
日本人被爆者の功績もあって核兵器禁止法に努力し、ノーベル平和賞を受賞したICANには、受賞に際して政府はコメントも電話もいれなかった。訪日にあたっても、訪問を拒否した安倍晋三である。その一方で、文学賞受賞の英国在住のカズオ・イシグロ氏には栄誉を称える談話の違和感が、ここまで糸を引いている。
かつてイチローは現役選手であり途上にあると受賞を断ったが、たった一度の金メダル受賞の高橋尚子は受賞している。国民栄誉賞は明かに恣意的なもので、近ごろは政権が露骨に自らの人気取りにやっている。長嶋茂雄と松井秀喜がいい例である。功績としては彼らを上回る選手は、数限りなくいる。読売一派のナベツネの意向を受けた、安倍晋三の政治パフォーマンスである。
それに引き換え、アフガニスタンで医療支援や用水路建設に取り組む国際NGO「ペシャワール会」の長年の功績を称え、現地代表の中村哲医師に、ガニ大統領から勲章が贈られたのは特筆に値する。日本の民間人が同国の勲章を受けるのは異例のことである。 中村氏は途上国支援のあるべき姿を私たちに示していてくれる。
金まみれのお役所のマニュアルに沿った、海外の支援事業は国内の公共事業と同じである。関連業者と日本ン企業にお金が落ちるばかりである。平和貢献とは程遠いのが実態である。
驚くことは、この叙勲は2月7日に行われている。一月も経つのに報道すらない。ペシャワール会の事業内容に就ては、上記のホームページで確認願いたい。私は長年の会員である。本ブログで繰り返し書いている。読者の方々も、会員になって会を支援しアフガニスタンの人々を支えていただきたいと思う。
叙勲式で、ガニ大統領は「ペシャワール会のかんがい方式が復興の鍵だ」と述べ謝意を表している。中村医師は「長年の仕事が地元で評価され、為政の中枢に届いた。戦乱や干ばつの中にあっても人は生きていかねばならない。叙勲がアフガニスタンで大きく協力の輪を広げる動きであることを祈る」と述べている。
最近も、中村哲氏は安保関連法(戦争法)の成立などを受けて、安倍晋三を強く批判している。「国民は政権に従う必要はないが、憲法には従わなければならない」と国民へのメッセージと、安倍晋三への批判を行っている。これでは安倍晋三からの叙勲はないか。

