ぶらぶら人生

心の呟き

花々に遇う

2010-04-20 | 身辺雑記
 今日は、二十四節気の「穀雨」に当たるのだそうだ。
 穀雨とは、百穀を潤すという意らしい。
 その日に合わせるかのように、今日は朝から小糠雨が降り続いた。
 様々な穀類に限らず、多くの草木も潤いを享受したに違いない。

 近所の知己Oさん宅へ届け物をするために出かけた。
 静かに地を潤す雨を、私も心地よく感じながら。

 Oさん宅には、たくさんの花々が咲いていた。折から雨は小休止していた。
 そこで、Oさんと一緒に眺めて歩いた。

 特に、イチハツの豊かな咲きぶりがよかった。
  
  いちはつの花咲きいでて我目には今年ばかりの春ゆかんとす

 という正岡子規の歌を思い出して、口ずさんだ。
 病む子規にとっては、見納めとなるかもしれない今年の<いちはつ>の花なのであった。
 90歳に近いOさんも、老女の私も、格別大病を抱えているわけでもない身には、子規の心境を切実なものとして受け止めてはいない。来年の春をどこかで受け入れている。が、果たして、そうなるかどうかは分からない。そんなことを思いながら、雨にに濡れて花弁を重く垂れるイチハツの花を眺めた。
 アイリスの花も咲いていた。
 毎年のことながら、アヤメ科のよく似た形の花を区別しがたい。
 Oさんが、あれはイチハツ、これはアイリスと教えてくださった。
 アヤメ、杜若、花菖蒲なども、次々と咲き次いでゆくことだろう。


         イチハツ

                 アイリス

 フリージアの花々も咲いていた。その中の二色を添付した。

         フリージア

         フリージア

 シバザクラも、数種の花が地面を覆っていた。

         シバザクラ

         シバザクラ

 ドウダンツツジ(満天星躑躅)の、白い小さな壷状の花が愛らしい。

         ドウダンツツジ

 名を知らぬたくさんの花が咲いていた。その中の二種の花を添付した。

        

                 


 お隣には、沢山の花があると、Oさんに誘われ、遠慮がちに覘いてみた。
 また櫻花に巡りあった。
 普通の八重桜より遅れて咲く<牡丹桜>という種なのだそうだ。まだ蕾を残しており、しばらくは花を楽しめそうだ。淡いピンクがいい。

          牡丹桜

 牡丹の花も、華やいで咲いていた。
 帰宅後、<いちはつの…>の歌についての表記を確認するため、正岡子規の歌集を開いた。イチハツの歌に次いで、牡丹の歌が詠まれていた。

 病む我をなぐさめがほに開きたる牡丹の花を見れば悲しも

 子規は、病床から、庭に咲くイチハツを眺め、目を転じて牡丹を眺めたのであろう。
 美しければ美しいほど、心は哀しい。子規の心境は、私にもよく分かる。

          牡丹    
コメント
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