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Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

星川から横浜まで歩く、そしてアルカンの12の練習曲作品39

2008-04-25 06:02:17 | 古典~現代音楽フランス編
昨日も星川駅から横浜まで歩きました。
今回とりあげる曲は、アルカンの12の練習曲作品39。
1813年にパリで生まれたシャルル・ヴァランタン・アルカンは、
ショパンなどとも親交のあったピアニストであり、
その演奏技巧は、リストからも高く評価された人物である。
その大胆な表現や劇的な音楽の創り方から、
ピアノのベルリオーズとも呼ばれたようである。

交響曲や協奏曲の世界をピアノで表現しようとした彼は、
12の練習曲作品39の中でそれを実現しようといた。
今回聴いたのは8番から10番に相当するピアノ協奏曲の部分である。
さすが、ピアニストだけあって技巧的である。
聴いたCDはジョン・オグドンのピアノ演奏によるもの。
技巧的な部分を鮮やかに演奏しており、
劇的な部分を優れたテクニックでダイナミックに聴かせ、
ロマン派らしい音楽の世界を美しく表現している。

第一楽章のアレグロ・アッサイは全般的に華々しさがあり、
演奏時間26分以上を要し、最後の劇的な盛り上げ方がいい。
第二楽章アダージョは叙情的な曲であり、
ロマン派らしい彼の繊細な部分を表現している。
第三楽章アレグレット・アラ・バルバレスカは、
荒々しい感じで始まるが、ショパンを思わせるような
ロマンティックなところを感じさせ、華麗である。

ジョルジュ・ビゼーの演奏会用半音階的変奏曲を聴きながら星川から横浜まで歩く

2008-04-24 06:19:20 | 古典~現代音楽フランス編
昨日は星川駅から横浜まで歩きました。
途中聴いた曲は、ビゼーの演奏会用半音階的変奏曲。
1868年に作曲された作品であり、
ピアノ曲としては有名な曲のようで、
ビゼーが残したピアノ曲自体、少ないので、
その中にあっては、貴重な作品である。

演奏時間が約14分かかる曲である。
19世紀後半のピアノ曲の中でも
傑出した作品といわれるように、
重々しく始まる最初の主題が、
最初悲しみを伴いながら変奏されていく、
曲は変奏していくうちに華々しさも感じさせていく。
演奏会用とあるように、聴かせる曲ともいえる。
様々なピアノの演奏技巧を変奏の中でみせていく。

聴いたCDはグレン・グールドの演奏によるものだった。
これを聴くまでは、グールドがこの手の作曲家
つまりはロマン派のビゼーの作品を
録音しているとは知らなかったので意外であった。
しかし、このビゼーの演奏会用半音階的変奏曲の、
代表的な演奏としてグールドは出てくるようである。
もちろん、よく耳をすませば、
あの特有のグールドのうなり声も聞こえる。

オリヴィエ・メシアンの「世の終わりのための四重奏曲」を聴きながら星川から横浜まで歩く

2008-04-23 05:36:31 | 古典~現代音楽フランス編
昨日は星川駅から横浜まで歩きました。
途中聴いた曲は、メシアンの「世の終わりのための四重奏曲」。
1941年に作曲された作品であり、
初演されたのが、シュレジエン(シレジア)の
ゲルリッツ捕虜収容所(Stalag 8A)という場所である。
J.L.ブーレールのヴァイオリン、H.アコカのクラリネット、
E.パスキエのチェロ、メシアンのピアノで、
5000人の捕虜という聴衆の前で、初演場所としては特殊だ。

メシアンは、第二次世界大戦中、軍に召集され、
一兵卒としてヴェルダンからナンシーへ
3人の仲間と逃走していたところ、
ドイツ軍に捕らえられ、捕虜収容所に連行された。
32歳の彼が、経験した気持ちは何だったのだろう。
想像するに絶望感、不安、祈り、危機感、
色々な気持ちが入り混じっていたに違いない。
このような状況下で生まれたこの作品は、
まさにメシアンにとっての代表作といってよく、
戦争というものが生み出した奇跡の傑作といってよい。

