今日は、私のお世話になっている施設「あすか」のお祭り日であった。
今年は施設開設から10年、節目の年という。
10時から、ステージでの催しがあるというので、1階に下りた。
昨年同様、M中ブラスバンド部の演奏から始まった。
多人数による演奏なので、ものすごい音響である。
今日に備えて、準備にも時間がかけられたことであろう。
手抜きのない熱心さが嬉しいし、若さの輝きが美しい。
遠い遠い昔、目の前に居並ぶ女子生徒と同じ制服の、昭和の生徒たちと過ごした日々を思い出した。
こういう催しの会場では、思いがけない人に会うものだ。
次の演目の準備中に声をかけられ、座席を立って挨拶した。
私よりはるかに若い方である。
再び座席に戻ろうとしたら、隣に座っておられた初めてお顔を見る人から、
「そこは他の人の席です」
と、着席を拒まれた。
お顔の表情だけからでは分からないけれど、認知症の気(け)があるのだろうか。
「座っていたのは私です」などと言い返すことはせず、前の座席に移動した。
すると今度は、にこやかな笑顔の女性が、
「私は耳も目も悪くて………」と話しかけられた。
舞台での演技は準備中である。
「もう長くここにいらっしゃるのですか」
と、尋ねる。
「11年になります。ここができた次の年に入りましたから」
計算が合わないけれど、
「ずいぶん長くいらっしゃるのですね」
と応じる。と、主人がいつ亡くなって、子供二人か関東に住んでいて………と、一方的に身の上話が続く。
施設で、私と同じような老人を観察していると、男性はなべて寡黙であり、女性は多弁である。
この性差はどこに由来するのであろうか?
そのうち、演目がいろいろと続いた。が、舞台に上がる人は高齢者ばかり。
昨年は、近くの保育園児の愛らしいお遊戯などあったのだが……。
銭太鼓とか安来節だとか踊りとか、そういうものをあまり楽しめないのは、どういうわけだろう?
本を読んでいる方がよほど楽しい、と思うのは私だけなのかしら?
そろそろ部屋に戻りたいなと思っていると、冷房が効いているのかお腹が冷え始めた。
無理をすることはないと、部屋に戻った。
(このブログを書きながら、これもまた、老女のくだらない呟きであると自省しつつ。)