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そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

食料の自給率の向上はどうするの?

2015-04-06 | 農業と食
日本の食料自給率(カロリーベース)では、先進国最低の39%である。61%はどこかの国(主にアメリカであるが)頼っていることになる。ここまで低くなれば、、もうそれでも良いのでないかとい論議や主張が公然と登場もする。
しかしその一方で、内閣府の2014年の世論調査では「将来の食料供給に不安を感じている」と回答した人たちが、83%にもいる。多くの国民は、食料の自給能力や海外への依存に対して、漠然とした不安を抱いているのでは二課と思われる。

そうした不安の根底にあるのが、農民年齢の高齢化である。農民の高齢化は、取りも直さず農政の怠慢である。その典型が、民主党政権が打ち出した、所得補償政策の段階的な撤廃である。
民主党政権は、自給率を45~50%にすると具体的な数字を打ち出していた。自民党政権に戻ると、所得を倍増するとか、6次化を図るとか、輸出を進めるという、いわば農産物の生産とは無関係の政策を打ち出した。それでも農家所得が上がるのなら良いが、現実にはコメ農家は所得半減以下である。このことは先日も書いた
その一方で、TPP参入に前のめりになり情報すら出してこない。それでいて、地域創生などと全く矛盾する政策を打ち出してくる。
アベノミクスにちょいと乗せられている農業政策であるが、農業の大型化と流通への参入(6次産業化という)だけといって良い。大型化は、結局は周辺産業が潤うばかりであって、農業収入は増えるが経費に圧迫され、農家所得が増えるわけではない。ましてや農産物の生産量の増加など望めるべくもないのが現実である。
6次産業化と称して、生産農家(1次産業)が流通(2次産業)と販売(3次産業)を足して、6次産業というのであるが、結局は兼業農家と何ら変わらない現実になる。これまで自民党政権は、兼業農家の票は欲しいが、小農家としては切り捨てるいい加減な政策を行ってきた。
農業の多面的機能も論議しただけで、食糧安保はもう一つの安全保障などと持ち上げ手はみたものの、効率優先経や済効果を前面に出すアベノミクスと矛盾する内容である。こうした政策の揺れが、TPP参入への不安も重なって、若者が出ていく現実になっていると言えるのである。
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食料が高騰しているという、アベノミクスが作り出した嘘

2015-04-01 | 農業と食
4月に入って、いろんなものが値上がりしている。特に食料品、牛乳とかケチャップなどが値上がりした。その説明の前に必ず、何もわかっらない評論家が、『世界的な食糧高騰のあおりを受けて』と常套文句を頭に置いて説明する。
嘘である。
上のグラフは今月の、FAO(世界食料機構)が発表した、世界的な食糧の取引価格である。英文であるがよく見ると、一斉に食料価格が下がっていることが判る。
左の表は、2011年から毎年月毎の価格の動向を表にしたものである。昨年からうんと下がっていることが判る。表の左の数字は、1988年を100とした指数である。
右の表は、品目ごとのこの2年の動向である。どちらの表も見ればわかるが、昨年秋から急激に下がっている。昨年は、歴史的な穀物の豊作の年であったからである。
世界的食料は下落の一方なのである。
日本の食料が高くなっているのは、円安が原因である。アベノミクスと称する、安倍政権の経済政策が作り出した、金融政策の虚構から生まれた、円安による輸入品目の高騰の一環である。この2年で、1ドル80円が120円ほどの下がっている。
円がいくら下がったかの説明が恣意的にやられることが少なくない。80円に対して40円も下っているのであるから、自際は50%も円が下がったとみるべきである。食料自給率が極端に低い日本に起きた、特異的現象である。
食料の高騰は、アベノミクスの産物なのである。経済評論家、特に金融がお好きな方たちはこのことを全く触れることがない。
食料高騰と諸物価の値上がりの原因は、インフレにしたい安倍政権の虚構政策の産物なのである。再来年はこれに、消費増税が加わる。庶民は耐えるしか能がないのか? もうそろそろ、安倍政権を引き摺り下ろすべき時期に差し掛かっていると言える。

