パピとママ映画のblog

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NY心霊捜査官 ★★★.5

2014年09月30日 | アクション映画ーナ行
元ニューヨーク市警の警察官ラルフ・サーキが、自らの体験をもとにつづった手記「エクソシスト・コップ NY心霊事件ファイル」を映画化した実録サスペンスホラー。ニューヨーク市警の刑事ラルフ・サーキは、動物園で子どもをライオンの檻に投げ捨てた女を逮捕するが、女は何かにとり憑かれたように震えていた。また、別の夜に逮捕した、妻に暴力をふるった男も同じ様子で、ラルフは全く別のこれらの事件を通じて、自分にしか見聞きできない何かの存在を感じとる。ジョー・メンドーサ神父からは、霊を感じる能力を捜査に生かすべきだと助言されるが、ラルフ自身は悪霊や霊感といったものを信じ切れない。しかし、それぞれの事件現場に残された「INVOCAMUS」という謎の言葉を見つけたラルフは、より一層、悪霊の存在を強く感じるようになる。主人公ラルフをエリック・バナ、メンドーサ神父を「ゼロ・ダーク・サーティ」のエドガー・ラミレスが演じた。製作は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのジェリー・ブラッカイマー、監督は「エミリー・ローズ」のスコット・デリクソン。

<感想>冒頭で、2010年、イラクの砂漠地帯。3人の米国海兵隊員が、薄気味の悪い地下の洞窟の中へと入っていく。もちろん、手にはビデオカメラが。そこで彼らが見たものは、戦場よりも恐ろしいものだった。もう、最初っからおどろおどろしい映像で、これからどんなことが起きるのか楽しみって思ってしまった。
DVの通報を受けて急行すると、加害者の男は、イラクで冒頭の洞窟の中へと入っていき、撮影していた3人の中の一人のジミーである。

憑依された者が元軍人であるため、接近して戦う戦闘能力があり、ナイフやトンカチなどを用いたリアルなアクションも展開されます。動物園のライオンの檻に、我が子を投げ捨てて、泡を吹きながら“ドアーズ“の曲を口ずさむ謎の女ジェーン。その近くで落書きにペンキを塗る不審な男を発見。拘束しようとするも逃げられてしまう。

そして、何かを封印するように塗り込められた壁の下から出て来るラテン語とおぼしき呪文。無音の監視カメラから、ラルフにだけしか聞こえない子供たちの泣き声やノイズ。そして、自分にしか見えないビデオカメラ映像の最後に、頭を血にまみれた男の顔がアップされる。
気の狂ったようなジェーンは逮捕されるも、その後見人だというメンドーサ神父が立ち会う。

また、別の夜には、地下室で妙な音がするという通報で、ラルフらが訪れると、地下室の壁に隠された男の死体が出て来る。この男の身元はジェーンの夫で、イラクで洞窟の中へと入ったグリッグス。3人の残るは、動物園にいた男サンティノだったようだ。この男が、イラクから帰って3人で塗装屋を始めたらしい。
メンドーサ神父によれば、壁に書かれていたのは、バビロンの霊への伝言で、3人は“通り口”として憑りつかれたというのだ。ところが、悪魔の手先のサンティノの魔の手は、ラルフの妻子にまで伸びて、ラルフはメンドーサ神父と共に、ようやく逮捕したサンティノにエクソシズムを行うのである。
ラルフの娘が父親に何だか床下から変な物音がして怖いといっているのに、自分が刑事として取りかかっている仕事に夢中で、てんで相手にしないのがダメですね。

つまりは、エクソシスト、悪魔祓いの作品であり、物語りには科学による検証などの客観的視点がほとんどなく、主人公の刑事が生真面目に怪現象に立ち向かい、悪魔祓い活動にまい進していく姿に、眉唾感が多々あるのだが、監督の脚本は、原作のエピソードを一つにまとめて、原作にはない若い神父を登場させて、悪魔祓いの進行や悪魔の知識はそちらに任せて、エリック・バナ演じる霊感の強い敏腕刑事が、常識では考えられない存在を目の当たりにして、戸惑いながらもやがては悪魔との戦いに挑む覚悟を決めるという展開でもある。

何だか、「セブン」を彷彿とさせるダークでシリアスな刑事ものサスペンス・スリラーのよう。そこに強烈な残酷描写を含むリアルな恐怖や、ショックシーンが次々と飛び込んでくると言う仕掛け。監視カメラや、スマートフォンの映像なども駆使しながら、安易なPOVは避けて、異世界がじわじわと滲みだしてくるような恐怖感を煽っているのだ。

まったくホラーのイメージはないが、その題材そのものはホラーというより、怪事件ばかりを追う異形の刑事ドラマを見ているようだった。それに、この作品は、監督が10年間企画を温めていたそうで、近年の悪魔祓い映画では、特に記憶に残る「エミリー・ローズ」のスコット・デリクソンである。監督の代表作でもある、悪魔祓いを受けた少女が死亡し、裁判となった実話の映画化したものと、呪われた8ミリフィルムを見てしまったノンフィクション作家が体験する恐怖を描いた「フッテージ」の脚本兼監督作がある。どちらも練られた構成と、観ていて内臓に響くリアルな恐怖感に満ちたパワフルな映画だった。
エリック・バナが演じている主人公のラルフ・サーキは実在の人物で、彼の体験談をまとめた手記を映画化したもの。だからという分けではないが、この作品が、彼の過去作の集大成的な印象が漂っているのに納得がいく。

いやいや、主人公というよりも、悪魔に憑りつかれた人物が、狂い悪魔のようになる凄まじい形相演技が素晴らしくて良かったです。つまりは、この本作こそ、デリクソンが本当に撮りたかった1本であり、物足りなさは残るものの、そんな想いがしっかりと伝わってくる渾身の力作のような気がした。
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