ぶらぶら人生

心の呟き

春の旅 3 (下田・天城を経て修善寺へ)

2010-04-22 | 旅日記
 予定通り、伊東温泉の宿「いづみ荘」から、タクシーで伊豆の旅に出た。
 伊東から下田を経由して、修善寺に行くコースを考え、JTBに相談したところ、観光バスで巡るのは、時間的に無理だと分かった。
 そこで、JTBの勧めもあって、タクシーで巡ることにしたのだった。
 伊東を9時半に出て、修善寺に15時半に到着するという日程で。
 これは正解であった。
 観光バスでは巡れない場所にも立ち寄ってもらうことができたのだから。

 この日(15日)の出発時は、曇り日であったが、いずれは雨になり、気温が下がるという予報が出ていた。
 観光のコースは、天気模様も考え、運転手に任せることにした。
 ガイドブックによると、沢山の美術館が存在するようであったが、かなり小規模のものらしい。是が非でも寄ってみたいと思うものはなかった。
 伊豆の春に浸っていればいい。

 まず案内されたのは、城ヶ崎海岸であった。(写真)
 曇り日なので、海の色は暗く、絶壁の岩は黒々としていた。
 今日の風景を眺め、吊り橋を渡り、星野哲郎の「城ヶ崎ブルース」の歌碑が存在しているのを知った。(どんな歌なのかは思い出せないまま…)

           城ヶ崎

           城ヶ崎ブルースの歌碑

 その後は、伊豆の東海岸を下田に下る。
 湯量豊かな温泉らしく湯けむりの立ち上る熱川温泉やいかにも垢抜けた温泉地らしくホテルの立ち並ぶ稲取の温泉街を眼下に眺めながら、下田に向かう。
 途中河津町に立ち寄り、桜の中ではいち早く咲き始める河津桜を紹介してもらった。もちろん今は、葉桜である。
 川沿いに桜並木は長く長く続いていた。思いのほか背丈が低く、ずんぐりしている。
 満開の頃には、多くの見物客でにぎあうのだろう。
 今は、ひっそりとした町であった。
 河津桜の原木とされる木の傍を通り、車窓から年を経た古木を眺めた。

 下田に到着。
 まずは、長楽寺と唐人お吉記念館を見学。
 小説『唐人お吉』(十一谷義三郎著)でも有名な、悲劇の一女性の人生に思いを馳せながら、いつの時代にも、時運に恵まれず、不幸な生涯を送らざるを得なかった人のいることを悲しむ。
 
 了仙寺とその脇にある黒船美術館も見学。
 了仙寺の近くに、ジャンボレモンの札の下げられた木があった。
 お化けレモンである。(写真)
 「あそこがペリーロード…」との説明を受けたが、ゆかりの径を歩いてみることはしなかった。
                    
           了仙寺のジャンボレモン

 ぺりー艦隊来航記念碑の前に立った。(写真)

           

 下田駅前で昼食を済ませ、外に出てみると、雨になっていた。
 あいにくの雨であるが、雨の日は雨の風情を味わえばいいと、諦める。
 河津町は、桜だけでなく、様々な花の栽培で有名な町であった。
 天城へ向かう前に、今盛りのカーネーションを見学した。
 ハウス栽培されたカーネーションの花色・形状とも、様々だった。写真はその一部。

           カーネーション

           同上

           同上

 雨に煙る天城峠を車窓に眺める。
 山肌は、木々の芽吹きで美しい。高所には、桜の花も散り残っている。運転手の話によると、富士桜はこれからで、あれがそうだと教えられて梢を見上げると、花が小さく愛らしい。
 舗装のされていない旧道を車は走り、天城の古道の風景を楽しませてもらった。歳月を経た老木が狭い道の両側に亭々とそびえている。
 旧天城トンネルは、明治38年に造られ、石造りとしては日本最長(446メートル)のトンネルなのだそうだ。
 写真は、天城側の入り口。 

           旧天城トンネル

 雨の中、峠を下る途中に、川端康成の「伊豆の踊り子」のモニュメントがあった。向かって右側には、小説の冒頭文、<道がつづら折折りになって…>が記され、左側には、川端康成の横顔のレリーフがあった。
 雨足が幾分強くなっていた。下車して、慌しくカメラに収めた。
 作品の背景は、同じく雨の天城峠である。ただ作品の季節は秋。
 作品の発表から80余年が過ぎている。私は往時を偲びながら、春の雨の日を旅したのであった。