<附則:一昨日の麻生太郎の発言の信ぴょう性が取れないので削除しました>
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円安が生む輸出増の亡霊

2015-01-05 | 農業と食

安倍政権は農産物の輸出額を、2020年までに1兆円にすると豪語している。それが、実態を踏まえることにない絵空事であるのが、上のグラフである。
確かに平成24年度に比較して25年度は22%増になっている。26年度も同様に20%程度の増加になっている。この分で伸びれば、確かに2020年ころには約倍の、1兆円にになることも考えられる。
然しこのグラフは、農産物の実量ではない。金額である。アベノミクスの第一の矢で、円安が進行している。この輸出増は単に円安が進行したからに過ぎない数字であることが、冷静に見ると解る。政府の奨励で確かに増える輸出品目もあることも考えられるが、長期的に見れば実体経済を置き去りにした金融緩和策の作り出した亡霊でしかない。
農村では高齢化と人口流出が深刻である。都会周辺の農家が、自ら販売まで手掛ける6次化を報道はするが、農産物の生産が伸びているわけではない。米作り農家は暴落したコメ価格に例年の半額の所得になっている。民主党が作った所得補償政策も半額になり2年で消滅する。
農業の規模を起きくすることだけを奨励して、農業に対する実質的な支援がないままで、輸出額(量ではない)の増加を喜んでいられない。

同類のことは株価の上昇にもみられる。平均株価は今や、18,000円台にならんとしている。円安で海外投資家が日本の株を買い支えている結果とは、誰もが知っていながら口にしない。株価の上昇は一時のバブルに終わるのではないか。
安倍首相は、海外からの観光客は30%も伸びて、1300万人超え過去最高となったと鼻高々である。円安で治安のよい日本を観光客が選択したのだと思える。
円安効果によって、トヨタは過去最大の収益を上げている。政府は経済政策の都合の良いところだけを引き出しているだけである。既にアベノミクスは破たんしているといって良い。
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酪農のこと少し知ってください

2014-12-31 | 農業と食

上記のグラフをご覧になってください。こんなはっきりとして見やすいグラフはない。
一枚目は、農家戸数と乳牛の頭数である。50年前には40万戸近くあった酪農家は、今や2万戸そこそこにまでになっている。約二十分の一にまで減少している。ところが乳牛頭数は120万頭からいったん上昇し220万頭にまでなったが、10年前から減少に転じて140万頭ほどになている。
二枚目のグラフは、この12年の北海道と府県の出荷乳量の比較である。北海道はやや増加しているが、府県の出荷乳量はほとんど一気に減少している。
三枚目のグラフは、この50年ほどの生乳生産量と乳牛頭数の変遷である。生乳量は平成の始まる頃まで順調に伸びていたが、この20年ほどは減少傾向にある。特徴は乳牛頭数である。この20年ほど減少傾向にあるが、乳量はそれほどでもないことが見て取れる。
この表の交差点、平成元年頃から乳牛の泌乳量が増加しているのである。大型化に伴って、穀物の投与量が増えているのである。私たち獣医師の仕事が忙しくなるのである。乳牛は生産病ともいえる、乳房炎や消化器病が急速に増えてきたのである。それまで、多分平均で5産ほど分娩して7、8歳までの寿命が今や2.5産ほどまで減少して、5歳ほどまでしか使われなくなった。更には穀物給与量が増加して、乳牛は過酷な生産強要をされようになっている。

