パピとママ映画のblog

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さざなみ ★★★★

2016年06月01日 | アクション映画ーサ行

「愛の嵐」「スイミング・プール」のシャーロット・ランプリングと「長距離ランナーの孤独」「ドレッサー」のトム・コートネイの共演で贈る辛口の夫婦ドラマ。今は亡き夫のかつての恋人の存在が突然浮かび上がってきたことで、思いがけず心をかき乱される妻の葛藤と、亀裂が生まれた夫婦の愛の行方を繊細なタッチで描き出す。監督は、これが長編3作目のアンドリュー・ヘイ。
あらすじ:イギリスの片田舎で穏やかな毎日を送る老夫婦のジェフとケイト。5日後に結婚45周年の記念パーティを控える中、スイスの警察から1通の手紙が届く。それは、50年前にジェフと登山中にクレパスに転落して亡くなった当時の恋人カチャの遺体が、昔のままの状態で発見されたことを知らせるものだった。以来、ジェフはカチャへの愛の記憶に浸っていく。最初は自分と出会う前の話と平静を装っていたケイトも、“彼女と結婚するつもりだった”と悪びれることなく口にする夫に次第に不信感を募らせ、いつしかそれはこれまで積み重ねてきた45年間の結婚生活にも向けられていくのだったが…。

<感想>主人公のシャーロット・ランプリングのファンである娘が観てきて、私に「凄く感動した」と言って薦めてくれた。かなりお歳を重ねていて、皺を深く刻んだ彼女の円熟した女としての美しさを、胸がつかれるような厳しい物語の中に、これほどに品が良くて人間的に沁み込ませて、不信感やら絶望感といったものを、冷徹な演出で浮き彫りにする監督の手腕とシャーロットの演技に拍手。

結婚45周年を迎える夫婦に小さな溝が生じるが、それによる気持ちの揺らぎをシャーロット・ランプリングが演じることで、静かだがヒリヒリとするような映画的緊張が途切れないのだ。
確かに亡くなった昔の恋人のことなど、今更そこまでに嫉妬するのかと思う人もあるだろうが、良く言う言葉に「亡くなってしまった恋人だからこそ、永遠に昔の若い彼女の姿を思い浮かべる」夫に腹が立つのだ。

歳をとると人生が穏やかになるなんて、誰が言ったのだろうか。これは痛い、痛すぎる。45年間も一緒に暮らしてきた夫婦なのに、何を今更に夫がその彼女のことを思うのかと。夫の予期せぬ動揺ぶりに、妻の気持ちはたじろぐ。さらには、夫がつぶやいた一言が、畳みかけるように彼女の心を打ちのめす。スイスまで、確かめに行こうという夫に嫌悪感を覚える妻。

そして、屋根裏から夫の亡くなった恋人の写真が出てきて、もしかして妊娠をしていたのではと。自分たちには子供ができなく45年も仲睦まじく暮らしてきたのに。その悔しさも少しは彼女の脳裏にあるのではないかと思った。

穏やかだけど成熟を信じない知的な夫婦の末路の話である。このヒロインが結婚生活45年をどう過ごしてきたのかが、あまり見えないのが不満だが、彼女は夫に寄り添ってきただけではないはずだから。

シャーロット・ランプリングの佇まいや感情の揺れだけで全編が綴られていくのだが、それがこの作品の醍醐味でもあります。ラストで、夫とプラターズの曲に合わせて「煙が目にしみる」を踊る妻の心の動揺が手に取るように分かり、ダンスが終わってすぐに夫の手を高く払いのける仕草には、彼女の怒りが現れており、夫に私の心を察して欲しいと訴えているかのように見えた。
主演二人のさすがの貫禄で全編を見せきるが、フィルムやレコードが老夫婦の薄れゆく記憶とあいまいな不安に、そっと“さざなみ”を立てる。その瞬間の内なる表情を見ようとしている観客は、人間の複雑な内面の心情を読み取るに違いない。
間違ってもデートムービーではないし、夫婦で観に行っても後で気まずいことになるに違いない。とりわけシャーロット・ランプリングの真に迫った演技に心を打たれた。

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