パピとママ映画のblog

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アメリカン・ドリーマー 理想の代償★★★★

2015年12月21日 | アクション映画ーア行
『マージン・コール』『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』などのJ・C・チャンダーが放つ社会派ドラマ。1980年代初頭のニューヨークを舞台に、オイルビジネスに参入した実業家夫妻が、何者かの策略によって窮地に立たされる姿を追う。主人公夫妻にふんする『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』などのオスカー・アイザック、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインらが出演。さまざまな思惑が交錯する石油ビジネスの実態に加え、全編を貫く緊迫感あふれるタッチにも圧倒される。
あらすじ:1981年のニューヨーク。モラルを無視したつぶし合いが平然と行われている石油業界に乗り込み、公明正大なビジネスを経営理念に掲げた会社を夫婦で立ち上げたアベル(オスカー・アイザック)とアナ(ジェシカ・チャステイン)。全財産を投げ打って事業拡大に必要な土地の購入に取り掛かるが、それを待っていたかのようにオイルの強奪、脱税の嫌疑といった思わぬ問題が降り掛かってくる。アベルたちの悪評が広がり、銀行の融資も絶たれ、アナとの仲も揺らぎだす。

<感想>急成長の時代から停滞期に突入し、統計史上もっとも犯罪が多かった1981年のニューヨークを舞台に、アメリカンドリームをかなえようとした実直な移民の青年実業家の光と影を描く社会派ドラマ。主人公のアベルには「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」に抜擢されたオスカー・アイザックが、その妻には「インターステラー」のジェシカ・チャステインが演じて、アルマーニで身を固めた彼女が最高ですから。

そればかりではない、妻のジェシカ・チャステインの存在の重みである。夫のアベルに想いをぶつける台詞に「あなたは、自分の勤勉と幸運と魅力だけで、ここまで来たと思っているわけ?どうなの」お金の管理は妻のアナなので、ギャングの娘ということもあり、会社の金を二重帳簿でピンハネしていて、それを別の銀行に預けていたのだ。最後に、金策に走る夫に。冷ややかに「お金はあるわよ」と、会社の金をごまかしていた妻の悪知恵が役にたつことになるとは。

それに、銃を嫌う夫だが、家に強盗が入り、その強盗が拳銃を玄関の茂みに置いて行った。妻は拳銃をいつの間にか所有して、ある夜、夫婦で車で帰って来る時に、鹿を轢いてしまいまだ生きている鹿に、夫は車のスパナを取り殴ろうとするも、妻は拳銃で一思いに殺してしまうやり方。

オイル会社社長として脇目もふらず働いてきた真面目な男アベル。事業拡大のためにユダヤ人の土地の購入するため、全財産を払うのだが、残金は30日以内に支払わなければならない。でないと、その金は返ってこないし、土地もパーになるのだ。
オープニングでこのセリフなので、きっとこの主人公は災難に見舞われて悪戦苦闘するだろうなぁと予想できる。

そして、アベルの会社のトラックが襲われてオイルが盗まれる事件が起こる。運転手の男も大怪我をして、営業に廻してくれと言うのだが、ケガが良くなるとまた運転手でという、そしてまたもや襲撃事件が起きて、トラックを襲われた運転手は拳銃を発砲して逃走してしまう。警察は運転手を指名手配する。

そこへ、ローレンス検事がアベルの会社を企業犯罪の疑惑を抱き、徹底的に調べ上げているのだ。脱税と詐欺で告訴するとアベルに告げ、家までやって来るのだ。妻は、二重帳簿がバレないようにと、床下へダンボール箱を隠させるのだ。
そんなことがあり、銀行は金の融資を断ってくる。30日以内にユダヤ人に残金を支払わないと、全財産をつぎ込んだのにダメになってしまう。それに、どづいうわけか、トラックのオイル強盗がアベルの会社だけ頻繁に起きるのも不思議だ。誰か、裏で操っている人間がいると疑うのだが。

クリーンなビジネスを信条とするアベルも結局は、ユダヤ人の土地の残金を妻の隠し口座から出して自分も悪の仲間入りになるアベル。運転手がやって来て、アベルに拳銃を向ける。撃つのかどうか、いや運転手は自分の頭を撃ち、その弾がタンクに命中し穴が空いてしまう。死んだ運転手の傍に行き、抱き抱えるのかと思えば、タンクの穴をハンカチで塞ぐアベルに、「あんたもアクドイよ、かなり」と思ってしまった。
原題が「もっとも暴力的な1年」というタイトルよりも、風景が荒んだ都市の産業地帯の路と壁、汚れた雪と白い息、低く射す冬の光の色合い。イーストリバーを挟んで向こうに見えるマンハッタンの摩天楼も等身大で、けっして威張っては見えないのだ。
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