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そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

牛乳という特殊な商品を知ってもらうために、その2

2016-08-30 | 農業と食
乳牛はいつでも泌乳してくれるものではありません。ある一定の大きさになって、発情が来るようになり授精して妊娠して、臨月を迎えて分娩します。当たり前のことですが分娩しなければ泌乳しないのです。産まれてから初めての分娩まで、24~30カ月ほどかかります。母牛に受精するところから考えれば、さらに9カ月の時間がかかります。
他の農作物も計画しても一定の時間がかかりますが、乳牛は単純に考えるだけでも3年ほどの経過が必要になるのです。すぐに増産できないところに牛乳の大きな問題があります。
牛乳は鮮度が求められ、備蓄が基本的にできません。粉乳にしたりして乳飲料としての再生できる程度です。チーズやバターそれに、様々なものに転嫁するための粉乳などは、結果として備蓄ができる乳製品と言えます。
北海道の牛乳は、殆どが昨日記載しました一元集されて指定団体に集められ、目的別に加工されることになります。消費動向を見ながらできるという利点がありますが、農家側から見ると加工目的によって価格が異なるので、かなり複雑な構図になっています。
バター、チーズ、脱脂粉乳、生クリームそれに給食用と分けれれ多比率によって算出されたうえ、ここの酪農家の牛乳の成分と量によって、酪農家の受け取る牛乳価格が決められます。

乳牛は約13カ月間隔で分娩することになります。受胎しなければ、乳量は減ってきて淘汰されることになります。乳牛の病気はこのほぼ毎年繰り返される、分娩時にほとんどの病気の原因があると言われています。お産に係わるものだけではなく、乳房の炎症・乳房炎や繁殖に関する障害もこの時期に関係していると言われます。
搾乳は多くは一日2回行われます。この作業は欠かすことができません。牛を大事に扱う酪農家では、10産ほどはすることになります。酪農家は牛の個性や能力や、牛群内の力関係などを把握することになります。
大型でたくさんの乳牛を飼って、穀物を多給する高生産乳牛を抱える酪農家の乳牛は、平均で2.5回ほどで淘汰されます。牛に体がが生産に追い付かないので、受胎しなかったり乳房炎だったり、分娩時の障がいなどで淘汰されます。酪農家も個々の牛のことなど覚えていません。
酪農は現在、政府が推奨する大型農家が主流で多くの牛乳はこの環境で搾乳されています。つまり、コンクリートの床しか歩くことができない閉塞された空間で、大量の輸入穀物を給与された乳牛から搾った牛乳が主体なのです。乳牛を生命ある個体としてのアニマルフェアーの点から牛を飼うべきと、私たちは提案しています。
酪農は忌避音的には手作業なのです。余りにもたくさんの牛を飼ったり、むやみに大量の穀物を給与して、乳牛に負担をかけるべきではないのです。有機農産物同様に、アニマルウエルフェアーに沿った使用環境には評価を与え、一定の価格帯になることは消費者の理解をいただきたいと思います。
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牛乳という特殊な商品を知ってもらうために、その1

2016-08-29 | 農業と食
消費者の多くの方は、牛乳は乳牛が生産したものをそのまま乳業会社が、パッケージして販売していると思われていると思います。半分は当たっていますが、半分は牛乳の特性上きわめて一般消費者には解り難い構造になっているのです。
牛乳は生鮮食品です。そのためなるべく早く殺菌してパッケージしなければなりません。そしてもう一つの特徴が、牛乳は混ざり合うということです。最近はタンクローリーで集荷しますが、どの酪農家の牛乳であるか区別はできないのです。集荷する人は、戸々の酪農家のサンプルを採って全体量を測ります。細かいことを言えば、牛乳は農家毎の餌や飼養環境で異なります。もっと細かく言えば個体でも異なります。
牛乳はお米やダイコンや牛肉などと異なって、個別の扱いがとても難しくその上、鮮度が要求される商品なのです。古くは、北海道は消費地には遠いため、チーズやバターなどにだけする加工牛乳として扱われてきました。しかし、加工乳製品は海外と価格差が大きく、関税を設けてそのお金を、加工牛乳生産酪農家の牛乳代に上乗せしていました。不足払い制度と言います。
北海道の牛乳の加工乳はとても安く、府県の飲用向けの牛乳の半額にも満たなかったのです。それを補ったのが不足払い制度に基づく、補給金というお金です。北海度酪農は商流が発達するするまで、この補給金で生き延びてきたと言えます。
その補給金の支払いは、指定生産者団体を通じてのみ支払われてきました。その団体はホクレン(府県の経済農協)です。一元集荷多元販売と呼ばれ、北海道の牛乳はすべてホクレン即ち、農協に集められ乳業メーカーに販売されてきたのです。
北海道酪農の発展を支えたのは紛れもなく、ほぼ50年に及ぶ農協に集められる一元集荷の制度と言えます。
消費地から遠かった北海道などの生産地は、現在は制度が設けられた当時とは大きく事情が異なっています。一元集荷とは独占を意味します。現在でも90%は指定団体に集められています。が、一部はの生産者は直接乳業メーカーに販売するようになったのです。補給金がなくても、直接取引の方が値段がいいのです。