最近バターがなくなったとか騒がれているが、牛は分娩してから搾乳するまで2年以上かかるし、簡単に乳量を調整はできない。工業製品ではないのである。規模拡大で生産量を補ってきたこの20年であるが、それも限界になっていることがこれらのグラフから判る。
残り少なくなったあく農家は、いろんな意味で優秀な酪農化ばかりである。それも高齢化や少子化の影響を受けて、戸数は減少する傾向になっている。
更にもう一つ特徴的なことは、政府や関係機関の奨励で規模拡大した酪農家が、ここにきて経営に不安が生じている。特に400頭以上の農家が厳しい。逆に伝統的な酪農家、本ブログで何度か紹介しているマイペース型酪農の40~70頭ほどの酪農家が安定した経営を見せているのである。然しその酪農家は生産量が低く、乳業会社の期待には沿えない。酪農関係の根幹を支えるまでにはなってはいない。
大きな酪農家は懸命に質的にも量的にも高い過重労働と、負債の埋め合わせに毎日追われている。周辺機関の支援にもかかわらず、後継者が育っていないことが多い。こうしたのかでは獣医さんは大忙しである。
酪農業は冷涼な地域や草しか採れない痩せた土地でこれまで育ってきてはいたが、それらの地域は今や典型的な過疎地、限界集落のなっている処が多い。限界酪農家が懸命に守っているが、生産量が一気に落ち込むことも近い将来あるだろうと思われる。
乳製品をまっとうな対価で購入願わなければならない時代が、近づいている。消費者の皆さんにご理解願いたいと思うものである。
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何も知らない酪農専門誌記者の取材が農業基盤を崩す

2014-05-31 | 農業と食

農家で取材中の酪農雑誌の記者と出くわした。その農家は、自家産のチーズを生産しているのであるが、その取材であった。チーズの作り方や売り先の取材らしい。
酪農家としての経営のスタンスや牛のことなど、我関せずの取材である。奥さんが、家族経営の中で取り組んでいることや、牛の健康状態や飼養管理など、記者は全く興味がない。ちょっと変わったことをやっている酪農家、と言った感じの取材のようである。
一般紙ならそれでもいいが、酪農専門誌の取材である。酪農に限らず農家のことや食糧一般へ興味もなければ造詣・知識が全くない。駆け出しかと思いきや、2年もやっているとのことである。これでは一般雑誌と同レベルの、興味本位のものでしかない。
横で聞いていて、あまりにもひどい取材なので、「あなた、今年はFAOが決めた国際家族農業年だということ言っていますか?」と切り出してみた。何も知らない。
せっかくだから、家族農業は世界の食料生産を安定にし、飢餓を救い環境を守り、地域紛争を抑える働きがある・・・程度のことを言っておいた。

日本中の高校の農業科が定員不足である。ご多分に漏れず、当町も同様である。定員割れというばかりではなく、普通科に入る学力のない子供たちが集まってきているのである。
農家の若い子たちは、TPPなど大人のやり取りや世情を敏感に受け取って、農業から距離を置くようになっている。
専門誌の取材ですら、上記のレベルである。農業の重要性を説こうといないのである。食料の必要性など関係ないのである。
農業は人の命と健康を守る仕事であること、農業は自然環境を利用し守る仕事であること、先人が築き上げた知識と風土によって生産される、人類が生存するために欠かせない仕事であることを説くことがない、こうして低レベルの専門誌は、農業衰退の一端を担っているのであろう。強くそれを感じ残念でならなかった。

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イギリスで乳価上げろと酪農家のデモ

2012-07-19 | 農業と食

イギリスの3社の、大手乳業が社が酪農家に払う牛乳代金(乳Dairy_farmers_demonstrate_in_uk価)を、1リットル当たり2ペンス下げる方針を打ち出した。

酪農家は一斉に反発し、街頭デモを行って市民に訴えた。同様に、ベルギー、イタリア、アイルランドも乳価を下げている。これらの国の酪農家は、EU議会に提訴した。

背景には、一向に伸びない乳製品の消費量がある。乳業会社はこれを理由にしている。酪農家は、乳価が下げられ穀物価格Dairy_farmers_demonstrate_in_uk02が高騰して、生産費がかかりダブルパンチである。

欧州乳業組合のシェバー会長は生産の抑制方針Dairy_farmers_demonstrate_in_uk_01を打ち出し、新たに乳製品の受給調整機関の設置を提案している。

世界各国の乳製品の消費量が伸び悩んでいる。日本は酪農家が、給食に全面協力して、長じても乳製品を購入するようになっているためか、落ち込みは比較的少ない。

Milk_cnsum_per_year畜産製品がぜいたく品として扱われる時代が、食糧問題とともに訪れようとしている。なぜなら、穀物の消費をいつまでも家畜にさせるのは、モラルからも問われる問題になりかねないからである。

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なぜ世界の半分が飢えるのか

2011-01-03 | 農業と食

『世界の半分がなぜ飢えるのか」(食料危機の構造)朝日新書を読んでから、もうすでに30年経つだろうか。著者のスーザン・ジョージ女史は、世界各地を飛び回って、食料問題を提起していた。私の食糧問題に対する原点ともいえる本である。調べてみると1976年刊とある。女史の提言から世界の食糧事情は全く変わっていない。むしろ悪化している。

地球の人口は当時より10億人増えた。だから飢餓人口が増えるのも当然という、直感的な一面では問題を理解できない。食糧そのものは、この間着実に伸びているからである。女史の訴えは、富の偏在にある。北(先進国)が、南(後進国)の食糧と資源を収奪するからである。その世界的なシステムを作ったのが、北であるから当然である。

北が作ったシステムとは、世界銀行をはじめとした自らが富を得るシステムであり、食料の市場をグローバル化する市場原理である。女史の提言から変わって来たのは、環境の悪化と南の国々が富を蓄え始めたことである。富は国家間から国家内に偏在し始めた。

インドは2億人の飢餓人口を持ちながらも20億ドルもの、小麦や米を輸出している。飢餓の象徴的な国のバングラディッシュさえ、食料は不足してはいないのである。ブラジルも同様である。世界最大の穀物生産国のアメリカでも、常時3000万人が飢えているのである。

日本など先進国の食糧援助で救われるのは、国内の供給する側にある人たちである。援助物資は飢える人まで回っていないのが現状である。海外援助よりも南の国に押し付けた、債務を帳消しにする方がよっぽど現実的である。が、債務を押し付けることで援助がなりたつ以上、それはかなわないことだとスーザン女史の指摘は健在である。

国家間の賃金に格差がある限り、富を求める資本は彼らを利用し詐取する。自由経済がこれを促進させる。先進国の農民の賃金は、途上国の農民の賃金と競争させられるのである。TPPは食糧問題に最悪の結論をもたらすことになる。

食糧は援助ではなく、彼らが自賄いすることでしか未来がない。仮に援助が一時上手く行っても、生産構造やそれに伴う流通などが整備されない限り、食料問題は解決しないのである。

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乳価4円値下げ

2010-06-12 | 農業と食

酪農家の手取り乳価が4円安くなる。北海道の酪農家が貰う乳代価格は、極めて複雑な計算式で成り立っている。脂肪などの乳成分と何処に販売したか、何に加工されたかによって産出されるが、何度か説明を受けたがその時理解したものの、時が経つと細部が解らなくなってしまう。

歴史的な経過からこのようになったのはいたしかたない。しかしながら、これはホクレンの一元集荷による問題の象徴でもある。2年半前には、日本の店頭からバターが消えたことは記憶に新しい。その後、1年もしない間にバターが余り、酪農家や農協職員が強制的に購入される事態になった。今はだぶつき気味である。余れば内部処理し、足らなければ市場が困窮するのは、商売が下手というだけでは済まされない。

乳価を一昨年3円近く上げた。20年来の市販の飲用乳価格はアップし、酪農家は一息ついた。ホクレンは輸入飼料の高騰をその理由にした。金融危機ではじかれたオイルマネーによる投機で、穀物価格が高騰したのが背景にあった。

しかし、飲用乳価格を上げた頃には、穀物価格は落ち着き始めていたのである。又、世界的なリーマンショック以降の不況があり、牛乳の売れ行きが落ち込んでいた。一方でデフレが進行していた。そこに、価格を上げた牛乳の売れ行きが落ち込むのは当然のことである。

世界情勢の見誤りが、牛乳の売れ行きを鈍らせた。その一方で一昨年と昨年は酪農家はオンの字であった。穀物価格が下がり乳価が上がったからである。農業団体はいつも大変だと言い続けているが、この2年は笑顔が絶えなかった。そんなことは外部には漏らすことができないのである。

そうした意味では、今回の乳価の値下げは当然ではあるが、世情の動きを分析できずに生産調整すらできない、ホクレンであれば存在意味がない。売れないようだと価格に反映させるのではなく、生産量を調整するなり販売量が増える努力をするべきなのである。経済情勢から、何度も遅れて打ち出される対策には、長期的な戦略が見えない。

今回の乳価引き下げで、このところ落ち着いていた、離農がより一層進むであろう。とりわけ外部資本に依存する部分が大きな経営形態では、ダメージが大きいい。生産者は、乳価の引き下げを経営の中で調整できるが、周辺産業は落ちた乳価の分だけ、地域に落ちる金が少なくなる。外部資本に依存した経済体系は、地域と農業を歪にさせる。

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なぜ農業で食べられないか

2009-11-02 | 農業と食

一昨日NHK教育テレビの、土曜フォーラムは「なぜ農業で食べられないのか」というものであった。お米の農業者の平均収入は、120万円程度である。日本の主食を支える農業がこのざまでは、自給率が下がり後継者が育たないのは当然である。

価格競争の世界へと、お米を追い出したのは、減反政策によって生産量を減らし価格維持を試みてきた、農業政策に最大の問題がある。バリアーのない野菜はもっと悲惨である。中国などのアジアから、大手を振って国内に入ってくる。

たまたま、上手く商品化に成功した野菜を、マスコミは報道する。確かにブランド化や流通に成功した例も少なからずある。しかしそれも、ひと時のものでしかない。やがて、労働力の安い東南アジアや中国に追いつかれてしまう。

農産物を、価格競争に晒したのは、1961年の農業基本法以来、大型化すなわちコストダウンへと突っ走った結果である。農産物=食料は、人が生きていくために欠くことができないものである。工業製品のような大量生産はできないし、倍も消費できないし半分にすることもできない。

日本の農業政策は、商工業製品の大量生産と輸出の代償として位置づけられてきた。生産の現場に人を提供し、工業製品の輸出の代替に輸入される農産物の犠牲になったのであPhotoる。

一般の消費者が、農業や田舎から離れることによって食べ物への関心、生産過程の重要性と生産基盤のもたらす環境保全など全く知らないままで来たことも、重要なことである。都会の消費者の多くは、日本の農業者は多くの補助を受け取っていると誤解している。

上の表は、この番組で鈴木宣弘東大教授が提示したものである。日本の農業政策は、基盤整備や周辺整備事業と言われるものが多く、農家に直接支払われるものは極めて少ないことが解る。民主党がどのような所得補償をやるのかは、いまだ明らかにされていなImg_1250 い。農業についてほとんど取り組んでこなかった、赤松大臣の手腕に期待したい。

食料を生産する農家が、食べられないのは異常である。コンビのおにぎりを思い浮かべてもらいたい。100円程度から250円くらいまでの幅がある。コメは20円にも満たない。価格差は食材の違いであって、コメの違いではない。農業者の受け取りは、年々少なくなっている。流通や商品化の過程に、消費者は対価を求めているのである。見た目がそれほど大切だろうか。食料が安いことが、何を意味するのか考えて頂きたい。

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飢餓人口10億人を突破

2009-10-17 | 農業と食

10月16日は「世界食料デー」である。FAOの発表によると、昨年より1億人増えて、世界の飢餓人口が10億人を超えたそうである。その一方で食料、とりわけ穀物の生産は活発である。世界の穀物生産は、22億トンにもなった。経済危機が1年前に穀物価格を倍以上に高騰させた。景気は後退したが、穀物価格は高止まりしたままであるのが、原因であるととFAOの分析である。

穀物価格の高騰は石油などと同様に、投機の対象になったからである。石油が産業に直接かかわるために、ほとんど元に戻ったのに比べ、穀物はいまだに投機の対象である。食料が不要55 になるわけではない。価格が下がったとはいえ、4年前の3割上の価格である。日本が実感しないのは、この間に円が3割も高くなったからである。

投機の対象にならなくても、穀物は先進国の畜産が買い求めるのである。飢餓人口が10億人を超える現実があっても、先進国の家畜は生産強要のために大量の穀物を与えられている。先進国の家畜は、肥満状態にあるのも現実である。

