通常国会は今日閉ざされた。東日本大震災が起きた10年前、当時野党であった自民党を主導して国会を閉じている場合でないと、会期の延長を民主党政権に促したのが他ならない気鋭の若手議員、菅義偉その人である。今日は野党の要請を振り切り、国会を延長することなく閉じてしまった。
経済的には東日本大震災を上回り、継続性と地域的な広がりを考えれば、新型コロナの方が国難としての比重は明らかに大きい。震災処理が命題だった時に比べ、疫病はこれから何が起きるかわからない。
与党には、国会開いて質問をこれ以上受けると、菅総理はボロを出すから早く閉じた方がいいという声もある。
先般の党首討論会を見ていて、与党の心配はさもありなんと思われる。何を聞かれても、具体的な事例を示しても、「安全、安心を配慮し国民の命を守る・・・」という言葉を繰り返すだけである。質問には答えていない。下を向いて、文章を読み上げるだけである。
”ご飯論法”と安倍晋三の回答を名付けた法政大学の上西充子教授はこれを、『やぎさんゆうびん』と名付けた。相手の質問を食べて飲み込み読んでいないというのである。もう10年近くも、こんな政権がこの国を支配している。まともな論議ができない、論議がなされない。
民主主義は国会議員の数ではない。逃げることなく議論を重ねることこそが、求められている。更にはその経過の透明化である。民主主義とは論議であり透明化である。
安倍晋三は論議もせず(できないのであるが)、不都合なことは忖度させるか恫喝する、あるいは忖度者のご栄転を見せつける。それでも不都合な公文書が出ると、改ざんする、隠ぺいする、破棄するといった野蛮な行為は民主主義の根幹を否定するものといえる。
更に菅義偉はもっと酷い。記者会見をしない。質問者も内容も時間も限定し、記者会見したかのように振舞うアリバイ工作には執心である。
こうして自民党は民主主義を破壊する。しかし、選挙は重要である。集票のためなら何でもする。ポピュリズムに堕した政党が虚言で議席を獲る。これが民主義であろうはずがない。