昨年7月に自民党の畜産・酪農小委員会は、指定団体の合理化や適切な乳価の設定それに生乳の入札制度の導入を提言しました。これを受けて政府は、農水省に「生乳取り引のありかた検討会」が設置されました。中央酪農会議もこれを受けて、入札取引の導入を検討することになりました。指定団体から直接販売を受諾する体制へ移行することになった。
これは眉唾物である。それ度も農協は集荷体制を持っていて、一元販売のうまみは減っても体制は残されていることになります。
農家が受け取る牛乳代はその他、牛乳成分や何に加工されたかの比率によって決められます。生産者団体はバーターやチーズそれに給食用にと向けられた加工内容によって価格が異なるのです。それらを調整してきたのも生産者団体です。
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増加する穀物生産量、食料事情危険水域に迫っている

2016-08-28 | 農業と食
左の表はFAO(国連食糧機構)が発表した穀物生産量と価格動向である。
穀物生産量は20億トンを超えるころになると、生産量は減少するものと言われていた。ところが20億トンを超えて、さらに伸び続け今年は、25億4400万トンになった。これは前年比0.6%、量にして1530万トンの伸びである。前年ブラジルの生産量が伸びたためと言われたが、今年度はそのブラジルのトウモロコシが良くないが、アメリカの生産量が伸びたのである。更には、小麦もコメも大豆も生産量が伸びている。
世界的には農地は減少しているが、規模拡大、大型機械化による生産の伸びであると思われる。しかし農地面積の拡大はもう限界にきている。化学肥料と品種改良による生産はすでに限界にある。左の表の棒グラフは在庫量である。生産量に比例して増えなければならないが、ほとんど同じかこの数年はむしろ減少に転じているかに見える。これは極めて危険な価格調整が意図的に行われる可能性を含んでいる。
右の表は、2002から2004年を100とした、この4年間の月ごとの価格推移である。確かに13年から15年は順調に価格が下がっているかに見える。しかしそれも、10年前のほぼ倍の価格推移であるが、今年は(赤線)しっかりとした右肩上がりの上昇に転じている。

一時的な穀物生産量は資本に裏打ちされ、化学肥料と遺伝子組み換えと品種改良によるものであるといえる。そして強大な資本は穀物生産量や人々の胃腑を満たすことの興味があるわけではない。最も興味があるのか価格である。生産量によって収入が得られない場合には、価格でこれを補う。補うためには価格操作を平気でやる。その現象を、在庫量の減少に伺うことができる。豊作による増収を喜んでいる場合ではない。
世界の人口は2年前に70億人を超え、現在は73億5千万人にまでになっている。驚異的な人口増加は、富める国で起きているのではない。主に途上国の人口が増えているのである。富の偏在に沿って食料は配分される。先進国では30%が肥満に喘いでいるが、貧困国では30%以上が飢餓に苦しんでいる。

絶対的な農地の拡大が起きていない現状は、技術開発による増産がそれらを見えなくしている。しかしそれもいつかは破たんする時が来る。地上の農地が人類を養うことができなくなる日が来る。必ず来る。
少子化が進む集約的農法を伝統的に経験する日本でこそ、そうした食糧事情を先見的に解決する能力を持っているといえる。農業は食糧生産産業と位置づけ、価格による評価を排除するべきなのである。
ところが、安倍政権の農政は、強い農業・攻めの農業・規模拡大・投資拡大・輸出促進・企業参入・生産調整廃止・規制緩和・農協解体、とどれを見てもそも、価格にしか焦点がない政策で真逆に走っているといえる。これは農家対策であって、食料政策ではない。大局的な食料政策を今こそ提言するタイミングなのである。
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今酪農は好調です、ですから離農者が増えます

2016-05-20 | 農業と食
昨年一昨年と私たちの地域の酪農は、まるでバブルが起きたように好景気でした。政府の様々な財政支援もあるりますが、なんといっても世界的な牛肉不足が背景にあります。単純ではないが、大きな要因は中国です。裕になった中国が突如として牛肉を、世界各地で買い漁るようになったのである。世界的な牛肉の不足が起きている。それが牛肉価格を釣りあげる。結果日本の酪農家が潤うというのです。

