31日に鳩山と谷垣の党首討論があった。党内から弱腰を指摘されている谷垣総裁は懸命に、鳩山を責め立てていた。少なくとも以前の穏やかな物知り口調は影を潜めていた。鳩山首相は、普天間基地の移転問題での攻撃で「腹案がある」と言ってしまった。
「複数案」の間違いではないかと思ったが、3月中には方向性を出すとか言っていた が、口が滑ったのかも知れない。鳩山の腹案とは、これまでの経過からすると、それほど多様なものがあるわけではない。
普天間の陸上部を少し伸ばして基地機能を縮小し、キャンプシュワブか徳之島への分散を考えているようである。国民新党へ顔向けするようにも思えるが、選挙で鳩山が繰り返した、最低でも県外へはなくなってしまう。連立内の社民党のメンツは潰すことになる。
沖縄の人たちの、民主党への期待感は揉み消されたことになる。残された僅かな道は、将来的に沖縄から基地をなくすか、縮小案を示す程度のことは考えられる。政権内に踏みとどまりたい社民党は、なんらかの緩い条件を提示し飲み込むことになるだろう。連立離脱など今の社民党にできるはずはない、民主党は思っているだろう。
それにしても、せっかく政権交代したのに、日米安保の今般を見直す論議が皆無だったのには、何とも情けないことである。東西冷戦が崩壊したのに当時の体制と思想もまま今日至っている。
しかも沖縄返還や安保条約に伴う密約問題も、この間暴露されている。中曽根元首相などは居直っている。何が悪いのだと居直られて、その後の日本が従属する日米関係、米軍への高額なおもいやり予算や、地位協定などもこの延長にあることを見過ごしてしまっている。
鳩山の腹案は公約違反である。