英国の女性作家ライオネル・シュライバーのベストセラーを「モーヴァン」のリン・ラムジー監督が映画化。母親に異常なまでの悪意と執着心を持つ息子と、彼に戸惑う母との関係を描く。出演は「ナルニア国物語 第3章:アスラン王と魔法の島」のティルダ・スウィントン、「おとなのけんか」のジョン・C・ライリー、『アナザー・ハッピー・デイ』のエズラ・ミラー。

あらすじ:自由奔放に生きてきた作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)はキャリアの途中で、夫フランクリン(ジョン・C・ライリー)との間に子供を授かった。ケヴィンと名付けられたその息子は、なぜか幼い頃から、母親であるエヴァにだけ反抗を繰り返し、心を開こうとしない。やがて美しく、賢い、完璧な息子へと成長したケヴィン(エズラ・ミラー)であったが、母への反抗心は少しも治まることはなかった。そしてこの悪魔のような息子は、遂にエヴァの全てを破壊するような事件を起こす……。(作品資料より)

<感想>映画化が困難と言われてきた英国女性作家文学賞の最高峰、オレンジ賞受賞のベストセラーを映画化したもの。悪魔のような息子によって、人生を崩壊させられた母親、ティルダ・スウィントンが演じているのだ。
自由奔放に生きてきた作家のエヴァ、妊娠を機にキャリアを捨てて子供を産む。母親のとまどいを察知したかのように、産まれてきた息子はどんどん悪魔のように育ってゆく。
息子が犯す最大の事件までを、現在と過去を交錯させて描き、見るものを恐怖のどん底へと陥れて行く。
苦悩する母親を演じたティルダ・スウィントン、彼女が登場するとその場が緊張感に包まれ威圧感を覚える。冷たい硬質な肌と空を見つめた目、少年の母親を演じたこの作品でも例外ではない。この作品では、自分が産んだ息子と日に日に意思の疎通ができなくなるという母という役どころ。なぜに彼は自分に懐かず反抗的になってゆくのか、少年の下に生まれた娘とは上手くいくのに。
美少年だが爬虫類のような目つきの冷淡な息子を演じた新星のエズラ・ミラーなど、キャストたちの凄まじい演技によって、このサスペンスは成り立っているのだ。子を持つ母親は、これを見たら恐怖を感じざるを得ない。

しかし思うに、幼少時代のケヴィンを演じた子役の演技が上手かった。赤ん坊のころは泣きやまず、3歳になっても言葉を発さず、6歳になってもオムツが取れないなんて、これは母親を困らせてやろうという、もう知恵が付いてもおかしくない年頃。母親に対して反抗心を剥き出しにする息子。手の施しようがないと諦めてはダメ。子育てって大変なんです。
息子が大事件を起こしてから、彼女は郊外の朽ち果てた家で暮らしている。外壁には赤いペンキがぶちまけられ、見知らぬ人からは罵倒されたり、息子が犯した事件で彼女はこの生活を強いられていた。

この物語の少年は、まだ未成年であるからして、学校で友達を無差別に弓矢で射って殺傷事件を起こし、家の庭では父親と妹も弓矢で射って殺してしまう。その前に、まだ幼い妹をケヴィンが台所の薬品で、意図的に妹の片方の目が失明するという事件なのに、両親とも息子を叱らないのだ。これは、人間を傷つけてはダメだという躾と教育がなってない。
人間の命の尊さを息子に教えていないのだ。道徳教育なのに、父親は息子に弓矢を与え練習させ、これが危険だということを教えていない。
母親が刑務所に面会に行き、息子に「何故?、どうして?」とため息をつきながら問う場面がある。自分の産んだ血の通った息子に対して聞きたいのだ。答えなどない。それは母親が一番知っていることだから。と私は思うのだが。
自分の子供が人道に外れたことをやってしまう。人を殺すということを息子は母親に対して「愛情の見せしめ」、「自分にもっと目を向けて欲しい」、「自分を愛して欲しい」と願う、利己主義的な偏った心情。それがたった一つだけ、自分を抱きしてめて欲しい。母親を独り占めしたいという願望なのかもしれない。だが、もしかして精神異常者なのかもしれないのだ。その判別は精神鑑定をしないと分からない。