酪農について少し基本的なことを述べます。酪農家は牛を飼って牛乳を搾りますが、乳牛といえども分娩しなければ泌乳しません。通常はほぼ14カ月ほどで次の子を産みます。酪農家にとって搾乳とほとんど同じように授精は大事なことなのです。
ほぼ半数が雌ですから、跡継ぎの乳牛は母牛の常時30%ほどいることになります。
府県ではこの乳牛に、和牛を授精したり和牛の受精卵を移植したりします。酪農家からでるオス牛はあまり質の良くない肉牛として売却されます。このオスの子がこれまでは2万円ほど、最低の時には5千円ほどでしたが、今は10万にもなって売られてゆきます。
府県などでは、和牛を授精したり受精卵を移植するので後継の乳牛が不足します。そこで、これから初めて子供を産む未経産牛が、これまで40万円ほどせいぜい50万で売却されていました。それが70万円以上もするようになったのです。おなかに和牛の受精卵でも入っていれば100万円もするようになっているのです。こうした若牛の孕みを売れる北海道の農家は、大変収入が増えることになったのです。おまけに本業の牛乳の販売価格も好調です。
それでは酪農家は笑いが止まらないということになっているかというとこれがまた別の問題を抱えているのです。何しろ農民の高齢化と後継者不足は深刻な現実があります。高齢の酪農家にとって、牛の値段がいいということは辞めるのに都合がいいのです。100頭も牛がいれば、平均で20万円ほど値段がいいのですから、今辞めて牛を売れば2000万円も収入が増えるのです。増えた分だけでも、通常のサラリーマンの退職金に相当する金額です。これほど好景気な酪農ですから、離農者が増えているのです。牛の値段がいいということは離農の絶妙のタイミングと言えます。長年苦労してきた酪農民への報酬ともとれます。
北海道では農民の減少が深刻です。限界集落があちこちにあります。私たちの町のように、乳量が増えることばかりを追求してきましたが、本当は人が増えることを求めなければならなかったのではないか。そうしたことが、若い人を都会へと後押しするようになった。酪農が順調であるからこそ離農者が増える現実に複雑な気持ちである。
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震災に弱い大型農業、

2016-05-13 | 農業と食
安倍政権は農業の6次化あるいは、攻める農業とラッパを吹くが、工業的感覚の経営感覚が根底にある。ところが大型農業あるいは高生産農業は、きわめて自然災害に弱いのである。簡便で大きな施設は、風水害に簡単にやられてしまう。竜巻や強風で簡単に飛んでしまう。風で飛んだり雪で潰れたりする、ビニールハウスは毎度放映される。
大型の畜産などでは限界に近い形で生産を家畜に強制している。ちょっとしたことがストレスになったり、一気に生産が低下する。時として危機的状況になる。
何よりも規模拡大したことによる、経済的な負担がちょっとしたことで狂ってしまう。外部資本に依存する経営は生産基盤がぜい弱なのである。
今回の熊本地震では、大型養鶏や酪農や肉牛農家が相次いで撤退している。天災で辞めなければならないのは不幸なことであるが、政策的に大型化を奨励してきた経緯の責任は政権にある。奨励される6次化を実践していた酪農家は、観光客が激減して生産どころか売ることもできない。大規模畜産の典型である採卵鶏であるが、熊本地震で33万頭処分されている。
オイルショックや気象災害やリーマンショックなどの外的国際的要因に、大型農家は耐える能力がないのである。彼らが生き残っているのは周辺産業を潤しているために、社会的影響が大きく、政治的な力が強いからに他ならない。年5万頭出荷し2100頭豚を飼育する農家では、被害が1億円を超えると計算している。しかし経営を落とすわけにいかないと頑張っている。
食糧という、人類に間断なく届けなければならない製品を安定的に生産するためには、大型農業は適さない。今風な表現をすれば、危機管理ができない生産システムということになる。

そもそも、大型農業や大量生産は経営的にいいとは限らない。むしろ当地の酪農のように、大型酪農は経営効率が悪く規模拡大が農家に経済的負担が大きくなり、家畜に負荷が強くかかることなど、経営そのものがいいわけではない。
ただ農家をめぐる周辺産業が潤うために奨励されるだけである。規模拡大した農業では、労働量と負債が増えるばかりで、農家にメリットはない。震災にあわれた方には気の毒のほかないが、熊本地震を教訓にしていただきたいものである。
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牛乳の現状はどうなっているのか、

2016-04-23 | 農業と食
私の住む北海道の東の果ては、平地でも冷涼な気候で農作物が取れません。唯一収穫できるのが草です。本来の酪農は人が食べれない草などを与えて、人が食べることができる牛乳や肉にい変えてくれる牛を飼っているのです。北海道の農業は国の開発によって移住する農民が作ってきたものです。
50年前には、乳牛の価格も牛乳の価格も本州の半額以下でした。それを補てんするために、輸入乳製品に課した関税分を北海道の乳価に上乗せしてきました。それは消費地がうんと遠いことが関係しています。それは、農協が一元集荷することが条件であったのです。乳価に上乗せさせたお金を、補給金と呼びます。かつては乳価の半額ほどもあったのです。
補給金は農家に支払われているように見えて、半額は乳業会社に支払われているとみることもできます。農家から補給金の部分だけ安く買えるからです。
消費地から遠いため、北海道の鮮度が求められる牛乳は飲用にはならなかったのです。北海道の牛乳は「加工乳」と呼ばれ、バターやチーズなどに振り向けられていました。道路が整備されフェリーなどが発達し、商流が盛んになって本州などの茂牛乳を、飲用として一部売られるようにもなってきました。酪農家保護のための関税も下がり、補給金の金額も減少してきましたが、飲用が増えたことで価格も上がってきました。

