風の音パンフルート製作工房

浅い軽やかな音・心に沁みる奥深い音を自然の素材から自在に引き出します。パンフルート販売・修理・見学受付け中。

柔らかい音は鈍重

2015-09-19 | パンフルート演奏研究

パンフルート工房で作られるパンフルートは温帯の竹を使用して自然の素材音を生かしながら加工しているので

「柔らかい音」となります。

   

 自然の音を生かすため仕上げニスの量も最小限に抑えてあります。量が多くなるにつれ音は固くなります。

柔らかい音が反応が鈍く鈍重な主な要因は、素材組織の空間の多さにあると思われます。

パンフルートで音を出す時、管の中には通常の1気圧の空気が詰まっています。

これを人の肺からだされる圧力のある空気を吹き込むと閉塞管であるパンフルート管では逃げ道がなく、歌口向かい

側エッジに集まり「霧吹き状態」となりこの時出来る渦で振動を発生させます。

管に空気を吹き込んだ最初は(1気圧の時)空気の先端は底まで届きますが、しだいに管内圧力が上がって来ると

空気を押し戻すようになります。

それが管上部から溢れるようになった時点で音が立ち上がると私は体感しています。

つまり管内圧力が1気圧から音が発生しうる気圧まで上昇するのにすこし時間を要します。

管の材質が金属・ビニール管であったり分厚いニスをぬってある管であったりすると圧力はすぐさま上昇しますが、

当工房パンフルート管のように柔らかい組織であると幾らか吸収されて圧力上昇にもたつきます。

私はこの圧力上昇の時間差が固い音と柔らかい音を振り分ける分岐点と考えます。 

   

 1ヶ月くらい前野良猫がやって来て知らぬ間に納屋2Fに3匹の子を産んでいました。仕方ないので育てています。

 

風の音パンフルート製作工房では自然の音を大切にした楽器作りを行なっております。

購入・修理・貸し出し・教室などのお問い合わせは080-5235-7664またはpanfrute@ybb.ne.jpまでどうぞ。


熱帯の竹・温帯の竹

2015-09-17 | パンフルート作り

竹は熱帯原産とされており西日本・東海地方の温帯よりベトナムの湿度の多い熱帯まで広く分布しますが、北海道・

ヨーロッパ中北部には自生しません。

   

 パンフルート製作工房のある西日本は竹の宝庫です。工房から歩いていける範囲に10種類以上が手に入ります。

ヨーロッパ特に南部は温暖なイメージがありますが、緯度で見ると東北青森とイタリアローマは同じ線上にあります。

ここら辺りが竹自生の北限と思われます。

竹に北限がある一つの理由は雪の量にあります。

雪の多い地方では竹は重みでつぶれてしまうので育ちきれないのです。

私の工房がある広島市安芸区では年に2~3度雪が積もりますがこの時のメダケは上部の葉に雪を受け大きくたわみ

ます。(雪は2日もたてば溶けて、たわみも半分くらい回復します)

この時竹1本に集中しないよう竹林全体で荷重を受ける工夫をしているようです。

春にはこのたわみは回復し直に戻りますが、温帯地方の竹は雪に備えしなやかな組織となっています。

曲がりに対応するように育ち、それにより音も「柔らかく音を吸収、しなやかに包み込む」ようになります。

一方熱帯育ちの竹は強風に備える程度で済み、組織密度が濃く固く剛に育ちます。

それにより音は「固く音を反射、鋭く跳ねる」ようになります。

   

 熱帯育ちの竹パンフルート音は「固く鋭く跳ねる」   温帯育ちの竹パンフルート音は「柔らかくしなやか鈍重」

 

風の音パンフルート製作工房では自然の音を研究しながら楽器作りを行なっております。

購入・修理・貸し出し・教室などのお問い合わせは080-5235-7664またはpanfrute@ybb.ne.jpまでどうぞ。


柔らかい音の作り分け

2015-09-15 | パンフルート作り

当パンフルート製作工房では「柔らかい音」「暖かくほのぼのとした音」を意識的に作り出しています。

   

