山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。

ことばの使い方

2008-05-01 22:18:32 | 未分類過去
日本語教師をやめて3年以上も経つのに、日本語教師の集まる掲示板を未だに毎日見ています。
日本語教師をやめる人も多いらしく、教材を譲るという情報が良く出ます。
そんな中で、教材を譲る相手がみつかりました、という意味の報告が出ていました。
その書き方が「譲り手が決まりました」とありました。
それに対して、日本語教師Kさんが、「それは、譲り先、あるいは、貰い手ではないのか?」という書き込みをしていました。
確かに、そうですね。譲るほうが「譲り手」なのであって、譲られるほうは「譲り先」か「貰い手」というのがふさわしいでしょう。
しかし、譲られるほうを「譲り手」というような使い方も結構あるとか、意味が通じればどうでもいいだろう、揚げ足取りだ、などという不快感を表わす意見もあったようです。
まあ、私個人の意見としては、やはり紛らわしくないような使い方をしたほうがいいと思うので、日本語教師Kさんの指摘は妥当だと思いました。

ところで、日本語教師たちの論争はどうでもいいのですが、理系文書においても、紛らわしい表現は避けたほうがいいことは当然です。

そこで、思い出したのが「流出」「流入」と言う言葉です。
たとえば「A槽からB槽に流入する」とあったかと思うと、「A槽からB層に流出する」という表現もあったりします。AかBかどっちを基準にして見るかで違うわけなんでしょうが、全体を見たところどっちに視点を置いてもかまわないようなことがあります。その場合、どうなんでしょうね。なんか使い方に決まりでもあるんでしょうか?厳密に言えば、「Aから流出してBに流入する」ってことですけどね。
そして、AとBをつなぐ管は「流出経路」なのか「流入経路」なのか、というのもなんかわけがわからなくなるじゃありませんか。
相互に行き来するならば「流通経路」ってことらしいですけど、たまにこういう言葉がめちゃくちゃになっている文書があって、わけがわからなくなります。

同じようなことですが、日本語教室で、輸入する・輸出するという新しい言葉が出てきた時に、「キムチは、韓国から中国に輸入されている」のか、「輸出されている」のかこんがらがったことがあります。結局同じ意味ですけどね。
この場合、韓国人は輸出されていると思いますが、中国人は輸入されていると言います。日本人はどっちでもいい。これも視点の違いでどっちも言えるってわけですね。「キムチは、~」の形では輸入・輸出の使い分けの練習になりません。
「韓国では中国へキムチを~」「中国では韓国からキムチを~」という形にしないといけません。
この例文は、中国か韓国の人がその場で作って出してくれたものでしたが、実を言って、実際はどっちからどっちに輸入(輸出)しているのかわかりませんでした。キムチは中国から韓国に輸出(輸入)もありのようです。
だから、よけいこんがらがっちゃいました。

その他、会社では、社員さんが顧客に向けて書いた文面に「お気づきの点がございましたら、ご指摘いただきますようお願いいたします」というのがありました。
あれっ、「ご指摘いただけますよう~」じゃないのか?
これも、グーグルで検索すると両方の例がいっぱい出てきて、どっちも言えるのかと思ってしまいます。口で言うと「き」だか「け」だかわからないまま、すすっと聞き流してしまうに違いありません。
しかし、「ご指摘する」のは相手であり、自分が「ご指摘いただく」わけで、「もし、(私が貴方から)ご指摘いただけたら嬉しい、ありがたい」ということなので、やはり可能形を使うのがふさわしいでしょう。「ご指摘くださいますよう~」なら相手がご指摘してくださるということで問題ありません。

外国人がよく間違う言葉に、たとえば自分が仕事を休みたい時に上司に向って「休みを取らせていただけませんか」というべきところ、「休みを取らせていただきませんか」という間違いがあります。依頼や許可願いの会話の試験などすると、かなりの割合でこの間違いが出ます。

外国人のみならず、どっちからどっちへということが絡むと、言葉はこんがらがってわかりにくくなるもんだな~と思いました。



コメントを投稿