牛乳にはほかの商品と異なる特性があります。投資しても精算まで時間がかかり、技術的なことも伴わなければならないのです。そしてその生産物には鮮度が要求されます。そして何よりも、個人販売がほとんど不可能な産業です。
北海道の牛乳は現在、飲用とバターやチーズなどになる加工用に分けられます。飲用は高くバター用は安いのです。チーズも安いのですが、関税が350%ほどもあるため、バター用が安いのです。そのため生産量が減るとバター不足になるのです。
牛乳は夏に消費が多くなり、小さな受け入れ上では不足が生じます。そのため、各地の農業関係団体がお互いにやりくりをするのです。
北海道の酪農家の乳価は、消費目的の比率によって決まることになります。飲用乳の比率が、府県の酪農家の減少に伴って高くなってきています。

北海道の牛乳はほぼ全量に近くが一元集荷(ホクレン)ですが、当地では関東から飲用乳としていくつかの農家が関東の乳業会社に売る様になりました。政府も牛乳が農協にほとんど集まり、補給金支払いの条件になっている現状をなくすように動き始めました。競争が起きれば乳価は高くなるというのが政府の言い分です。確かの企業のほうが現在は高いことも事実ですが、それは逆の可能性もあるということでもあります。
酪農業は極めて脆弱な産業です。近代化され多頭化高生産化の現状は、鶏や豚のように伝染病の危険と背中合わせです。飼料や気候変動や為替変動が生産に占める比率も年々高くなっています。個人企業がそのような事態に対処できるか大いに疑問です。企業はいつでも放棄することができますが、農協はそうはいかないというのが、農家を縛っている現実もあります。
牛乳集荷の多元化は避けて通れないと思います。ホクレンが一元集荷に胡坐をかいていた実態もあります。府県から北海道に買い付けに来るのは歓迎すべきでしょう。補給金も農協以外の企業についても支払われるべきでしょう。
現在牛乳の価格が高く、乳牛の個体価格もかつてないほど高くなっています。TPP対策として、補助金も各方面に支払われています。酪農家はバブル状態で経済的には恵まれた状況といえます。こうした時期には得てして新たな動きがあるものです。

行政や企業に踊らされると酪農は経営の本態が揺らぎます。規模拡大などによる生産増ばかりを考えるのではなく、目先のことに囚われず酪農家は長い目で判断するべきと思います。
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北海道ではないが起きているか

2016-04-20 | 農業と食
4日前の本ブログに真摯な質問があったので、私の知る限りで答えたいと思います。コメント者は、<マイミー>さんという福岡の方で、質問はTPPの影響と北海道5区の補選の見込みです。
先ず、TPPですが当地で当選している衆議院の代議士は選挙活動中、「TPP断固反対参加しない」と断言していました。支持母体が農協だということを省いても、かなり本人は本気だったのではないかと思っています。今頃になって安倍晋三は、「私はTPP参加しないとは一言も言っていない」と、自民党総裁でありながら、平気で嘘の上塗りをやっています。なんと無責任な男であるかと思いますが、そうしたことを農民はしっかりと見ています。
北海道に限らず農村では、マイミーさんに指摘通り二手に分かれています。
つまり農協を中心として、TPP参入後の補助金の方法と金額を引き出して優位に持っていこうという人たちの集団。それと、そうした条件闘争は結局は関税をいつの日かゼロにするのを前提にしているのであるから。断固反対と国会決議かそれ以上でなければならにという、いわば農本主義に近い人たちの集団に分かれています。私はもちろん後者を支持しています。条件闘争はいずれ日本の農村は壊滅します。農村だけではなく農家が潰れてしまうのでないかと思っています。つまり食糧を生産しない国に墜ちてしまうことを意味します。
若い人たち、特に十代の後継者と呼ばれるような子たちは、それとなく危機感があり都会に出ていく子たちがいっぱいです。農村は高齢化以上に少子化が深刻です。日本の少子高齢化は、まず農村・僻地で起きると12年前の自書で書きましたがその通りに進行しています。TPP問題は若者の意識の中に、深く深刻に突き刺さっている感があります。言葉で今を誤魔化しても、若者たちは本質を見抜いているように思われる。

