風の音パンフルート製作工房

浅い軽やかな音・心に沁みる奥深い音を自然の素材から自在に引き出します。パンフルート販売・修理・見学受付け中。

一長一短・諸刃の剣

2015-08-30 | パンフルート演奏研究

DAJOERIさんと私の製作したパンフルートの音質は違いを見せます。

それぞれに特徴があり、長所もあれば欠点もあります。

   

 DAJOERIさんのは明るく歯切れはよいのですが情緒に欠けます。私のは柔らかい音なのですが明朗さに欠けます。

製作者が違えばパンフルートの音質も違うのは当然のことなのですが、両者の表現する感情世界も違っているように

感じます。

ここではどちらが良いとかまずいとかの判断をしているのではなく、演奏家が音質の多様さを受け入れてパンフルート

の可能性を広げて行かれるよう製作者からの視点で情報をお知らせしているのです。

演奏家はテクニック向上に主な視点を置いておられますが、練習時から音質・感情方面にも視野を広げて総合的に進ま

れることを希望いたします。

私のような「音質中心の見方をする人もいる」ということを知っていただくことで始まるでしょう。 

   

 久しぶりにホウライチクの竹林に行って見ました。若竹が多数芽吹いており竹林面積が広がっていました。

 

風の音パンフルート製作工房では自然の持つ音の性格を生かした楽器作りを行なっております。

購入・修理・貸し出し・教室などのお問い合わせは080-5235-7664またはpanfrute@ybb.ne.jpまでどうぞ。


私の楽器音質は♭調向き

2015-08-28 | パンフルート演奏研究

私は長い間#1のト長調を避け♭の調を中心に練習してきたので、私が製作する楽器の音質も♭調方向に対応すべく

自然と甘く柔らかな音になって来ていたのですね。

   

 左はホウライチクのパンフルートで特に甘くほのぼのとした音質です。右は出発点となったオリーブパンフルート

たとえば同じ材質を使っても製作者が違えば音質が違って来ます。

材料の下処理・組み立て工程・歌口の形状・ニスの違いなどで別々の響き・感情が出てくるのです。

以前からDAJOERIさん(スイスのパンフルート製作者)と私パンフルート工房の楽器の音は「固さと柔らかさ」

「歯切れの良さとぼんやり感」で両極の位置にあることは感じていました。

しかしその理由まではわからなかったのですが、今回スイスからの直購入でDAJOERIさんの曲集4冊を購入して

その内容が明らかにト長調中心であることを知り、違いの理由が解きほぐされて行きました。

両者の性格や考え方の違い、包まれている音の世界の違い、民族性、好みの音の違いなどが如実に音として形として

現れて来るものなのですね。

   

 

風の音パンフルート製作工房では自然の持つ音を大切にした楽器作りを行なっております。

購入・修理・貸し出し・教室などのお問い合わせは082-894-0854またはpanfrute@ybb.ne.jpまでどうぞ。


DAJOERIさんの音質はト長調向き

2015-08-26 | パンフルート演奏研究

ヨーロッパのパンフルート演奏世界がト長調中心になっている中、楽器製作の中心におられるDAJOERIさんの

パンフルート音質も明るく剛健なイメージのト長調に合う音になっています。

   

 DAJOERIさんのパンフルートは日本でも相当数出回っています。外国製楽器のの3分の1を占めるでしょう。

パンフルート製作者は自らも曲を吹いて楽器の音質を確かめ、自ら理想とする音質を追求いたします。

そういう面で私の製作するパンフルートには私の理想とする音が現れています。

毎日私の楽器を吹き続け(多くの調で雰囲気を見る)音を確認し、音に浸ります。

テクニック上達は問題外でひたすら音質・感情表現を追求しています。

こうした中でたまに他の製作者のパンフルートの音を聞くと、私の楽器との音の違いが鮮明に聞き分けられます。

私がそうであるようにその方の音を聞くと「何を意図して音作りを行なっているのか」の内面まで見えて来ます。

 

