそぎ取って処分してしまったのだそうだ。

その残念無念さがおさまらず、是政に月見草があると聞いて、川釣りをする友人と一緒に是政に行くというお話。そうして、河川敷から月見草を掘り出して束にして帰る途中、電車(ガソリン・カア)(←当時電気じゃなかったのか)の中から見えた光景は、周囲一面の月見草だったとのこと。

このお話は、その前に、入院していて家にはいない妻の存在があり、月見草を取っての帰り、是政駅のそばにも妻が入院しているようなサナトリウムがあり、主人公(著者)は妻のことを思い出すのだった。

帰宅して後、月見草を庭に植えた。是政橋の橋番の老人が、なかなか根付かないものだと言っていたが、月見草はたくましく、ちゃんと根付いて花を咲かせた、というハッピーエンド。

月見草を取りにいったのではなく、花の精を求めて取りに行ってきたらしい。
そして、庭の月見草が植木職人によって切られてしまったときに、主人公(著者)が読んでいた、ノヴァリスの「ヒヤシンスと花薔薇」という作品のことが書かれているが、この作品は私には見当がつかないのである。これが花の精の話なのかもしれない。

私は、今朝早く、もういちど是政に行ってみようかと思った。
今度は電車で武蔵境まで行き、そこから西武多摩川線の是政行に乗るという小説と同じ方法が良い。

「花の精」では、是政行は2時間に1本しかないので、北多磨駅まで行き、そこから是政まで歩いたそうだ。北多磨は今は白糸台駅と名前が変わっているらしい。だからそのとおりに歩いてみたい。

でも、今朝はすでに日も高く昇っていて、一駅も歩いたら熱中症になりそうだと思う。
それに、月見草は昼間は咲かない。夕方から夜にならないと・・・。
だから私は、月見草が開いているところを見たことがない。

そんなわけで、是政文学散歩は本日は中止することにした。小説の通り歩くなら6月が良いかな?

・・・

月見草のことを書くなら月見草の写真を用意しようと、ついさっき近所を歩き回ってきたら、少しだけ残っていた。実は、私自身が数日前に住宅周囲の大きな雑草を剪定ばさみでチョキチョキ切ってしまったのだ。その代表的なものが月見草である。雑草としか思っていない。

これは、河原や空き地に咲いていれば、どうということはないが、自分の家の庭に植えようとは思わないし、やはり小説の植木職人と同じ行動をとってしまう。私の場合、面倒くさいし熱中症になりそうなので、ただ根元から切るだけ。小さな草も伸び放題だから、切ったものもそのまんま。

切り逃げである。

たくましいから、絶えることはなかろう。
今度夜咲いているところを見てみようと思う。

・・・・・

追記:

その後考えたのだが、このありふれた月見草のことだとしたら、主人公はわざわざ是政まで行かなくても、そこらへんにあるはずなので、もっと貴重な月見草だったのかなと思ったりもする。

月見草には、白やピンクのものもあるそうだ。また大待宵草だったら、もっと大輪らしい。

「花の精」の中では、帰りは武蔵境から三鷹を通ってA駅まで帰っている。
三鷹では男女ノ川という力士が電車に乗ってきたとのこと。
(みなのがわ という巨体の力士は、私は知らないが、実在の人物)

A駅とは、阿佐ヶ谷駅らしい。上林暁の住まいはその辺だったので、これは事実に近い私小説なのか。

阿佐ヶ谷には、当時こんなありふれた月見草ならいくらでもあったはずだ。

だからよくわからない。

小説は事実ではなく、あくまでも架空の世界。

・・・・・

さらに追記:

上林暁の「花の精」は、昔高校の教科書に載っていたそうだ。
私の教科書には載っていなかったのだが、インターネットで検索すると、現在も大学受験の問題に出ることがあるらしい。

私が図書館で借りた本は「上林暁全集三」(筑摩書房)であった。1966年初版で、1977年と2000年に増補版が出版されている。漢字の旧字体はそのままになっていて文字は読みにくいが、文体はとても読みやすいと思う。

 

 


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2 コメント

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花はパッと咲きます (ボッケニャンドリ)
2020-08-08 18:12:02
> だから私は、月見草が開いているところを見たことがない。

半開きの蕾を見ているとパッと咲きますよ。

https://blog.goo.ne.jp/longq/e/9799f942c97e6bfb5f34ae009c3c9f1d
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Unknown (飛鳥)
2020-08-08 22:17:45
動画、ありがとうございます。
早送りでないのに、こんなふうに目で見える速さで咲くんですね。驚きました。

さっき、昼間みつけてあった月見草を見に行ってみたのですが、真っ暗でどこに花があるのかも見えなくなってました。ライトが必要。

咲いている姿と昼間の姿はだいぶ違うようですね。
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