そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

シリア内戦が暴力的に解決されることはありえない

2018-04-15 | シリア

トランプ米大統領は、ホワイトハウスでテレビ演説でシリアのアサド政権の「化学兵器施設」に対する局所攻撃を命じたと発表した。首都ダマスカスの郊外とホムス近郊の化学兵器工場を、イギリス、フランスとの共同作戦で空爆した。化学工場に限定された精密な攻撃であり、今回一回で終わると述べている。シリア側の発表は、100発のロケットのほとんどを打ち落とし、三名が負傷したと発表している。損害軽微というわけである。上の図はアメリカの発表したホムスとされる衛星写真である。ピンポイントの攻撃という事であろうが、予告の空爆である。どれほどの実被害があたかは不明であるが、米英仏の恫喝の効果以上のものはなかったと思われる。
日本の安倍晋三は早速、「”核”兵器の拡散があってはならない」と述べ、アメリカの支持を表明した。後に化学兵器と訂正している。混乱しているというより、安倍はよく理解していない。
そもそも、今回の化学兵器をアサド政権側が使用したという根拠が、極めて薄弱である。判断が急激すぎて被害の実態も良く解らないし、子どもの映像ばかりである。毒ガス使用によるトランプの反応をアサドが軽く見ているとは思えない。アメリカの、あの政権が悪いという世界に流す情報は、イラクの大量破壊兵器の不存在以来、信ぴょう性を検証しなければならない。
仮に毒ガス弾が使用されていたとしても、前回のアメリカの化学工場の空爆の効果がなったことにもなる。トランプには学習能力がないのか。
アサド政権は極めて暴力的な政権である。反政府勢力への弾圧は非人道的で許されるべきものではなかったが、アメリカのイラク侵攻が引き起こした国家間や部族間や宗派間の対立が根底にあり、暴力性は日を追って厳しいものになってきたのである。
シリアの内戦は当初は国内勢力の構想であったが、ISが参入することでやがて大国が参入してきた。こんな小国が7年間も内戦を継続できるわけがない。シリア内戦の本態は多国間の勢力紛争に変質している。今回のような大国が複数で武力介入すれば、紛争はさらに激しくなることは解り切っている。早速、ロシアとシリアが反応している。和平が遠のいたとみるべきである。
これまでアメリカは、良くも悪くも世界の視察を自認していた。そうした意味で、紛争解決には中身はともかく積極的であった。ところがアメリカンファーストを言い続けるトランプが大統領になってから、お気に入りの国の片方だけを支援するようになった。イスラエルに首都をエルサレムにするなどその典型である。
シリア内戦の和平への道は、ともに背後に大国を抱えており暴力では不可能である。ただ紛争を更なる混迷へと導くだけである。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅臼港

春誓い羅臼港