風の音パンフルート製作工房

浅い軽やかな音・心に沁みる奥深い音を自然の素材から自在に引き出します。パンフルート販売・修理・見学受付け中。

新しい仲間の紹介 4

2014-06-30 | 古代楽器を再現する

古代から伝わるパンフルートの形と音を現代によみがえらせる取り組みです。

   

中国・雲崗石窟の古代パンフルートを持つ彫像。1500年前の形を現代の管の直径・長さに置き換えて製作しました。

                          製作NO・207 雲崗石窟モデルパンフルート(テノール)

パンフルートの起原はギリシャ神話に登場する「牧神パーン」に由来すると言い伝えられております。

時を経てシルクロードを通り中国に伝わったパンフルートは西暦460年ごろから建設が始まったとされる雲崗石窟・

第12窟前室北壁の技楽飛天が持つ楽器の一つとしてこの世に刻まれました。

   

この歴史の証言・タイムカプセルともいうべき姿を現代によみがえらせるべく上写真をてがかりに当パンフルート工房

で再現に試みました。

この雲崗石窟は北京の西約200㎞の大同市にあるということで近いうちに訪れその姿を目にやきつけて来たいものだ

と計画しています。

 でき上がったパンフルートを手に取ると管の直線と底部箱型の柔らかい曲線がピタリと両手におさまります。

従来型の低音部は必要最低限の長さに切断しておりますが、この型は低中音部を長めにしております。

そのためパンフルート管同士の共鳴が違って来るのでしょう、どの管を吹いても従来型とは異なった響きがあります。

全ての管で均一化された響きを感じます。

ようするに音がまとまって同じ方向を向いているような統一感のある楽器です。

パンフルート製作・販売を行なっております。お問い合わせは080−5235−7664またはxiaxi@go8.enjoy.ne.jpまで

調律道具販売・パンフルート修理・パンフルート教室なども行なっております。お申し込みください。


中国・雲崗窟モデルも寸切り

2013-02-04 | 古代楽器を再現する

            古代パンフルートを現代に再現しようとする試みを行っています。

   

 雲崗窟にパンフルートを持つ伎楽飛天がおられます。    雲崗窟モデルに沿って長さの違う寸切りをします。

 雲崗石窟(うんこうせっくつ)は中国山西省大同市(北京の西約200㎞)の西方16㎞の武周川の断崖に東西

1㎞にわたって作られた252窟からなる石窟寺院群であります。

2001年に世界文化遺産に登録されております。

この石窟は西暦470年頃から建設が始まったとされておりますので1500年前当時の風俗・当時使われていた

楽器類を忠実に再現されているものと思われます。

上写真の楽器を持つ伎楽飛天彫刻は第12窟前室北壁におられます。

この古代パンフルートを持つ姿を目にしたのは古代楽器を研究されている方のブログで偶然見つけたものです。

この方の説明文には中央の「5弦の琵琶」のことしかなくパンフルートについては関心がなかったかと思われます。

私はパンフルートのことしか頭になく中央から外れた位置でも真っ先に目に飛び込んできました。

見た瞬間この技楽飛天さまがつぶらな瞳で私に「この手に持つパンフルートをあなたが再現してください」と呼び

かけるのです。

私はこの雲崗窟パンフルートの再現を即決いたしました。

パンフルート購入・修理・蜜蝋などの問い合わせは082-894-0854または香原 良彦 <xiaxi@go8.enjoy.ne.jp>

までどうぞ。広島パンフルート愛好会教室へもどうぞ。nakamura@an-pan.org


古代パンフルート寸切り開始

2013-02-01 | 古代楽器を再現する

    1月は山へ入り薪集めに専念してまいりましたが、一段落をつけパンフルート作りの作業を進めます。

    

 竹の寸切り作業は寸法のみ違い普段と変わらぬ作業。   正倉院モデルのパンフルートを数値化して表にしたもの。

 古代パンフルートについては昨年来より再現の計画を立て資料集めを行なって来ました。

正倉院展目録の甘竹簫項目の中には最長管の長さおよび楸木の帯の長さと18管であったことが記されています。

3点以外の数値は写真図形による比率と現代の音階にあてはめて数値を決定する以外にありませんでした。

最長管の長さから音程を現代音階にあてはめるとE音に相当します。

まず正倉院古代パンフルートは最低音をEに設定して18管を並べ置きました。

寸法切りは普通は上部歌口部分の内径を基準に下方向に何センチと決め切り落とすが、正倉院モデルでは底の部分に節が

残っている形のためまず最初に節を半分残す切り方(園芸業者さんでは「節止め」と呼ぶ)で切り落としたうえでそこを

基準に上方向の長さを決め歌口部分を切り落とす。

切り方は普通とは逆の基準点となります。

この切り方の難しい点は歌口部分の内径が計れないまま位置を決定しなければならない点にあります。

外径から肉厚を予測して切り落とすのですがなかなか希望の寸法であってくれません。

予測より2管上の長めの寸法に切り落し計測しながら1段ずつ目的の寸法に近づけます。

パンフルート購入・修理・蜜蝋などの問い合わせは082−894−0854または香原 良彦 <xiaxi@go8.enjoy.ne.jp>

 までどうぞ。広島パンフルート愛好会教室へもどうぞ。nakamura@an-pan.org


2013年度の計画・古代楽器再現

2013-01-02 | 古代楽器を再現する

         今年のパンフルート工房は古代楽器を現代によみがえらせて行きます。

    

             パンフルート工房内風景。    中国山西省・雲崗第12窟の技楽飛天(5世紀)

 古代パンフルートは古代ギリシャ語が発達した紀元前1000年ごろから神話に登場し歴史上の記述に初めて姿

をあらわします。

その後シルクロードを通り中国に伝わり西暦500年頃作られた山西省・雲崗窟にその姿が刻まれます。

日本では西暦756年聖武天皇没後東大寺に納められた遺品のなかに甘竹簫(かんちくのしょう)があり、現在

までその形は正倉院に残されています。

当パンフルート工房では古代からめんめんと伝わるパンフルートの息吹を現代に蘇らせようと計画し資料集めなど

の準備を行なっております。

そのため昨年の11月第64回正倉院展を見に行き現物の息吹を肌で感じるとともに資料を入手してまいりました。

雲崗窟と正倉院の2つの形を試作して行きますが、当時の材で作るのは無理なので現在パンフルート工房手持ちの

竹材のなかから近そうな材質のものを選び組み立てていきます。

見た目の形は忠実に再現していきます。正倉院簫については最長管と楽器幅の寸法が記載されており参考とします。

形が変われば音も変わってきますので、この2つのパンフルートがどのような音を出してくれるか完成が楽しみに

しております。

パンフルート購入・修理・蜜蝋などの問い合わせは082-894-0854または香原 良彦 <xiaxi@go8.enjoy.ne.jp>

までどうぞ。広島パンフルート愛好会教室へもどうぞ。 nakamura@an-pan.org


パンフルートはパイプオルガンの原型

2012-12-31 | 古代楽器を再現する

      パンフルートはパイプオルガンが生まれる時の形や音のでる原理の原型となりました。

    

  大型のコントラバスと定型のアルトパンフルート。           パンフルート前畑お正月用の白菜。

 パンフルートは1音の音程を出す管を横一列に束ねて固定したシンプルな楽器であります。

1管1音と言いましたけれど、1管で半音下げる奏法はパンフルート演奏上必要不可欠な技法であります。

上級クラスになると1音半から2音下げることも可能になります。

歌口から送り込む空気の圧力を変えたり角度を変えたり管の口径を下唇で半分塞いだりして音程を下げて行きます。

音程を下げることが可能ならば上げることも出来るだろうと思われるでしょうが1管で音を上げて行くことは非常に

難しくなります。私で半音まで上がりきりません。

私はパイプオルガンに精通しているわけではないので軽々なことは言えませんが、オルガンの鍵盤を叩くちからを

てこの原理などで伝え管上部に空気を送り込むことで音を出しているとおもわれます。

パンフルートは人の唇から直接、パイプオルガンは間接的に空気を送り込む違いがあるだけで音の出る原理は全く

一緒です。

その他にも管の径と長さにも共通点があり後世パイプオルガンが発想されたときパンパイプ(パンフルート)が

手本になったことは容易に想像できます。

パンフルート購入・修理・蜜蝋などの問い合わせは082-894-0854または香原 良彦

までどうぞ。広島パンフルート愛好会教室へもどうぞ。nakamura@an-pan.org