9月27日に行われたドイツの総選挙の結果は、日本とほとんど正反対の結果になった。4年前 にキリスト教同盟(CDU)と社会民主党(SPD)の2大政党が、いわば両すくみの状態で大連合を組んだ。お陰で、審議もろきにしなくてもいくらでも法案が通ってしまう状況になっていた。日本ではこれを見習い、ナベサダの口利きで福田康夫と小沢一郎が画策した大連合であるが、鳩山や菅の反対でとん挫した。
こうした大連合に、今回の選挙で国民は待ったをかけたのである。キリスト教民主同盟と社会 同盟(CSU)の同盟UNIONが239議席で13伸ばし、社会民主党は146議席で76減、UNIONと今回連立を組む自由民主党(FDP)が93議席で32増で大痛手を食った。その他の少数政党、左派党が76議席で22増、緑の党が68議席で17増とが勢力を伸ばした。
CDUのメリケルはCSUの同盟を組み、FDPと連立政権を組むことになった。前回大連合の相手となった、左派の社会民主党の凋落は激しいものであったが、少数政党が存在観を示した形となった。
日本と形は異なるが同じ小選挙区制度のドイツは、日本の選挙結果とは異なり少数政党の乱立になった。日本は民主党の一人勝ちになったが、メリケルはSPDを切ることで企業寄り政策や原発の復活などに動くようである。
日本では2大政党を前提とした小選挙区制度であるが、今回のような大激変が起きることもある。ドイツはいまや5党体制になって、これからしばらくはいくつかの政党が連立を組むことになる。日本の自民党が最後の悪あがきに見せたような、どう見ても意味不明のばらまきや補正予算を節操なく出すことも、可動的な連立が恒常化することでなくなるのではないだろうか。現在のような選挙態勢だと、継続的な体制となりにくくなるのではないかと思われる。