自民党と民主党のトップ会談は決裂に終わった。本当にそうだろうか?? 福田康夫も小沢一郎も党内に諮ることなく、延々と3度にもわたる会談である。だれが得をして損をしたのか。
民主党が連立話に拒否をした。鳩山幹事長の言い分が「大政翼賛 会になる」と言うのが、第一声であった。中身ではない。政治家は信条がそれこそ身上である。小選挙区制の中で、第1と2が連動すると国民に選択肢は残されない。そうした意味での発言であろうが、ここは思想が違うものがと発言して欲しかった。ここに民主党の脆弱性がある。
小沢が圧倒的に不利な結果となったこの会談は、決 裂が解って話しかけた福田の方が数枚上手である。つい最近民主党に合流したばかりの小沢は、これで党内の基盤を大きく失うことになった。福田の一義的な目標は十分達成できたと言える。
3度も会談を繰り返したのは、何か小沢に甘い汁を福田がチラつかせたのであろう。それが、テロ特措法の提案に小沢の主張する国連中心主義を盛り込むか、恒久法としての他の小沢の言い分を取り込もうとしたのでないかと言われているが、私は連立になれば首相にでもどうぞと言ったのでないかと思っている。
過去自民党は、党是とはかなり外れた人物を、危機的状況が起きると選んできた経緯がある。三木武夫や社会党の村山富市を令に出すまでもないが、今回の福田康夫ヘラヘラおじさんもその手合いである。憲法やアジアに対する姿勢が安倍ボンとはかなり緩んで、自民党の党是を守りたい連中は歯がゆく思っている。
そう考えると、彼が小沢に見せたもっとも甘い汁は、連立による政権の禅譲ではなかったかと思われる。自らの党内基盤が、今回の密談で由来でも民主党内の小沢ほどではないであろうと読んだのでないか。
選挙で政権交代をします、密談なんてやりません、と発言していた小沢が即座に拒否できずに党に持ち帰った不可解な事実が明かされるのはもう少し先になるだろう。
いずれにしても、民主党内に相当自民党に近い連中が浮足立つことも含めて、今回のドタバタ劇は福田の思惑が勝ったものと思われる。