          

 天城には、わさび田が多く、また石楠花の花が多かった。アマギシャクナゲというらしい。色も種々あり、やさしげな風情がいい。
 雨が降り続いているので、車窓から眺めるに留めた。

 浄蓮の滝の入り口で休憩した。
 曾遊の想い出を辿ると、滝への上り下りはかなり急坂だった。雨で足場も悪いはず、無理をすることはないと、滝の見学は取りやめた。
 コーヒーを飲んで休憩し、修善寺のホテルに向かった。
 宙(SORA)という宿。
 贅沢な宿に憩う。 


           宙(SORA)の庭

           ロビーに置かれた藤の花

           部屋の窓から新緑の風景
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春の旅 2 (伊豆へ)

2010-04-22 | 旅日記
 14日、京都を発って伊豆に向かった。
 車窓に富士を見た。
 いつ見ても、富士山はいい。

           車窓の富士山

 新幹線の熱海に下車。
 乗り継ぎの時間を利用して、熱海を要領よく見学した。
 バスで、アタミロープウェイ乗り場に行き、ロープウェイで、山頂展望台に立った。
 高手から温泉街や海を眺める。高層のマンションが思いのほか多い。
 帰りはタクシーで駅前に引き返し、温泉街の気のきいた和風喫茶で軽い昼食をとった。 

           熱海の眺望

 電車で、伊東温泉に着いた。
 三時に送迎者を依頼していたので、それまで伊東の街を散策した。
 喫茶店にも入って、ひと時休憩した。

 いづみ荘に一泊。
 申し分のない贅沢な一夜を過ごす。

           伊東温泉 いづみ荘の庭

           同上
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春の旅 1 (京都)

2010-04-22 | 旅日記
 13日から春の旅に出た。
 旅は、私にとって非日常的な時間である。
 身体は、非日常から日常に戻ってきても、気分の方は、なかなか日常に戻ってくれない。
 なんだかフワフワと時が過ぎてゆく。
 旅日記を簡単にまとめ、早く日常に返ってゆこう。

 伊豆に出かけるのが主目的の旅であったが、行きと帰りに京都に泊まり、京都の春も楽しむことにした。

 13日、昼過ぎ京都に着き、宿泊先のグランヴィアホテルに荷物を置き、仁和寺に出向いた。仁和寺の御室桜は、今が盛りであった。
 お花見の人が溢れていた。
 花のご縁にまた恵まれた。

            仁和寺の桜

            同上

         
                      仁和寺の五重塔

 ついでに、嵐山まで足を延ばし、渡月橋の夕景を眺めた後、京都駅に引き返した。
 当地の桜はとっくに盛りを過ぎ、昨年、一昨年に訪れたときの人出はなかった。それでも、嵐山には独特の雰囲気があり、夕べの散策を楽しむことができた。          

            嵐山 渡月橋


 16日の午後、伊豆から京都に引き返した。京都に着いても、雨は上がらなかった。
 小雨の中、京都国立博物館にいった。
 京都に立ち寄る目的の一つに、折から開催中の「没後400年 長谷川等伯」展を観ることを予定していた。
 日曜美術館での紹介もあり、東京についで京都で開催の美術展を当てにしていた人は多かったのだろう。
 雨と平日にもかかわらず、入館者は多かった。ゆったりと鑑賞できる状態ではなかったが、入場を待たされることがなかったのは幸いであった。
 水墨画の名品<松林図屏風>を観ることが最大の目的だったが、この展覧会で、長谷川等伯の全貌を知ることができ、その多彩な画業に感動した。

            長谷川等伯展 (入場券)

 17日の早朝、ホテルオークラの窓辺が明るんだ。
 カーテンを開けると、東山(如意ヶ岳のあたり)に、朝日が昇るところだった。
 ひとりでに幸せな気分が満ちる。

            京都の朝

 午前中、詩仙堂を尋ねた。(写真)
 ここを訪れるのは初めてである。
 石川丈山の造営したもの。丈山は、隷書、漢詩の大家であり、煎茶(文人茶)の開祖であると、いただいた栞に記されていた。
 詩仙堂は静寂である。
 京都には、繁華と静寂が程よく溶け合っている。

            詩仙堂

           

           

           

           

           
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする