CNNの報道によると、アメリカで流通している食肉には極めて高い確率で、抗生物質耐性菌が含まれていると、アメリカ食品医薬品局(FDA)が発表した。家畜に対する抗生物質の使用によるものである。
FDAの全米薬剤耐性監視システム(NARMS)の年次報告書によれば、豚の骨つきロースの69%、牛ひき肉の55%、鶏肉の39%、七面鳥のひき肉の81%から、抗生物質耐性菌が検出されたとのことである。
その他、サルモネラ菌とカンピロバクター菌も相当量検出されている。これらの細菌は、年間数百万人を食中毒を起こさせる原因であるとしている。これらは、製品過程の不衛生を証明している。
世界保健機構(WHO)はこのままでは耐性菌が増え過ぎて、人の治療に障害が生じて、”ポスト抗生物質”の時代が来ると警鐘を鳴らしている。
こうした事態は、日本では考えられないことである。私たち酪農関係でも、農家がうっかり出荷して、牛乳から抗生物質の反応がある場合がある。厳密な検査をやっているため、そうした場合でも発見されると言える。この場合は、数戸分の出荷乳が、全量廃棄処分になる。農家負担になるため、保険もかけている。
肉や卵も同じである。極めて厳格な検査と対応を日本は行っている。アメリカでは、と畜場は民営であり、検査官当りの処理頭数が日本の数倍から数百倍の量になっている。こうした杜撰な食肉処理は、「コスト面で消費者に反映されている」と、BS
Eの時にアメリカの関係者が、平然と発言している。
抗生物質の使用に関しても、ほとんどが診療に使われている日本に対して、アメリカの場合は予防のためと成長促進や衛生管理にも使われている。家畜当たりの使用料は、数年前で日本の10倍以上であった。
アメリカでは、抗生物質は人間が3500トンに対して、家畜には3倍量の1万3千トン使用されている。
その他アメリカの肉牛と豚は、日本やEUでは使用禁止となっているホルモン処理もなされている。乳牛でも、泌乳促進のために成長ホルモンが投与されている。要するに、生産効率を上げるために何でもやっているのである。
TPP参入とは、こうしたアメリカのシステムを日本に持ち込むことでもある。あるいは日本の規制がアメリカ企業の進出を阻害して、損害を被ったと訴えるられることにもなるのである。(ISD条項) それでもTPPを受け入れ、アメリカに従属するのだろうか? この国は。