そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

幸せな家畜が産む美味しい畜産品・肉・卵・牛乳を

2015-11-23 | アニマルウエルフェアー
帯広で、家畜福祉のセミナーと実践農家の見学会が行われた。家畜福祉とは、家畜が経済効率だけで過酷で苦痛に満ちた状況にあるところから解放し、命ある生命体として扱おうという考えである。ヨーロッパでは、採卵鶏をバタリーケージで使用することは2012年から禁止されている。不幸な家畜たちとして、以前に書いているが、乳牛の多くも同じような現状にあります。酪農家が巨大化して、外に放されることもなく生理に合わない固いコンクリートの閉塞空間で使用されています。北海道牛の殆どは、輸入穀物に依存した効率を追求された巨大な施設で飼われています。北海道牛乳のラベルに、のんびりと牧草地に放牧している牛が描かれていますが、あれは偽装です。ごく一部の農家が適正規模で飼育していますが、生産している牛乳は少量で多分5%以下の量だと思われます。
牛を健全に扱うようにという考え方が、家畜福祉・英語でアニマルフェアーというものです。今回は、家畜福祉の基準に沿って飼育している農家を、四葉乳業が高く買い取りプレミアを付けて販売している、実践農家二戸を見ました。
一見して牛は健康で草をたっぷり食べている、大きなお腹をしていて、何より牛たちが大人しいのです。この十勝でも、1960年代までは、どの農家でも放牧していたものです。親父たちのやり方の彼らは戻っただけです。外に出し草をたっぷり食わせ、輸入穀物を減らすことで、牛が健康になり病気が減り、経費が掛からなくなり、規模も小さいので設備投資も維持費も少ないので、経営的には安定しています。一軒の農家は、嫁さんが外に仕事を持っているので、楽な方法を選んだというのでした。楽した法が牛が健全になり、経営がよくなる現実があります。
酪農家は規模模拡大すればするほど経費が掛かります。牛が不健康になります。圧倒的な診療の金額がかかってるのです。そして何よりも短命なのです。高泌乳を強要される牛たちは、畜産物の生産に苦痛を感じています。穀物業者、ひいてはアメリカ穀物業者だけが儲かるシステムなのです。大型農家ほど底力がないと以前に書きましたので、経営的内容は参考にしてください。

日本生命大学名誉教授の松木洋一氏から海外の事例のなどの報告がなされました。EUでは家畜福祉に沿った飼い方に、認証制度があることが多く、一定の付加価値を付けて消費者に届けているとのことです。
私たちも、牛を束縛し、苦痛を与える大型農家ではない農家を対象に、乳牛の家畜福祉の認証制をを作ろうと歩き始めたところです。多くの酪農家は、このんで牛を苦しめるようなことをしているのではありません。国や様々な酪農関連業者や農協などに、補助金制度でつられて規模拡大しているのです。牛に対して心苦しく思っています。
私たちは、健康で幸せな家畜が生産した畜産物を農家に届けるべく、これからも努力して行くつもりです。
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