私の楽器の出している音とくらべてDAJOERIさんの楽器の音は「固く歯切れの良い」音に感じます。

DAJOERIさん自身ト長調中心に吹かれてその魅力を最大限に生かす音作りをされているのでしょう。

これは「意図を持って音を導き出しているであろう」という私の推測でしかありませんが・・・

いつか確かめたいものであります。

   

 パンフルート工房製作のパンフルート。(23管テノール・素材はホウライチク)

 

風の音パンフルート製作工房では自然の音の雰囲気を生かした楽器作りを行なっております。

購入・修理・貸し出し・教室などのお問い合わせは080-5235-7664またはpanfrute@ybb.ne.jpまでどうぞ。

 


使用楽器(最低音)の違い

2015-08-24 | パンフルート演奏研究

ト長調中心の演奏家と多調対応の演奏家では使用するパンフルートの最低音が違っています。

   

 愛好会先生のアルト・バスの最低音Gの同型タイプ。  私が使用しているアルトG・テノールCのパンフルート。

両者ともこの2台の組み合わせで全ての曲に対応しています。

5年前の事、パレスチナオリーブの木のパンフルートが10数台完成しました。

みなさんに平和の発信をしていただくため希望者に頒布いたしました。

広島パンフルート愛好会指導者の中村先生には特に期待を込めて2台を贈呈することといたしました。

木のパンフルートではバスGの長い管の穴あけは無理なので最低音C管のテノールと最低音G管の標準タイプパン

フルートの2種類を製作しました。

私は中村先生に2台と指定すればアルトとテノールを選ばれ幅広い表現をされると思い込んでいましたが、意外な事

に同タイプのアルト2台を選んで持ち帰られました。

中村先生とか岩田プロはヨーロッパ直輸入のパンフルート専用楽譜を使用されており、22管標準型アルトパンフ

ルートで全ての曲に対応できると公言なさいますが、フルートの楽譜しか入手する手段のなかった私の楽譜は最低音

ド(C)が中心で工房製作の23管テノールで全ての曲に対応してきました。

ト長調中心のグループと多調の私では選択する楽器が違って来るのですね。  

   

 22管アルトパンフルート(オリーブの木)   アルト(下)とテノール(上)オリーブの木のパンフルート。


危惧したことが現実に

2015-08-22 | パンフルート演奏研究

今年の11月に広島で「第5回中村先生をかこむパンフルートのつどい」が開催される運びとなっておりますが、

各グループの発表曲がもれ伝わって来る中、やはりと言うべき現象が起きています。  

   

 以前グループ用に3重奏楽譜を作ったのですが、皆が吹きやすいようにとト長調に書き換えられています。

聞く話によるとあるグループでは合奏曲を今年もト長調に書き換えて練習しているそうです。

5つあるグループ全てが合奏曲はト長調で演奏されるでしょう。

また、個人の発表曲も吹きやすいという理由で9割がト長調となるでしょう。(今年はデータをとって見ます)

各教室でト長調でしか練習して来なかった結果がこれです。

人は人前で自分をさらけ出す時、失敗を恐れなかなか本心を出したがりません。

出来るだけ格好良く見せたいのです。

そのため日頃の練習時から「間違えない練習」「音のつなぎをスムースにする練習」など技巧中心となっています。

視点が狭い枝葉の先に集まり、次から次へと課題が多いものですから抜け出せなくなっています。

私は「視点を変えた練習」を提案し続けております。

技巧は練習量とかの時間が解決してくれますが、音質の研究とか強弱による音の表情の付け方などは視点をシフトして

行かないといつまでたっても進みません。

このあたりで格好つけ優先をやめ、技巧と同時進行でよいですから音質・音の感情作りも少しは視野に入れてください。

そのためにもまずは「ト長調のしがらみからの脱却」を提案いたします。

   

 

風の音パンフルート製作工房では各調に対応できる音が出る楽器作りを行なっております。

購入・修理・貸し出し・教室などのお問い合わせは080-5235-7664またはpanfrute@ybb.ne.jpまでどうぞ。