北海道5区の補選ですが、ここは町村の牙城です。当初は娘婿を担ぎ出した弔い合戦で、楽勝と誰もが予測していました。しかし、共産党がすでに表明していた候補者を取り下げ、民主党(今は民進党)候補を推薦したことで、状況は一変しました。それでも勝ち目はないと大方の予測でしたが、まずは候補者の選定が良かった。池田まきさんという女性の方で、家庭内暴力やシングルマザーという経歴で、実質中卒で介護士をしながら北海道大学の大学院を出るという、悲劇と努力を絵に描いたようでしかも明るく演説もしっかりしている。
民進党と共産党はこれでもかという女性議員を投入している。町村の娘婿を担ぎ出した自民党も、かなり焦ってきたようである。一地域の補選に自民党の要職や人寄せパンダの小泉進次郎など投入し、安倍晋三まで来るというのである。逆に言えば自民党は危機感を抱いているのではないだろうか。
京都三区を不戦敗した自民党は、北海道ではどうせ勝てるからと見込んだことが甘かったのではないだろうか。早稲田卒で一流商社マンでエリート臭がプンプンする娘婿より、生活臭が滲み出ている池田候補がここにきて一気に追い上げていとみられている。現在は横一線化あるいは、若者の支持が厚く浮動票をより多く取り込んでいるだろう、池田まきさんがわずかに有利との見方が多い。
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「食料と人類」を読む、食料増産が地球環境を破壊してきた

2016-04-03 | 農業と食
列車で札幌往復する機会があって、一冊の本を読んだ「食料と人類」(飢餓を克服した大増産の文明史)ルース・ドフリーシ著 日本経済新聞社刊 2,400円である。著者はコロンビア大学教授で専門は生体・進化・環境生物学と訳者の小川敏子氏が紹介しているが、やや専門の内容が冗漫になるきらいはあるが、食料生産を人類の発展の基盤にした視点は正しいであろう。
人類が狩猟から定置生活をするようになったのは、食料を栽培して作るようになったからである。そのことはやがて富を生むことになり、人類の難題を背負うことになるのであるが、彼女の言うように食糧生産が人類の発展を支えた事実に変わりはない。しかしながら、化学肥料や農薬それに機械に頼ることになり、環境の悪化をもたらすことになっている。
飢餓の克服を、種子の改良や単作化(モノカルチャー)や肥料や農薬の開発と機械化で成し遂げたが、そのことで更なる人口増加へとつながるジレンマを人類は抱えた。肥料生産でも大型化でも、化石燃料に頼ることになる。農薬は土壌と地下水などを汚染し、地球温暖化に拍車をかける。著者は地球温暖化に最も貢献しているのは農業であるというのである。
2007年5月に、都市人口は農村人口を超えた。そしてそれは今でも進行している。今世紀半ばには8割を超えるのではないかと著者は推測する。食糧はだれが生産することになるのであろうか?食糧の量的問題だけでなく、質的な変化も起きるであろう。誰も農産物の生産現場を知らなくなるからである。
日本では半世紀前までは、都会に住む者はほとんどが田舎を持っていた。そのことが間接的に農業を支えてきたが、今はそれもなくなり農業は補助金で生きているのが現実である。
人類は豊かになるにつれ、でんぷん質の摂取を減らすようになる。肉や卵や乳製品を増やすのであるが、かつてのように人が食べられないものを家畜に与えるのではなく、穀類などを与ええるようになる。このことは大変なロスを生むことになる。1ポンドの牛肉生産に12ポンドの飼料がいるのである。エネルギーロスが計り知れなく起きる。
著者は、人類が地球上で生存していくためには、安定した気候栄養の循環生物の多様性が不可欠であるが、それらが壊されていると警告を発する。栄養の循環とは特に人類の排せつ物が廃棄されているというのである。大地から切り離された家畜も同じである。近代化された畜産では、飼料の循環は起きていない。著者は、環境保護団体をも無縁であり、食料生産の悲観論者でもない。遺伝子組み換え作物には評価を与えていない。今後の問題としているのは多少の不満が残る。
訳者が専門的知識にかかけているための誤訳が目についたが、まずまずの良書と言える。
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供給過剰の世界の穀物、それでも下がらない消費者価格

2016-03-27 | 農業と食
左のグラフは今月に発表された、国連のFAO(食糧機構)の発表したものである。
農業関係者は口を開けば、穀物の高騰を口にするようであるが、一昨年からこの事情は大きく変化している。世界的な穀物の豊作が、様々な食料価格を下げているのである。ただ日本はこの間に安倍政権の金融操作で、30%も円の価値を下げているので、畜産農家や製麺業者はそのことを実感していないであろう。
二つのグラフはいずれも2002-2004年を100にした数字であるから、そのレベルまでには至ってはいないが、昨年夏より砂糖を除くあらゆる食料品の世界的価格が下がっている。これにはブラジルとアルゼンチンの高収量がある。ざっと見て40%もの価格下落である。
さらにここにきて、昨年来の原油価格の下落が大きい。今月12日に原油価格の下落を書いたが、これらは安倍政権が掲げるデフレ脱却にマイナス作用になる。国民にとっては喜ばしくても、アベノミクスは不都合なのである。現実の物価はそれほど下がってはおらず、一般国民は安泰というのであろうが、そうはなっていない。確かにガソリンなどは安くはなってはいるが、原油価格は30%にもなっているのである。流通経費もあろうが、いかにもおかしい。日本の畜産は穀物の大量給与に依存する形態である。ところが畜産製品は、ほとんど下がっていない。農家が家畜に与える穀物は、20%も下がってはいないからである。担い手不足や高齢化で生産量が落ちているので、むしろ乳製品は上がっている。少なくとも農家手取り価格は上がっている。
むしろ中国が肉を食べ始めたので、生産者価格は上がっているのである。特に、鳥や豚の病気の流行で品薄になって、牛肉価格が上がっている。東洋だけの問題かもしれないが、日本の生産者はいわばバブル状況である。農地開発などの現状も限界にあり、何よりも中国が消費する側に回ったことが、今後の食糧の供給に大きな不安を残すことになっている。
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フランスでスーパーの食品廃棄処分禁止法成立、日本こそ導入すべき