作品は8つの楽章から構成される。
第一楽章「水晶の礼拝」は、ヴァイオリン、クラリネット、
チェロ、ピアノによる幻想的な、そしていかにも現代的な曲である。
クラリネットやヴァイオリンなどの楽器が鳥の声を模倣する。
第二楽章「時の終わりを告げる御使いのためのヴォカリーズ」は、
絶望の中での、彼の強い信仰心を感じさせる曲で、
ヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノで演奏される。
ピアノの奏でる音は現実の収容所の世界とは違った天上の世界を思わせる。
第三楽章「鳥たちの深淵」は、クラリネット独奏によるもの。
悲しみと孤独感と、深く思いつめた音楽のように聴こえる。
第四楽章「間奏曲」は、ヴァイオリン、クラリネット、チェロ、
ピアノで演奏される短い間奏曲で、この中で、第6楽章の主題も
予言のようにさりげなく提示されるところがなかなかである。

第五楽章「イエズスの永遠性の讃歌」は、ヴァイオリン、
ピアノで演奏される演奏時間の最も長い作品で、
ピアノの伴奏する音はまるで天国の階段を想像させる。
瞑想的であり、信仰心に支えられた美しい音楽である。
第六楽章「7つのトランペットのための狂乱の踊り」は、
ヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノのユニゾンで、
第四楽章で提示された主題が冒頭から演奏される。
全楽章を通して、一番印象に残る曲に違いない。
凝縮された音楽であり、緊張感のみなぎった曲である。
主題は楽章の中で、何度か変形され登場する。

第七楽章「時の終わりを告げる御使いのための虹の錯乱」は、
ヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノによる演奏で、
第2楽章と同じような平和的な世界が表現される。
何か希望の光のような色彩的なものを感じさせる一方で、
それとは対照的な現実の危機感や不安感も表現されている。
穏やかな平和的な音楽と、激しい音楽が交互に登場し、
現実と信仰の世界が交錯するような曲である。
第八楽章「イエズスの不滅性への讃歌」は、
ヴァイオリンとピアノによって演奏される祈りのような曲である。
ピアノが伴奏する音は、永遠性を表現している感じで、
ヴァイオリンは人間が神に対して訴えかける祈りのようにも思える。
最後は消えるようにして終わるのだが、このメシアンの作品、
「世の終わりのための四重奏曲」はやはり傑作である。

ダリウス・ミヨーの「スカラムーシュ」を聴きながら二俣川から西谷まで歩く

2008-04-22 05:11:18 | 古典~現代音楽フランス編
昨日は二俣川から西谷駅まで歩きました。
途中聴いた曲は、ダリウス・ミヨーの「スカラムーシュ」。
二つのピアノによる連弾曲として有名な曲のようで、
1937年に作曲された作品で、題名の「スカラムーシュ」作品165bは、
イタリアでかつて演じられていたコメディのことをさす。
モリエールの喜劇に基づいて子供向けに
作曲された「空飛ぶお医者さん」の付随音楽から
主要な音楽を抜き出したものらしい。

第一楽章「激しく」は、子ども向けの音楽らしく、
明るさや快活さ、そしてかわいらしさを持ちながら、
2つのピアノで演奏する音楽の良さを十分にみせてくれる、
軽快で、演奏者たちの高度な演奏技術を要する曲である。
第二楽章モデレは、古典的なスタイルで始まり、
主題は2つあるようで、最初の主題はかわいらしい音楽で、
子どもの無邪気な感じを伝えている。
第三楽章「ブラジレイラ(ブラジルの女)」は、
サンバのリズムを模倣して利用しているようで、
弾んだリズムに特徴があり、底抜けに明るいラテン風である。
これは、1916年から1918年に滞在したブラジルの生活の
経験が深く音楽に影響を与えていると思える。

「マルティニック島の舞踏会」作品249は、
1944年に作曲された二つのピアノのための作品。
1曲目の「クレオールの歌」は、
冒頭おだやかな主題で始まる。
もう一つはリズミカルな主題で、
対照的な二つの主題が交互に流れる。
2曲目の「ビギン」も、弾んだリズムで始まる。
これもラテン風の底抜けに明るい感じである。
「スカラムーシュ」と同様にブラジル滞在の影響が出ている
軽快で、楽しい曲であり、最後は華々しく終わる。