それが分かるから、この息子が刑期を終えるまで自分は待っている。そしてそれからのことを考えよう。今結論を出さなくてもと、この母親は考えているのだろう。だって、自分の血を分けた子供とは一生縁を立ち切れないのだから。
本作の鑑賞後は、後味の悪さが残り、そこがこの映画のポイントなのだろう。それは息子ケヴィン役を演じたエズラ・ミラーや、その他の俳優たちの演技によるもので、目つきが本当に鋭く、見ている側としてもエヴァの気持ちのようになってしまう。スペインのトマト祭りの中のティルダ、家の外壁の赤、その他原色の赤色が上手く強調されていて、映像的に恐怖心を煽っているのが印象的でした。
2012年劇場鑑賞作品・・・85
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あらすじ:自由奔放に生きてきた作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)はキャリアの途中で、夫フランクリン(ジョン・C・ライリー)との間に子供を授かった。ケヴィンと名付けられたその息子は、なぜか幼い頃から、母親であるエヴァにだけ反抗を繰り返し、心を開こうとしない。やがて美しく、賢い、完璧な息子へと成長したケヴィン(エズラ・ミラー)であったが、母への反抗心は少しも治まることはなかった。そしてこの悪魔のような息子は、遂にエヴァの全てを破壊するような事件を起こす……。(作品資料より)

<感想>映画化が困難と言われてきた英国女性作家文学賞の最高峰、オレンジ賞受賞のベストセラーを映画化したもの。悪魔のような息子によって、人生を崩壊させられた母親、ティルダ・スウィントンが演じているのだ。
自由奔放に生きてきた作家のエヴァ、妊娠を機にキャリアを捨てて子供を産む。母親のとまどいを察知したかのように、産まれてきた息子はどんどん悪魔のように育ってゆく。
息子が犯す最大の事件までを、現在と過去を交錯させて描き、見るものを恐怖のどん底へと陥れて行く。
苦悩する母親を演じたティルダ・スウィントン、彼女が登場するとその場が緊張感に包まれ威圧感を覚える。冷たい硬質な肌と空を見つめた目、少年の母親を演じたこの作品でも例外ではない。この作品では、自分が産んだ息子と日に日に意思の疎通ができなくなるという母という役どころ。なぜに彼は自分に懐かず反抗的になってゆくのか、少年の下に生まれた娘とは上手くいくのに。
美少年だが爬虫類のような目つきの冷淡な息子を演じた新星のエズラ・ミラーなど、キャストたちの凄まじい演技によって、このサスペンスは成り立っているのだ。子を持つ母親は、これを見たら恐怖を感じざるを得ない。

しかし思うに、幼少時代のケヴィンを演じた子役の演技が上手かった。赤ん坊のころは泣きやまず、3歳になっても言葉を発さず、6歳になってもオムツが取れないなんて、これは母親を困らせてやろうという、もう知恵が付いてもおかしくない年頃。母親に対して反抗心を剥き出しにする息子。手の施しようがないと諦めてはダメ。子育てって大変なんです。
息子が大事件を起こしてから、彼女は郊外の朽ち果てた家で暮らしている。外壁には赤いペンキがぶちまけられ、見知らぬ人からは罵倒されたり、息子が犯した事件で彼女はこの生活を強いられていた。

この物語の少年は、まだ未成年であるからして、学校で友達を無差別に弓矢で射って殺傷事件を起こし、家の庭では父親と妹も弓矢で射って殺してしまう。その前に、まだ幼い妹をケヴィンが台所の薬品で、意図的に妹の片方の目が失明するという事件なのに、両親とも息子を叱らないのだ。これは、人間を傷つけてはダメだという躾と教育がなってない。
人間の命の尊さを息子に教えていないのだ。道徳教育なのに、父親は息子に弓矢を与え練習させ、これが危険だということを教えていない。
母親が刑務所に面会に行き、息子に「何故?、どうして?」とため息をつきながら問う場面がある。自分の産んだ血の通った息子に対して聞きたいのだ。答えなどない。それは母親が一番知っていることだから。と私は思うのだが。
自分の子供が人道に外れたことをやってしまう。人を殺すということを息子は母親に対して「愛情の見せしめ」、「自分にもっと目を向けて欲しい」、「自分を愛して欲しい」と願う、利己主義的な偏った心情。それがたった一つだけ、自分を抱きしてめて欲しい。母親を独り占めしたいという願望なのかもしれない。だが、もしかして精神異常者なのかもしれないのだ。その判別は精神鑑定をしないと分からない。

それが分かるから、この息子が刑期を終えるまで自分は待っている。そしてそれからのことを考えよう。今結論を出さなくてもと、この母親は考えているのだろう。だって、自分の血を分けた子供とは一生縁を立ち切れないのだから。
本作の鑑賞後は、後味の悪さが残り、そこがこの映画のポイントなのだろう。それは息子ケヴィン役を演じたエズラ・ミラーや、その他の俳優たちの演技によるもので、目つきが本当に鋭く、見ている側としてもエヴァの気持ちのようになってしまう。スペインのトマト祭りの中のティルダ、家の外壁の赤、その他原色の赤色が上手く強調されていて、映像的に恐怖心を煽っているのが印象的でした。
2012年劇場鑑賞作品・・・85

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