風の音パンフルート製作工房

浅い軽やかな音・心に沁みる奥深い音を自然の素材から自在に引き出します。パンフルート販売・修理・見学受付け中。

歌口の形で音が変わる要因 3

2014-01-30 | パンフルートの音作り

 パンフルート後ろエッジのすくい角の取り方によって音は変わります。今回は中角度を見てみます。

   

後ろエッジの削り角によって空気の対流に変化が生まれます。 今はあまり使っていない中角度削りのパンフルート。

 パンフルート歌口の形状による音の変化は後ろ側壁エッジのすくい角の削り角度によるものが最も劇的です。

いろいろ実験してみましたがエッジラインの上下は影響が少ないようで対流を起こす角度のみが音質に影響を与えて

います。

エッジラインが見かけ上水平より上になっても下になっても同じすくい角であれば音は変わりません。

   

                    パンフルート工房付近風景。

エッジすくい角を中角度で削り取るとエッジ角が立ちます。

角が立つとほのぼのとした音想は消え、音はクリアーに鋭さを増して来ます。

パンフルートから立ち上がる音は、ぼやけた音のヒダから輪郭のはっきりしたギザギザの形が出る感じです。

音の切れを追求される方はこの形に削り進めるとよろしいかと思います。

しかし角度をきつくすることはできても元のゆるやかな角度に戻ることは出来ませんので熟慮してかかってください。     

パンフルート製作・販売をしています。お問い合わせは082-894-0854またはxiaxi@go8.enjoy.ne.jpまでどうぞ。

歌口改造・割れの修理・蜜蝋販売・教室なども行なっております。お申し込みください。


歌口の形で音が変わる要因 2

2014-01-28 | パンフルートの音作り

 パンフルート演奏構えをよく観察すると多くの方が楽器を傾けておられます。

   

楽器を傾けるとみかけ上のすくい角は0となります。   みなさんの多くはこのぐらいの角度で構えておられます。

パンフルートの構え角度は演奏をする本人が良く鳴る角度を捜し当てたものであり、それをあえて変える必要はあり

ません。

ここではごく普通に約15°傾けて構えた時の音の出方を見ていきます。

図のようにエッジの後ろすくい角15度の時は楽器本体が傾いているせいでみかけ上すくい角は0・水平となります。

奥に抜けて行く空気の対流が起きにくい状態となります。

さらに半音を出すために楽器を20度・25度と傾けた時のことを考えると対流はさらに起きにくくなります。

奥方向に空気の抜けが詰まる状態になり、半音が出にくくなるのです。

   

 パンフルート工房付近里山風景。      人間と野生動物が住み分けるため境界をぐるりと塀で囲っています。

これを改善するにはどうしたらよいでしょうか?

「半音をだす角度を15°にしてください」

つまり元々の構え角度を5°から10°と立てて構えておいて、半音を出すときに倒す角度を15°以内におさえると

いうことです 。

冒頭に言ったことと相反しますが、すくい角が少ない歌口のパンフルートの場合はあえて変更をお願いいたします。

パンフルート製作・販売をしています。お問い合わせは082-894-0854またはxiaxi@go8.enjoy.ne.jpまでどうぞ。

歌口改造・割れの修理・蜜蝋販売・教室なども行なっています。お申し込みください。 


歌口の形で音が変わる要因

2014-01-26 | パンフルートの音作り

パンフルートの歌口形ではどのポイントで音が変わるのでしょうか見てみます。

   

パンフルート歌口の形詳細を書いた図面。    昨夜JR架線に落雷。火が山に燃え移り静かな集落は大騒動でした。

 パンフルート歌口には最小限にR取りや面取りに押さえたものから大きく段差ができるほど削りとったものまであり

ますが、実際に「音が変わってくるポイント」という視点から見ると数少ない点に集約できます。

その要因1は「歌口後ろエッジの救い角度」にあります。

   