2016-02-20 | 農業と食
昨年5月フランスでスーパーマーケットの賞味期限切れ食品の廃棄が法的に禁止されたが、今月5日から実施されることになった。廃棄されるはずだった食品はフードバンク(品質に問題がない食品を生活困窮者などに配給するシステム)などの援助機関に回され、必要とする人々に配られる。これによって、毎年数百万人に無料の食事を提供できるようになるという。
延べ床面積400平方メートルを超える店舗には、売れ残り食品の受け入れを行っている慈善団体との契約を今7月までに結ぶことが義務付けられた。人の食用に適さなくなった売れ残り食品については、家畜の餌や堆肥として転用しなければならない。こうした法律は世界初となる。
イラン革命でフランスに亡命した議員が、学生時代食べ物に不自由した経験をもとに執念で成立させた法律である。

21世紀は必ず食糧問題が起きる。同様の今世紀起きるであろう、エネルギー問題や環境問題に比べて、食料問題は急激に起き待ったがない。ほかの問題に比べて、対策方法がないのである。我慢ができないし生命にかかわるものである。
上の表は世界各地の生産段階と商品化された段階での廃棄量を表したグラフである。この表はやや雑なところはあるが、きれい好きの日本はこの段階の廃棄量は多分群を抜いて高いものと推察される。先ごろ廃棄食品を、処理業者が再販売していた報道があった。実際に被害者がいたわけでもなく、気づいた人がいたわけでもない。賞味期限が、食料の本来の在り方を考慮した上で作成されたものとは思えない。
少し前までは、豚などにこうした食べ物が回ってきたものである。廃棄食品では成長が遅く肉質が消費者の好みでないことと、畜産の大型化によってそうした処理も現在はほとんどない。
スーパーなどの閉店後の風景は、直前まで並べていたきれいな食品を一気に廃棄する作業に追われるものである。何しろもったいないと思うのであるが、日本の廃棄食品は1700万トンが廃棄されており、完成品の廃棄は500~800万トンと推察されている。これは世界の食糧援助のほぼ倍の量である。
これらに対する歯止めがないかと思っていたところ、フランスの取り組みは未来を見据えたものとして、高く評価したいものである。日本こそが導入すべきである。
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懸命に

2015-11-24 | 農業と食
左のグラフをクリックして大きくしてみてください。日本農業が真綿で絞められるように、ゆっくりとしかし確実に減少傾向にある。これはカロリーではなく生産金額である。
この30年間で、11兆7千億円であった農業生産額は、8兆5千億円へとほぼ30%減少している。コメは3兆9千億から1兆8千億円へと半分以下になっている。この間の人口はほとんど変化はない。コメ価格は半額に落ちてきたといって良い。
富裕の指標にもなる畜産製品は、3兆3千億円から2兆7千億に減少している。この間に畜産製品伸びは著しいものがある。価格がかなり差Gはってきたのである。これらはいずれも農家の努力なのである。
この間のカロリーベースの食料自給率は、55%から40%と減少しているが、生産価格の減少ほどではない。果実と野菜の生産価格はほとんど変化がない。
日本の家畜は大量の穀物を食べている、と本ブログでも書いた。穀物が重要なのは主食になるほどカロリー価が高い食べ物としての意味もあるが、貯蔵がきくというところにある。遠くへ運べるばかりではなく、販売時期を操作できるのである。勿論、その時には食料としてではなく、経済効果が上がる商品としてののみが大きくなる。それを左右するのが備蓄量である。備蓄量が、かなり生産量も人口も増えているのに、備蓄量はやや減少にある。相対的には減少しているのである。
穀物がやがて、世界戦略として主流になるのではないかと思っている。
日本の農業事情は、多分二つの要因で一気に崩壊する危険にある。一つは農の原理を無視した無造作な大型化である。もう一つが高齢化である。高齢化は均等に振興しない。地方ほど早く高齢化が深刻になる。農村はそのまま消滅することに名かも知れない。
日本農業を守ってこなかった日本がほどなく直面する、食糧問題が農村の崩壊と共に顕在化することになる。
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TPP、そして誰も食料自給率も食の安全も農業の多面性も語らなくなった