22億トンの穀物が、63億人に均等に配分されるなら年間36キロ少々になる。つまり1日100グラムの穀物が当たることになるのである。これならだれも飢餓に落ちることはない。穀物が足らないのではない。均等に配分されないだけである。

先進国に供給されている穀物を、途上国に配分することも非現実的である。恒常的に出来ることではない。一時的な補助や救援物資は、人道的であり必要なことではある。最も大切なことは途上国も、食料は自給するべきなのである。

それを拒んでいるのが貧困である。貧困の原因は、無数にあると思われるが、大きな要因は穀物に見られるように、先進国が資源や労働力を収奪することである。国際流通商品の価格を高くしてしまうのである。そしてその一方で、途上国の労働価格を抑えるのである。

今回の最もショックな、FAOの発表があった。世界で最も多い死因は「飢餓」とのことである。飢餓で、毎日2万5000人以上の人が亡くなっているとこのことである。

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食肉偽装事件の顛末

2009-09-06 | 農業と食

ミートホープによる、食肉偽装事件を覚えていますか。苫小牧の食肉業者が、牛肉100%のコロッケと表示したもの中に、豚の脳みそやニワトリの肉を混ぜていたのが内部告発で発覚したPhoto事件であった。2007年6月のことです。もう2年以上前になる。

ミートホープ社はその2年ほど前に、肉をまんべんなく混ぜる機械で農水省から表彰されてる。挽き肉の技術が優れていた。田中社長は、一審判決を上告せずに結審している。忘れやすい日本人は、田中社長の思惑通りもうすっかり忘れてしまったように見える。

被害者が一人もいない田中社長はこの事件で、食肉の偽装で摘発されたのではない。「不正競争防止違反」という罪名である。日本の法律はよく解らない。庶民の感覚ではない罪名である。主婦がたくさん見るワイドショウは大騒ぎしたが、今はその面影は何処にもない。

しかし、確実に酪農家にはこの事件は恩典をもたらした。搾乳できなくなった乳牛は牛舎から出てゆく。病気や治療中でなければ、屠場に行き消費者の口に入る。足などが悪かったり老齢牛は痩せてしまって、以前は食肉にはほとんど不向きとされた。ミートホープ事件以前は、こうしたやっと立っていられる牛などは、ドッグフード用になるなどして、ほとんど金にならなかった。

ミートホープ以後、こうした筋だらけの牛の肉が必要になったそうである。具体的な食品例は解らないが、先のコロッケで言うならば、上物の牛肉だけだと歯ごたえがないのである。そこで、老廃牛の肉を混ぜると、消費者に喜ばれるといった具合である。これなら、偽装食品にはならない。なにしろ100%牛肉のコロッケである。

お陰様で、酪農家はほとんど金にならなかった老廃牛を、10万程度で販売できるようになった。偽装された、牛肉100%のコロッケの方が、多分美味いと個人的に思うが法律は許さない。消費者も望まないだろう。お陰で酪農家にはおこぼれが来るようになった。現実の話である。

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食料自給はカロリーベースで

2009-08-16 | 農業と食

今日サンデープロジェクトで、食糧自給率をカロリーベースで考えるのはおかしい。金額ベースで算出するべきとする番組があった。こうした考え方は、農業の本質食料の在り方、世界的な食料問題を歪曲するものである。カロリーベースだけで考えるのが正しいとは主張しないが、最も食の問題を反映する方法には違いない。

世界の飢餓人口はほぼ10億と言われている。しかし食料は不足しているわけではない。20億トンの穀物が生産されているが、これを60億の人間に均等に配分すると、ほぼ1日100グラムになる。十分である。この穀物を購入できない人たちは、貧困の中にある。貧困には理由があるが、それは政治的な問題が大きくこのことばかりを問うわけにもいかない。

その一方で、先進国の家畜は大量の穀物を給与されている。家畜たちは、過肥にあえぎながら肉や卵や乳を生産している。飢餓にある人間と、飽食させられる家畜たち。これはひとえに穀物を購入する経済力の差にあるといえる。が、問題はそれだけではない。