歌口後ろエッジの削り角度により音は大きく変化します。 最新作のパンフルートは前後とも控えめの削り角度です。

エッジのすくい角度が0、すなわち直角の場合は極端に音の出が悪いですからこの形は論外といたします。

その音の出にくい状態から少しずつ角度をつけて削り進めますと最初の音が良く出るポイントに到達します。

ここを仮にポイント1の小角度削りとします。

ビームの吹き口方向から見ると鈍角となります。

鈍角ゆえに音は「のんびり」・「凡庸」・「暖かい音」といったようなパンフルート特有の人を包み込むような包容力

のある音となります。

当工房製品はこの小角度削りの形で出荷し「演奏者自身がパンフルートの音に包まれる感覚で演奏を楽しんでほしい」

と願ってます。

ただ1点欠点があります。 

パンフルート製作・販売をしています。問い合わせは082−894−0854またはxiaxi@go8.enjoy.ne.jpまでどうぞ。

歌口改造、割れの修理、蜜蝋販売、教室なども行なっております。お申し込みください。


音作り工程 9

2014-01-24 | パンフルートの音作り

 パンフルート歌口の形の最後は他の形のよいとこ取りをして組み合わせた究極の歌口です。

   

パンフルート音出しのいろんな要素が組み合わさっています。4の大角度前下がり型をベースに改造いたしました。

 この複合型のパンフルート歌口の誕生のきっかけは4の大角度前下がり型まで行き着いたとき、出荷を考えると

「あまりにも製作者の個性を押し付け過ぎ」だと感じ改造を決意いたしました。

歌口天場の面を全面削り下げることも検討いたしましたがあまりにも芸がなく2の変形水平型歌口を参考に後ろ壁

エッジを半円に半分量さげてみました。

いままでこの形は見たこともなく「当パンフルート工房オリジナル」の形となりました。

   

パンフルート工房入り口で山茶花が咲いてくれています。  びわの花が咲き始めました。自然は春の準備ですね。

各種の歌口の形のいいとこ取りをしただけあって音の立ち上がり方の反応は早く、広がり方も申し分ないです。

ただしこの形はパンフルート工房内でしか使うつもりはなく、工房製品として出荷するには問題があります。

歌口をこの形にしたいという注文や修理の際に改造をという注文であれば受け付けます。

パンフルート工房製品出荷の際の形は歌口NO3の「小角度前下がり型」でみなさんにお渡しいたします。 

パンフルート製作・販売をしています。問い合わせは082−894−0854またはxiaxi@go8.enjoy.ne.jpまでどうぞ。

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音作り工程 8

2014-01-22 | パンフルートの音作り

 今回は真逆な考え方からパンフルート歌口の形を導いておられる後ろ下がり型を見てみます。

   

図面上からも向かい側エッジは下方向になります。古い作品の後ろをカットしたパンフルート試作品で音を確かめる。

この形のパンフルート歌口でもちゃんと音は出ますので、つくずくパンフルート歌口の不思議さ・奥深さを感じます。

しかもこのタイプの歌口を採用されている方は、スイスのDAJOERI/ダヨリさんをはじめ韓国のメーカー・関東のO

さんなど割と多いのが現実です。

   

 今朝のパンフルート工房は冷え込みました。              畑の白菜もこおりついてしまいます。

この歌口の試作品で水平にビームを吹き出してみましたが音はかすれるばかりで出ませんでした。

やはりエッジ角にビーム中心をぶつけないと音は出ないようです。かなり下向きとなります。

ここではたと気がつきましたが「この吹き方は尺八やケナーと同じではないか」ということです。

しかし尺八やケナーは管尻に穴があいている開放管です。

「管底を蜜蝋で密封しているパンフルートとは真逆の条件なのだが」と思いつつ、音の出る原理がわからなくなって

しまいます。 

パンフルート製作・販売しています。問い合わせは0982-894-0854又はxiaxi@go8.enjoy.ne.jpまでどうぞ。

歌口の改造、割れの修理、蜜蝋の販売、教室なども行なっておりますのでお申し込みください。