 柔らかい音を出すには素材下処理から仕上げニス塗りまで幾つかのポイントがあります。

言い換えれば当工房でも「固く鋭い音」のパンフルートは作る事はできます。

しかしDAJOERIさんの音に似せる必要もないし、日本の素材を使って日本人の心を表現するのですから素材の持つ

柔らかい音を生かして行っているので、わざわざ手を加えてまでも固い音の方向には向かっていません。

パンフルートの音を柔らかく保つには私は大きく別けて2つの方法を取っています。

一つは素材乾燥後寸切りした管をまとめて大鍋で1時間以上煮沸します。

竹の繊維の中にはもともと水分と油分を含んでいます。

水分は軒先などに1年以上吊るしておくと蒸発して繊維内部に蒸発した分量だけの細かな空間ができます。

この組織内空間が音を響かせた時に振動を和らげる効果があると思われます。(木の内部は竹に比べさらに多くの

毛細管が張りめぐされており、空間の多い木管はもともと柔らかく暖かい音を出します。)

当工房では乾燥と同時に煮沸することにより油分を外に出し、さらに多くの微細空間を作り出しています。

極端な例で密度の違う金属管と木管の音の質を比べれば理解できると思われます。

こうして多くの微細空間を持つ管として素材下処理を行なった当工房パンフルートの音は、音を吸収しすぎるという

負の面はありますが「柔らかく・暖かいほのぼの」とした音に仕上がって行きます。

   

 

風の音パンフルート製作工房では自然の素材を生かして柔らかな音づくりを行なっております。

購入・修理・貸し出し・教室などのお問い合わせは080-5235-7664またはpanfrute@ybb.ne.jpまでどうぞ。


23台を組み立て中

2015-09-13 | パンフルート作り

今の作業は大小23台のパンフルートを組み立て中です。(竹11台、カイヅカイブキの木12台)

   

 長い管の下処理作業が終わり、台座の上での組み立て作業でパンフルートの形が出来上がります。

内訳は 竹 10管ピッコロ 4台 (小学生用・1万円販売入門用)

      11管ピッコロ 2台 (1万5千円販売入門用)

      15管ピッコロ 2台 (高音部2オクターブ・1万5千円販売・中上級者用)

      15管アルト  4台 (入門用中音域アルト・2万円販売)

      16管アルト  2台 (入門用中音域アルト・2万5千円販売)

 被爆樹木カイヅカイブキの木(非売品・小学校他に納品)

      20管ソプラノ  2台

      22管アルト   6台

      23管テノール  4台

これらのパンフルートは4~6ヶ月後には完成予定です。

   

 

パンフルート製作工房では自然と共に楽器作りを行なっております。

購入・修理・貸し出し・教室などのお問い合わせは080-5235-7664またはpanfrute@ybb.ne.jpまでどうぞ。


私の楽器製作の想い

2015-09-11 | パンフルート演奏研究

ヨーロッパで主流の音の立ち上がりの早い楽器と比べ、日本広島のパンフルート工房で作られるパンフルートは少し

時間がかかるように作ってあります。

   

 パンフルート工房の楽器は音の立ち上がりが遅いのが特徴です。ここにも一長一短がありどちらが良いとも言い

 切れません。

私はパンフルート製作を志した当初からヨーロッパの楽器を特にDAJOERIさんの楽器を手本に見よう見まねで作って

来ました。

私の工房で努力を積み重ね外観は遠く及びませんが楽器の発する音を比べられるレベルになった時、両方の音から

感じるイメージはDAJOERIさんの音は「固く鋭い音」でルーマニア舞曲の楽しく激しい音楽に合います。

一方私のは「柔らかく暖かい音」で日本民謡や演歌調のしっとりした雰囲気の音楽に合います。

DAJOERIさんの楽器を手本としながらも日本人の心はちゃんと手にする物質に乗り移るのですね。

それぞれの土地の気候風土・歴史で積み重ねて来た気性・空気感の違いで出来上がる音が決まって来るのだと強く

感じます。

   

 

風の音パンフルート製作工房では自然と共に生き自然の音を大切にした楽器作りを行なっております。

購入・修理・貸し出し・教室などのお問い合わせは080-5235-7664またはpanfrute@ybb.ne.jpまでどうぞ。