安価な穀物を給与するのは、高価な畜産製品を生産するためである。先進国で消費する穀物のほぼ半分は家畜が食べている。こうした畜産の形態が世界の穀物市場を席巻し価格を吊り上げていると言える。言い方を変えると、貧国の食料を富める国がもっと美味いものを食べるために取り上げていると言える。

輸入する穀物は安価である。安価な穀物を与えて、消費者には高価な畜産物を供給するのが、上述の先進国の畜産である。こうした構造的な形態があるため価格ベースで自給率を考えると、当然高い数値となる。更に、この畜産体型は、肉では概ね20分の1にカロリーを落としてしまうことになる。これでは、食の正常なあり方を問わないことになってしまう。背景には勝ちたちの悲惨な姿がある。

更に、穀物価格は常時変動する。昨年の秋の穀物価格、もっとも世界の穀物価格の動向を反映している言われるシカゴでみると、2年半前のほぼ5倍の価格差がある。こんな変動するするものが、食の指標になるわけがない。価格に変動があっても、食べ物の質が変わるものではないからである。

家畜は、本来人が消化できないものを給与して、人が消化できるものに変えてもらうためのものである。先進国には、消費せずに廃棄する食料が10%ほどもある。そうしたものを利用するのが、家畜の本態である。それでは、効率的な生産(大規模、高生産)にならないために、安価な穀物に依存することになる。

食料自給率を、価格ベースで見ることは極めて危険である。自給率向上は、経済的な問題ではなく“食”の問題だからである。

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農業・食糧問題を考えるその1

2009-05-11 | 農業と食

日本の農業問題は、戦後様々な局面を迎えるごとに変質してきて、今日に至っている。きわめて複雑な状況になっている。そこで、本ブログをご覧いただいている方に、何度かに分けて、日本の農業問題の深刻さをお伝えしたいと思います。当分は問題の列挙になることをお許し願いたい。

私はてっきり軍事お宅と思っていた石波茂氏が農水大臣になって、極めてシリアスな農業問題を提起するようになり、この男を見直す現在である。鳥取県の出身で、当選当初から農業問題に取り組んできた実績と、くそまじめな性格から真っ向から減反政策を取り上げている。

「農政改革関係閣僚会合」を立ち上げ、メンバーは農水省、財務省、経産省、総務省、官房長官で構成している。減反政策だけで論議すると、短期的視点と狭義の農業だけの中の論議に終始する。広く長い目で食料の在り方を論議していただきたいものである。

その減反政策、コメの生産調整のことであるが、本来は価格調整のためのものであり、農家に一時的な非生産をお願いするものであった。それが、際限なく継続される中で農家から生産意欲を奪う結果になった。これが減反政策の最も大きな問題である。

生産しなければ金を出す政策は、一時的には存在することがあってもやむを得ないかもしれないが、30年も続き、転作もままならず耕作放棄地が、農地の10%を超えて38万ヘクタールにもなる、異常な現実がこの国の農村と農家を蝕んでいる。

その一方で、新たな農地の開墾も進めている。諫早湾の干拓がいい例である。片方で放棄させておきながら、片方で土建屋を潤すような農地の造成を行っているのである。しかもその多くは、環境破壊につながっているのである。

250万戸の農家のうち、70%は減反に応じている。残りの30%は意欲的に生産し続けている。国策に応じて減反している農家のおかげで、一定の価格が維持されている。その最も恩恵を受けているのが、実は減反に応じていない残りの30%の農家である。

生産調整に応じない農家は、ほとんど例外なく大型農家である。生産意欲も高く、販路も自ら開拓する。何よりも若い農家が多い。彼らは奔放な発言を報道番組委で繰り返す。新自由主義者たちの支援も厚く、最も恩恵を受けている彼らに、発言資格がるのだろうか。

生産調整は転作を奨励数政策でもあったのであるが、現実には転作せずに放棄する農家が多くなっている。農地が宅地評価になるチャンスを待っているのである。あるいは、高齢化の進行する中で担い手がいなくなっているのである。