2015-11-06 | 農業と食
TPPが大筋合意したと報道は盛んである。報道の多くは農家が大変だと言いながら、安くなるものがあると但し書きの報道に偏っている。農家が大変なのではなく、消費者が大変なのだろうし、国民の貧困層を増やしておいて、食糧は安価であるべきというのであろう。
食料については自給率も食の安全も、環境問題や多面性も、TPP大筋合意で吹っ飛んだ感がある。自民党の現政権は、TPP参入しないと公約を掲げていた。半ば信用していなかったが、主要5品目は守るとも言っていた。チビチビ出してくる情報では、どうも十数年かけてこれらの関税も撤廃かそれに近い状態になるものと思われる。
自民党は都市部では必ずしも、TPP参入しないとは言ってはいなかった。二枚舌の公約であるが、田舎でははっきりと参入しないと明確な態度を示していた。その反応が下の表である。農業新聞の読者を対象にした、内閣支持率である。かつては自民党の票田とまで言われた農村、農民票である。保守政党に支持率が高いのは、農業に対するというより、農家に対する補助を続けていたからである。現在は過疎化、高齢化が進行して票田といわれるほどの量がない。相対的に農業の位置が低くなってきたからである。
自民党は農家に見切りをつけてきたと言える。金をばら撒けべ農家が投票してくれる時代は終わったと言える。
農業の本質的な問題はどこかに行ってしまった。国家が自立するためには、最低限の食糧を自給しなければならない。先進国最低の食料自給率は自民党表明している。自給率の向上はTPP参入と矛盾する。地方の再生とか活性を望むなら、TPP参入を止めるべきなのである。自民党の農業政策と地方創生の政策は、TPP参入と矛盾する。
下の表は農民はこのことに気が付き始めたことを意味している。更には、宮城県議会選挙が象徴的である。自民党は選挙基盤を失い、共産党が倍増した。
TPPはあらゆる産業や制度を、価格や経済効果だけで評価するシステムである。毎日太陽の元で大地を見つけ、水の管理を行い作物の成長を観察する農家は、今起きている矛盾を肌を持って感じている。物の価値や環境を、価格や経済効果だけで語ろうとするシステムに矛盾を感じている。下の表は農家が自民党を見限り始めていることを語っているのである。

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「駄目なものは駄目」もっとシンプルな論議を

2015-08-10 | 農業と食
小難しい理屈を並べるからおかしいのである。人が生きてゆく原点、食糧の自給こそが国家を安定させるのである。右翼だって、街宣車でシンプルに訴えているではないか。食糧の自給こそが、最も基本的な安全保障と言える。食用さえ自給していれば、国交断絶や経済制裁も耐えられ、自国の基本的主張を貫き通すことが出来る。(写真はクリックすると大きくなります)
自民党の高村副総裁は当初、国の存続危機は具体的にはないかと問われ、ホルムズ湾に機雷がばら撒かれた時や、海上封鎖されて食料が来なくなった時だと答えたことがあった。ホルムズ湾に機雷がばら撒かれてどうしてで日本が存続危機になるのかよく解からないが、食料が入ってこなかった時には全くその通りである。
ところが、存続危機の例としてこの二つとも、高村は引き下げた。その後何度か例を出してはみたが、ほどなくどれも引き下げた。いかに、安全保障法案(戦争法)が実態を反映していない空論であることかがわかる。実例を上げられないのである。アメリカに派兵支援をして御機嫌を戴く法案だあることかが、見え見えである。
しかし、直感で高村の挙げた食料についての国家の存続危機の認識は正しい。食料問題は今世紀危機を迎えることははっきりしている。なのに、自民党は公約を破ってTPPに参加する。
食い物がなくなってどうする?真剣に考え対処するべきである。

原発もそうである。厳しい審査基準の元、ほどなく川内原発は再稼働することになる。安全なのに、避難計画を策定するなんてどうして必要なの?避難計画をしっかりやらなければならない発電施設は、危険であることを証明しているようなものである。更に、どんなに安全に運用しても、出てくる放射性廃棄物の処分場が存在しない。誰が考えても、こんな危険で次世代に負の遺産として残さなければならない施設など、おかしいのである。
小難しい、理屈など並べる必要などない。「駄目なものは駄目」である。