組曲「パリ」作品284は4つのピアノのために
1948年に作曲された作品で、のち管弦楽版に編曲されたようだ。
曲は短い6つの小品からなり、華々しい曲で始まり、
次が静かでおだやかな曲となり、
曲ごとに交互に曲調の違う作品が演奏される。
4台のピアノが自由自在に動き、作り出す音楽はなかなかである。
終曲は最初古風な音楽スタイルを示しながらも
フィナーレらしく、徐々に盛り上がりをみせて終わる。
ピアニストのクリスティアン・イヴァルディと、
ノエル・リーらがみせるミヨーのピアノ曲集は、
こんなミヨーのピアノ曲もあったんだなあと
認識させるゴキゲンなCDである。

フランシス・プーランクの「ホルンとピアノのためのエレジー」を聴きながら横浜から上星川まで歩く

2008-04-21 07:37:15 | 古典~現代音楽フランス編
昨日は横浜から上星川駅まで歩きました。
途中聴いた曲は、プーランクの室内楽曲集。
EMIから以前発売された5枚組みの輸入CDである。
エリザベス・スプラグ=クーリッジ夫人をしのんで、
1956年に作曲されたフルート・ソナタは、
フルート・ソナタの中でも有名な作品である。
1957年ランパルのフルート、作曲者自身のピアノで初演された。
哀愁を帯びた旋律で始まる第一楽章アレグロ・マリンコニコは、
印象的な主題は全体を通して変形しながら繰り返される。
第二楽章アッセ・ランは、悲しみにあふれた情感深い曲である。
第三楽章プレスト・ジョコーソは、軽快かつ明るい音楽で、
それまでの楽章の悲しさを吹き飛ばすような曲である。

オーボエ・ソナタは、1962年に作曲された作品。
セルゲイ・プロコフィエフの思い出に捧げられている。
プーランク自身は、1963年の4月27日シカゴで
演奏するつもりであったが、1月30日に亡くなったため、
その計画は実現せず、同年6月8日に
ストラスブール音楽祭にて初演された。
第一楽章「エレジー」はロマンティックでゆるやかに始まる。
ところどころにプロコフィエフ風な部分を感じさせる。
第二楽章スケルツォは、プーランクらしい軽快な曲、
滑稽な感じがプロコフィエフ風ではある。
第三楽章「悼み」は沈鬱な感じの曲である。
東洋風の旋律は深い悲しみに彩られているようだ。
最後も盛り上がりをみせる場もなく、静かに終わる。

クラリネット・ソナタは1962年に作曲された作品で、
友人アルトゥール・オネゲルに捧げられている。
1963年プーランクの追悼演奏会が、
ニューヨークのカーネギー・ホールにて、
4月10日に行われたが、その時ベニー・グッドマンと
バーンスタインの演奏により初演されたようである。
第一楽章アレグロ・トリスタメンテは、
哀愁を帯びた旋律から始まるが、軽快な部分もあり、
その軽快さはオネゲル風を感じさせるところもある。
第二楽章ロマンスはロマンティックな曲で、
ピアノの伴奏にのってクラリネットが、
じっくりとその楽器の良さを聴かせる曲である。
第三楽章アレグロ・コン・フォーコの冒頭で登場する
おどけたような滑稽な感じの主題は、
いかにもプーランクらしいところであるが、
対比するロマンティックな旋律との対照的なところがいい。

「ホルンとピアノのためのエレジー」は私の好きな曲だ。
1957年に作曲された作品で、ホルンの名手デニス・ブレインが、
この年に亡くなったのをきっかけに作った曲である。
最初に登場する軽快にホルンが旋律を吹くところは、
おそらく奏者にとっては難しい部分ではないだろうか。
最初に登場したホルンによる軽快な主題は、
ところどころで顔を出すが、曲全体は、
エレジーとあるように深い悲しみに包まれており、
ピアノの伴奏は、その感じを表現している。

2つのクラリネットによるソナタは1918年に作曲された。
第一楽章プレストでみせる旋律は滑稽な感じである。
牧歌風なおだやかな感じの中間部を経て、
冒頭のおどけたような主題が再現されて終わる。
第二楽章アンダンテはのどかな牧歌調の曲である。
フランス風というよりはロシア風な感じがする。
第三楽章活発に(Vif)もおどけた感じ軽快な曲である。
三部形式で書かれており、最後はあっけなく終わる。
全般的にストラヴィンスキー風でおもしろい。