そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

暴力の連鎖が産む無差別テロ

2015-11-15 | 安倍晋三
フランスのパリで11月13日夜(日本時間14日早朝)、市内中心部のコンサートホールや北部のサッカー場などを標的とした、一般人を標的にした同時多発テロ事件が起きた。死者はこれまでに129人にのぼり、352人が負傷している。。過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出した。パリの2月に出版社を襲った、イスラム過激派のテロとは明らかに異なる。出版社襲撃テロは、明確に言論に対する抗議であったが、今回は大きく質的にも量的にも大きく異なる。
イスラム国(ISIS)が犯行声明を出しているが、疑わしい面もある。自分たちがやったという声明の中に、報道以外で得られる情報が乏しいのである。実行犯の殆どは自爆死したが、3つの組織がかかわっていると報道されている。無差別同時多発はアルカイダの自己主張であるが、ISがこれを真似たのかどうか疑わしいものである。
フランスは、ブッシュのイラン攻撃を最後まで強く反対した国家である。時の外相は政治的に葬られた。結局フランスは中東で、アメリカの後塵を拝することになるのである。現在はIS掃討のために空爆を行っている。
フランスは人の思想や行動については寛容な国家である。移民の受け入れもかなり多く、1200万人受け入れている。思想的寛容さがこうした受入れの多さに現れてはいるが、それがあだになった感がある。
2月の出版社襲撃事件の時にも、フランスではメリカルなどEUの要人たちが反テロのデモの隊列に加わっている。フランスなりの厳戒態勢は続いていたようであるが、結局その空隙を突かれたことになるのだろう。

21世紀は平和の世紀になるものと信じていたが、それを壊したのがブッシュである。2歳気が明けた年の9.11は衝撃的であったが、ブッシュはこれを暴力的に解決することを宣言した。なぜテロが起きたのかの追及も解明も検証も何もやらずに、無差別暴力による報復をブッシュは選んだのである。暴力の連鎖の始まりである。暴力的対立は強者が寛容にならなければならない。でなければ弱者は個別の報復、テロに走るのは当然である。テロは国家を意識することはない。これが21世紀の暴力行為である。
こうしたことへの解決策は極めて難しく、即座に効果のある対応は困難である。目に見える形として武力を用いるのは国民への安全性ということから必要であるかもしれないが、それでは根本解決にならない。中東問題を暴力的に解決することは困難である。彼らこそ侵略された歴史を持つ被害者だからである。侵略し支配したのはヨーロッパの各国である。
ISがいつまでも勢力を維持しているのは、欧米の体制への不満分子を吸収しているからである。そうした意味でも単に中東の問題ではないのである。こうしたテロ行為が共感を得られるものは極めて少ない。彼らにも解っているはずである。ISに未来があるはずがない。存在そのものが自爆行為といえるものでしかない。
フランス独自の非暴力へとつながる道を模索してもらいたいものである。困難な遠い迂回路かも知れないが、少なくともアメリカ流の解決法を選択していただきたくはない。
コメント (2)
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