風の音パンフルート製作工房

浅い軽やかな音・心に沁みる奥深い音を自然の素材から自在に引き出します。パンフルート販売・修理・見学受付け中。

柔らかい音は扱いづらいが演奏者を鍛える

2018-11-29 | パンフルートの音作り

煮つけた竹をパンフルートとして組み立てると音は柔らかくなります。

 

  

 

ハキハキと闊達で打てば響くようなヨーロッパ産のパンフルートの音に比べ、どこかあいまい

でぼんやりとした音に聞こえる煮つけた竹のパンフルート。

柔らかい音のパンフルートの世界は演奏者の探究心を呼び起こします。

一方ヨーロッパ産のパンフルートを愛用されている岩田英憲さんは、私のパンフルートの音の

立ち上げの形から膨らませ方の工夫の話をした時「私は吹けば鳴ってくれるので考えたことも

ありません」とおっしゃっていました。

そうなんです。硬く闊達な音は一瞬にしてその人の思い描く音に達するので何も考えなくても

よいのです。

一見良い現象のように思えますが、音作りをしていないがためにその音は単純で表情がこもっ

ていないのです。

硬い音の楽器は初心者のうちはそれでよろしいのですが、中級上級に進むにつれて音に工夫が

ないために表情のこもらない平坦な演奏になりがちです。 

 

  

 

風の音パンフルート制作工房  広島市安芸区上瀬野町205(国道2号線沿い)

連絡先 080-5235-7664 082-894-0854  panfrute@yahoo.co.jp 香原良彦まで


竹を煮ることによる音の変化

2018-11-27 | パンフルート作り

竹を水が沸騰する100°に熱することで質的変化が起こります。

 

       

 

パンフルート製作用に寸切りした管は大鍋に入り30分ほどぐらぐら煮付けられます。

物質的な変化は透明だった水が茶色く濁ることで成分の流出が認められます。

竹製品の処理に関する先人からの教えでは「竹内部組織から油分を抜き出し、虫が入り

にくくする」と言われています。

この処理をした竹の音質は「柔らかく」なります。

硬くはじくようなヨーロッパ製品と比較して明らかに音質の差が見受けられます。

どちらが正しいとか言う問題ではなく、煮付けられた竹管の音質は「ねっとりとまとわり

つく」ような弾くとは真反対の音となります。

日本の風土と心情を象徴するような音質が存在しても良いのではないでしょうか。

 

  

 

 

風の音パンフルート制作工房  広島市安芸区上瀬野町205(国道2号線沿い)

連絡先 080-5235-7664 082-894-0854  panfrute@yahoo.co.jp 香原良彦まで


パンフルート管の煮出し

2018-11-25 | パンフルート作り

2015年度に切り出してあった竹管を寸切りして大鍋でぐらぐら煮出します。

 

        

 

日本での竹製品(パンフルートを含む)の長期保存には天敵がおります。

一番多いのが「チビタケナガシンクイ虫」と一見可愛らしい名前の害虫です。

5月ごろ成虫が飛んできて竹内部にたまごを産み付けます。

幼虫は竹内部の栄養分を食べながら成長して小さい穴をあけ外に飛び出して行

きます。

幼虫が食い荒らしたあとの内部は粉のようになりさわると容易に崩れます。

これを予防するには1、「ハッセン」とよばれる最適の時期に伐採する。2、

蒸す・煮るなどして内部の油分(栄養分)を外に出す。という作業をするのが

妥当だと言われています。

 

  他サイトから引用させてもらったシンクイ虫の成虫。 

    

 

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千田小学校のパンフルートをすべて調律

2018-11-23 | 被爆樹木のパンフルート

11月15日「平成30年度文化芸術による子供の育成事業」という文化庁の行事が

千田小学校でありました。

 

  

 

当日はシェナ・ウインド・オーケストラという管楽器を中心とした楽団が小学校にきて

演奏を行いました。

楽団と千田小学校合唱隊による「アオギリの歌」コラボ演奏も企画されているということ

で私も聞きに行かせてもらいました。

素晴らしい編曲でパンフルート・歌とオーケストラの新しい世界が見えてきました。

この編曲で地元の広島交響楽団とのコラボも夢ではなくなりました。

午後パンフルートについては何の予定も入っていないということで、音楽室でパンフルー

トの調律を行いました。

特に高温部に音程のくるいがあったので納入した全ての楽器の調律を行いました。 

 

    


パンフルートのための音階を研究されている方

2018-11-21 | パンフルート

演奏会の第一部に高エネルギー加速器研究機構教授小方厚さんの講演がありました。

 

  

 

パンフルートが日本に紹介されてから約40年、ついにパンフルートの音を科学的・学問的

に解明しようとしている方が現れました。

パンフルートは最古の楽器といわれ古代文明時代に生まれたのですが、その効率の悪さから

近代楽器に押され忘れ去られていました。

パンフルートはルーマニアで細々と生き延びていましたが、約75年前素朴な音を再認識され

演奏家も増えヨーロッパに広まっていきました。

私たちはただ吹いて音を出すだけだったのですが、今回の小方先生の講演により片方が詰まっ

たパンフルート型管の音の解明がなされ裏付けができました。

初めて聞く話の内容は断片的にしか理解できなかったのですが、パンフルート音階の研究を

されている方が日本におられるという事実を知っただけで感動いたしました。

これからの演奏に自信を持って望みたいと思います。

インターネットで見ると「音律と音階の科学~ドレミはどのようにして生まれたか」小方厚

著1080円があり、購入してみます。

 

  

 

 

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