Mars&Jupiter

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ルイジ・ボッケリーニのギター五重奏曲第4番を聴きながら、星川駅から横浜まで歩く

2008-05-10 05:14:22 | 古典~現代音楽イタリア編
こんなCDをいつ買ったんだろうということがある。
ボッケリーニのギター五重奏曲もそうである。
ペペ・ロメロのギター、アカデミー室内アンサンブルによる
このCDを買ったのはなぜだろうと思いながら、
星川駅から横浜まで歩いた昨日、その途中で聴いたのは、
1743年生まれのボッケリーニのギター五重奏曲である。
ボッケリーニは、イタリア生まれの作曲家だが、
その人生の半生近くをスペインで過ごしている。
ギター五重奏曲は、ピアノ五重奏曲や、弦楽四重奏曲、
または、弦楽五重奏曲をギター用にアレンジしたものが多い。

ギター五重奏曲第2番ホ長調G.446は、
1798年頃に作曲されたピアノ五重奏曲が原曲で、
3楽章からなる各曲は優雅な感じである。
ギター用に書きかえられた割には、
ギター奏者が活躍し目立つような場面が少なく、
他の弦楽奏者の音に圧倒されて、
弦楽四重奏曲の域をこえていない感じがして残念だ。

ギター五重奏曲第4番ニ長調G.448は、
「ファンダンゴ」という題がついており、
最初の2楽章は1771年に作曲された弦楽五重奏曲から、
残りの楽章は1778年に書かれた弦楽五重奏曲を原曲とし、
それをギター用に編曲している。
最初の2楽章は弦楽五重奏曲のようであるが、
おもしろいのは最後の第3楽章である。
スペイン舞曲の「ファンダンゴ」を取り入れ、
優雅な宮廷音楽的なおとなしい雰囲気が一転する。
激しいリズムの音楽は他の楽章に比べて異質であるが、
ギター奏者にとってはこの楽章は腕の見せどころである。
ギターという楽器の良さを活かしているのだ。
さすがボッケリーニといいたいところである。
庇護を受けていた貴族ベナベンテ侯爵が、
ギターが得意であったことから、
このような作品を作曲したのだが、なかなかである。
CDではカスタネットとシストルムが登場する。
楽譜上にはないこれら楽器を加えて演奏することで、
ボッケリーニがチェロ奏者に求めた意図である
「カスタネットの擬音効果」ということが理解できる。

ギター五重奏曲第6番ト長調G.450は、
1797年に作曲されたフルート五重奏曲の一部を、
第1楽章と第4楽章に転用し、
1796年に作曲された弦楽四重奏曲ハ長調を
第2・第3楽章に使い、ギター用に編曲している。
このあたりの作品になると第2番とは違って、
ギター奏者が様々な場面で活躍できるように、
そのパートの部分を考えていると思われる。
第3楽章のテンポ・ディ・メヌエットの中間部では、
ファンダンゴの雰囲気を感じさせる音楽が、
登場するのだが、ここでは第4番にみられた違和感はない。

ギター五重奏曲第9番ハ長調G.453は1799年に作曲され、
「マドリードの帰営ラッパ」というタイトルがついている。
1797年に書かれたピアノ五重奏曲G.409を
ギター用に改作し、最初の3楽章にあて、
1780年に書かれた弦楽五重奏曲「マドリードの夜の音楽」から
第5楽章を、最後の第4楽章用に編曲し追加している。
これは彼の円熟した作曲技法をみることができる。
ギター奏者用に編曲した作品は、なかなかいいが、
最後の「マドリードの帰営ラッパ」がやはりいい。
行進曲風の音楽とその主題に基づく12の変奏は、
ギターという楽器の良さも活かしている。
最後に消え行くように曲が終わるのも心憎い演出である。
コメント
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