アメリカで4頭目のBSE(牛海綿状脳症:狂牛病)の発生が確認された。2006年以来、4頭目であることと、食品として流通していませんと、現地の電子新聞は強調している。
日本はこれまで、4年前を最後に36頭も確認されている。アメリカに牛は9千8万頭いるが、日本には僅か420万頭しかいない。アメリカの20分の1である。
消費者には、極めてアメリカのBSE発生頭数が少ない印象を残す。
日本は食肉の対象になっていない死亡牛まで含め、全頭を検査している。ところがアメリカのBSE検査牛は、4万頭程度である。僅か4.4%の検査でしかない。単なるアリバイ工作としか言いようがない、極めて貧相な検査体制である。
日本の36頭も、屠場・死亡処理場の検査で確認されたものであって、生前に症状のあったものはいない。今回のアメリカの発生牛は、セントラルバレーというところの、乳牛であることは報道で確認できたが、症状などの中身は不明である。
発生経過と検査体制に不自然なところがあり、症状のあった牛の検査でないかと、個人的に推察している。
前述のアリバイ工作としか言いようのない検査とは、輸出のためのものである。TPPに向けて、先般野田が訪米でオバマに差し出したお土産は、牛肉の輸入規制の20か月を30か月に緩和するというものであった。
http://blog.goo.ne.jp/okai1179/d/20111210
TPPが怖ろしいのは、アメリカの規制を、とりわけ従順な日本などに自国制度の正当性を、圧倒的な経済力で押し付けてくることである。
日本の畜産農家は、トレイサビリティーを含めたきめの細かい、食品の安全体制を、日々実行しているのである。その労力と負担は生産者が負っている。
TPPはそうしたことを、根幹から崩すことになる極めて危険な、無関税・経済優先の制度なのである。