パピとママ映画のblog

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17歳 ★★★

2014年04月16日 | さ行の映画
『スイミング・プール』などのフランソワ・オゾン監督が、少女から大人へと変化を遂げる17歳の女子高生の心理とセクシュアリティーをあぶり出す青春ドラマ。不特定多数の男と性交を重ねる名門高校に通う美しい女子高生。ある事件をきっかけにその問題行動が発覚、行動の裏にある少女でも大人でもない17歳の女性の揺れ動く気持ちを描き出す。主演は、モデル出身のマリーヌ・ヴァクト。『輝ける女たち』などのジェラルディーヌ・ペラスや『まぼろし』などのシャーロット・ランプリングが共演。オゾン監督らしい繊細で鋭い心理描写に心を揺さぶられる。
あらすじ:パリの名門高校に通うイザベル(マリーヌ・ヴァクト)は、バカンス先で出会ったドイツ人青年との初体験を終え、数日後に17歳の誕生日を迎える。パリに戻ったイザベルは、SNSを通じてさまざまな男性との密会を重ねるようになっていた。そんなある日、ホテルのベッドの上で初老の男ジョルジュ(ヨハン・レイゼン)が発作を起こしそのまま帰らぬ人となってしまう。イザベルはその場から逃げ……。

<感想>危険なプロット」からこのかたフランソワ・オゾンが絶好調である。この作品にも出ているシャーロット・ランプリングや、カトリーヌ・ドヌーヴのようなベテラン女優との相性も良い監督である。しかし、「現代の若者たちを取り上げた映画を撮りたい」という欲望が、その才能と彼にそれを求める市場とがぴったり合致したからだろう。
すごいと思ったマリーヌ・ヴァクト。この浮世離れした美貌あってこそ成立するこの映画。まったくもって期待を裏切らない人選だと思った。冒頭、双眼鏡で盗み見されるターゲットとしてスクリーンに登場する彼女は、人気のない浜辺に一人たたずみ、あたりを見計らってビキニの水着のトップレスを外す。

その体は、スレンダーだが、ほどよく陽に焼けて伸びやかな肢体は、少女とも大人ともつかない体つきで、その身体に頼りなげな紐で引っかっている素朴な水着がまた何ともアンニュイな感じがした。基本的にポーカーフェイスなのも、何を考えているのか読み取れないミステリアスな年齢を後押ししている。

インターネットのSNSを通じて見知らぬ男たちと性関係を持つようになるのだが、ベッドの上で自分の体をまるでモノのように無造作に投げ出す様が見事です。この年代の少女は、世間や異性に対して自分を極端に守るタイプか、あるいは必要以上に粗末に扱うタイプの二種類に分かれる。
後者は奔放かというとそう単純でもなく、言っていることとやっていることは反対だったりするケースもあるから何とも言えない。物語の設定が春夏秋冬になっているので、地下鉄の駅から密会場所の地上へと上がってくエスカレーターに乗る彼女も、期待と不安が入り交じったスリリングな季節を生きているのだろう。
前作が美少年だったから次は美少女というストレートな流れも嬉しいではないか。夏の浜辺で一人になるとすぐブラを外したり、ベッドで股間をこすり付けたり、これはいかにもフランソワ・オゾンなのかな、と思いつつ観ていたら、結局これは性不感症か、性飢餓症の少女のお話のように思った。
それにしても、日本ならさしずめ援助交際とでもいうのか、自分の父親と同じくらいの年齢の男とホテルで売春をして、もしかしてSMプレイなど乱暴されたり、拉致されたり、映画ではいいことばかり描いているが、大人の男は優しい人ばかりではない。
まるで犯罪映画のようなタッチで、大人たちの眼には怪物に見えそうな少女のことを、勝手に理解して見せるでもなく、突き放すでもなく描いている。結局は、お客の爺様がベッドの上で心筋梗塞でお亡くなりになり、慌てて帰るという。全部監視カメラが捉えていたことも知らずに。警察が動き家に刑事が来て、母親が全てを知ってしまう。

性の知識が溢れて、男は女を、女は男をバカにするに足る情報も十二分な現代に、フェアな関係を獲得することの困難は増すばかり。17歳の娘でいることも、その母親であることも、苦労は計り知れない。それにしても、この怖いほどの生々しさ。ひとつ屋根の下の平和とは何なのか?・・・。両親は離婚して、母親が再婚。その母親について来て一緒に住み経済的には申し分のない生活なのに。

頻繁に出て来る鏡のイメージを通じて、自分を見つめ、自分をつかまえようとする少女。若い娘のみずみずしい裸身がエロチックなのは当たり前だが、その弟も両親や姉の裸を見たりして、妙にエロく撮られているのが気にかかる。
ともあれ、シャーロット・ランプリングがサングラスを外す瞬間よ!・・・ラスボス的な登場は圧巻です。
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