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なんだか気になるバター不足とトランス脂肪酸

2015-06-24 | 農業と食
日本ではバター不足で、今年5月に七千トン緊急輸入し追加の輸入もなされている。不足の原因は生乳生産量の減少である。政府の発表は現象として間違ってはいない。生乳も他の乳製品は不足していないということで、バターだけが足りないことに異論を唱える評論家もいる。それは乳価の構造を知らないからである。
酪農家が受け取る乳価は単一の構造になっていない。とりわけ北海道の乳価は複雑である。目的ごとに乳価が異なるのである。一番安いのは、給食向けで次のチーズ加工用、そしてバター向けとなる。一番高いのが、飲用向けである。これらの仕分けと比率によって乳価が決められている。
牛乳は生鮮食品である。消費地に近い府県の牛乳はほとんどが、飲用向けである。つまり高いのである。酪農家の受取り1キロ当たりの乳価は、北海道がおよそ90円足らずであるが府県は110円以上である。府県は消費の落ちる冬は少し安くなる。
当然高いものから売れるため、政策的に決められている給食向けは別として、当然高いものからさばかれることになる。府県の酪農家が減少しているため、北海道の牛乳の飲用向けの比率が高くなり、バター不足が生じていることになる。因みに北海道は日本の生産乳量のほぼ半量を生産している。
輸入されるバターは、25キロのバラバターといわれる加工業者向けの冷凍品がほとんどであろう。多分アメリカが主になろう。これはとても危険である。
乳房炎の指標になっている体細胞というものがあるが、日本では30万以上は自主的規制を掛けて、出荷すらしていない。ところが、アメリカでは75万以上になって2カ月続けば、バター用に回されるのである。このことは「汚い牛乳」で以前に触れた。日本では農協などが主体になって、こうした規制をやっている。
アメリカの牛乳のほぼ半量はホルモン処理された乳牛からのものであり、多分70%以上が人間の感染が危ぶまれているヨーネ病に感染しているのである。こんな汚い乳製品には、たっぷり関税をかけて日本国民の健康を守るべきである。TPPはその規制を外し関税を撤廃する制度である。そんな汚いバターを輸入するのである。

こんなに汚れた牛乳や抗生物質等に汚染されている肉製品であるが、日本から見ればアメリカでは規制がないに等しい。他の食品も同じである。遺伝子組み換え作物や化学薬品の処理には寛大なアメリカが、突如として「トランス脂肪酸」を規制すると言い出したのである。
FDA(米食料品医薬品局)が、3年以内に全廃すると発表した。アメリカの1~2万人の心筋梗塞の発病原因であるというのが根拠である。この規制だけ見ると歓迎すべきであろう。
9年前から表示義務を課してはいたが、唐突の感は否めない。これはマーガリン製造禁止といって良い。これまでのアメリカのやり方を見ていると、日本のバター不足を念頭に置いたバター売込み作戦とみると納得がいく。
多分トランス脂肪酸の製造禁止したのは、アメリカだけではないだろうか。これほど食品規制の緩い国家が、なぜという問いにはうってつけの回答と思われる。
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バターがなければ我慢しろ

2015-05-30 | 農業と食
農林水産省は27日、品不足が見込まれるバターを10月までに1万トン緊急輸入すると発表した。1回の輸入量としては過去最高となる。輸入されるのは、バラバターと呼ばれる業務用のもので、これは一般には多分出回らない。
報道では、農家戸数が減ったことや、牛乳の生産量が減ったことを大きな理由として挙げている。それは正しいが、このバターをどこから輸入するというのか明らかにされてはいない。
牛乳はそのまま飲むことになる、飲用乳が一般の方のイメージであろう。生産量も季節変動が大きく、貯蔵がきかない、鮮度が求められる製品である。
上図のように、(クリックすると大きくなります)きわめて多様な製品に牛乳は加工される。しかもそれぞれが価格が異なるのである。
特に北海道の牛乳は、多岐にわたり加工されることになるのであるが、その比率で農家が受け取る牛乳代が異なることになる。ホクレンのような大きな組織が、需給関係をとらえて配分する有利さはここにある。バターはその中でも価格が安く、生産が後回しになる。そのため品薄になる率が高い。

アメリカ産の牛乳も牛肉も豚肉も、規制緩和が徹底され、効率のためにあらゆることが行われている。日本では到底出荷できないような、乳房炎に罹患していると思われる牛乳でも平気で集荷されている。日本では販売できないが、アメリカでは加工乳として販売される。このことは以前汚いアメリカの牛乳として書いている。
さらに感染症の問題として、こんなにも汚いアメリカの畜産物として書いたが、アメリカン牛乳はこんなにも汚い。乳房炎、ヨーネ病汚染、ホルモン注射などなど、日本の消費者はとてもじゃないが受け入れることができない現状である。
輸入バターがアメリカから来るなら断るべきである。

抗生物質にまみれているアメリカに肉として、本ブログで紹介している。肉の汚染も甚だしいのである。
TPPという、無関税システムが完了すれば、安いこのような製品がドンドン入ってくることになる。
バターが足りなければ、事業者には申し訳ないが、多少のこととして我慢願いたいものである。TPPの予行演習のような今回の緊急輸入が、常態化される危険性も孕んでいる。
日本の畜産乳製品は、世界各国の中でも断トツに汚染度が少ない。日本の消費者を守りたいのなら、バターを必要とする事業者の方たちは、何とか耐えていただきたいと願っている。
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羅臼港

春誓い羅臼港