カレル・チャペック作 千野栄一訳(岩波文庫)
《あらすじ》
ロボットという言葉はこの戯
曲で生まれて世界中に広まっ
た。舞台は人造人間の製造販
売を一手にまかなっている工
場。人間の労働を肩代わりし
ていたロボットたちが団結し
て反乱を起こし、人類抹殺を
開始する。機械文明の発達が
はたして人間に幸福をもたら
すか否かを問うたチャペック
(1890-1938)の予言的作品。
《この一文》
”アルクビスト: --(中略)--町や工場、われわれの芸術、われわれの思想は生命には何の役にも立たない。それなのに生命は亡びないのだ。ただわれわれだけが亡んだのだ。家々や機械はくずれ落ち、世界の体制は壊れ、偉大な人々の名は木の葉のように落ちていく。ただお前、愛よ、お前だけが廃墟で花を咲かせ、生命の小さな種を風に任せるのだ。主よ、今は汝の下僕に安らぎをお与え下さい。私の目は見たのです--見たのです--愛による主の救いを。生命は死に絶えることはありません!(立ち上がる)不滅です!(両手を前にさしのべる)不滅です! ”
チェコを代表する作家、カレル・チャペックの作品です。
最近はお兄さんで絵描きのヨゼフ・チャペックも人気があるようです。
戯曲はどういうわけか敬遠してしまう私ですが、この作品は楽しめました。
それほど長くはない物語の中に様々な問題を提起しながら面白くかつ感動的に話を展開させていくチャペックという人の才能には目が眩みます。
同じ人の『山椒魚戦争』『絶対子工場』もまた深く考えさせられる作品です。