そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

輸入牛肉の規制緩和でアメリカの牛肉は安全か

2011-12-10 | ゲノム編集

9日厚生労働省の諮問機関の、食品安全委員会が牛肉の輸入基準の規制の緩和に踏みきった。これまで、20ヶ月の規制を30ヶ月に切り下げたのである。この変化は、極めて大きい。BSEの現状については、9月の書いているので参考にしてもらいたい

http://blog.goo.ne.jp/okai1179/d/20110912

この10か月は、日本人好みにの牛の仕上げにかかわる、最も重要な期間である。日本人好みの肉質に仕上げるためには、この期間が必要になってくるのである。

確かにBSE(牛海綿状脳症;狂牛病)の発生は極端に少なくなった。BSEの最も恐れていたことは、人への感染である。88年当時の20年後の発病予測は、最大で12万人以上だったが、現実には221名に留まっている。

したがって、いずれは緩和に踏みきることになるとは思っていたが、相変Photoわらずアメリカの外圧によって決められている。マーク・キーナム米農務次官が要請に来て、これを受けた形である。野田首相もオバマに直接釘を刺されている。そしてこのことは、TPP参加を見越してのことである。

アメリカの牛肉は、ほとんど発生のなくなったBSEの問題などではなく、極め て危険な商品であることを知っていた抱きたいのである。

アメリカの牛肉は、ほとんどもれなくホルモン処理がなされている。半年程度の幼児期に、皮下にホルモンの錠剤を埋め込まれるのである。その後も、場合によっては追加処理されることもある。

民間経営の屠場ついても、日本のような規制がなく獣医師一人で数百頭の牛の処理を受け持っている。しかも目視だけである。日本は、獣医師一人で10頭足らずとされている。大きな違いである。日本の屠場は、ほとんどが公的な機関であり、検査獣医師はすべて公務員である。

飼育現場では、ホルモン処理を含め日本のように、有資格者が診療に当たっているわけでもなく、治療薬も安価でほとんど自由に使用されている。とりわけ多頭飼養になってから、大量の抗生物質などが使用され、牛肉は極めて危険な商品になっていると言ってよい。

すべての日本の牛の耳には、ナンバー票がつけられている。日本の牛はすべて、飼養管理内容を確認できるシステムになっている。

規制緩和あるいは規制のアメリカ化は、日本での牛肉のこれまで、日本が行ってきた、安全性など全く望めない状況になってしまう。牛肉の安全性は、単にBSEの問題だけではないのである。

左のフォトアルバム<根室半島から見る山々>をアップしました

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