一貫性のないちぐはぐな農業政策が、アメリカ依存へとシフトしてゆくのである。畜産への食体系の転換と、コメ消費の極端な落ち込みは、アメリカ穀物の侵入によるものである。

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企業のリストラに学ぶ

2009-02-26 | 農業と食

トヨタが発表してから、多くの企業が惜しげもなく赤字決算見込みを発表している。リストラばかりでなく生産量も大幅に減らす。車は前年同期の46%に落ち込んでいる。

農業はそんなことはできない。食料はなくすことは勿論のこと、半分に減らすことすらできない。また倍にすることもできない。食料は必要不可欠なものであり、人の命を支えるものである。

農産物は、車などの工業製品のように簡単に量産できるものではない。通常の作物で基盤があっても、1年かかる。休耕田でも3年はかかる。酪農は増産に、施設があって技術力などが揃っていて最短で3年かかる。

WTOなどでは、テーブルに出してこない、さまざまな農業保護を世界各国がやっている。先日、鈴木宣弘東大教授の講演を聞いた。教授によると、アメリカの酪農は「牛乳は国家の基本食料、酪農は公益事業である」ととらえている。乳価の下限は設定されているし、余剰乳は国で買い取るシステムが出来上がっているとのことである。欧米の乳製品は98%自給している。飲用乳はほとんどが、低温殺菌牛乳である。

日本では、農協ひいては生産者が価格交渉をやって、余剰乳が出ると生産調整を農家が請け負うことになる。酪農家はいっぱいバターを買うことになる。往診に行くとただでくれる。不足すると、懸命に穀物量を増やして牛の病気を多発させながら増乳する。

国家的な取り組みは各国でいくつも抱えていて、日本のように馬鹿正直にWTOのテーブルになんでもかんでも上げてこないと、鈴木教授は言うのである。事実、こうした騙し合いの結果昨年夏のWTOが分裂した。

インドがアメリカの国内保護政策を告発したのである。インドは自国の農民と食料を守るためには、平気で会議をぶち壊すのである。私は長年日本のこうした交渉を見てきたが、日本の農民を守るために、体を張って交渉した大臣も官僚も見たことも聞いたこともない。

食料に対する基本姿勢がこの国にはない。工業製品の売り込みで経済発展を遂げてきた日本は、農民をリストラし続けてきた結果である。食料生産(農業)と車生産(工業)とは全く異なるものである。40年かけてきた農民のリストラを復活させるには、その倍かかるであろう。WTOが経済効率ばかりで交渉される。いい加減に見直す時期ではないだろうか

フォトアルバムに「庭に来た鳥たち」をアップしました。

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地方の方がよっぽどしっかりしている

2008-12-17 | 農業と食

解雇された、非正規雇用された人たちを短期間であるが、地方自治体では何とか雇用しようと動いている。隣の町では、3か月に限って町有林の間伐などの仕事を与えている。大分県でも同様の動きをやろうとしている。

国が景気浮揚策として打ち出した、定額給付金の在り方が問題であり、福祉の充実などや解雇され死後のなくした人たちの救済に向けるべきだと、京都市議会が決議した。

要するに、国の対策は生ぬるく緩慢であって、具体性がないのである。何より、総理が就任早々に「スピード」と言ったことが、なにもなされていない。

解散するつもりであった、就任当時の麻生総理の思惑は見事にかき消されてしまった。雑誌に、就任早々総選挙に打って出るとつもりと書いた文章が、ゴーストライターによるものであった55 にせよ、全く動きが取れなくなっている。

政局よりも政策と言い放ったものの、どちらも取り組めずに右往左往するばかりである。その間にも、世界の経済情勢は急である。予測を上回る速度で、世界は変化している。

この国の政治はそれらのほとんどに対応できずに、自らの政治的終焉の演出に躍起になっている。与野党どちらも大差ない。

非正規雇用者が行くところがないと大騒ぎしているが、そんなことはない。日本の政治が捨てた田舎は、ガラ空きである。仕事ならいくらでもある。食糧生産はこれから成長産業である。田舎にきて農業をやらすような、大転換発想を持つ政治家や政党はないのであろうか?

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羅臼港

春誓い羅臼港