アーシュラ・k・ル=グウィン作 清水真砂子訳(岩波書店)
《あらすじ》
ゲドは,自分に不思議な力が具っているのを感じ,真の魔法を学ぼうと,魔法の学校に入る.進歩は早かった.得意になった彼は,禁じられた呪文を唱えた.それに応えたのは死の国の影だった.やがてこの影を追い,影に追われ,彼は世界中をさまよい,苦心の末ついにその正体をつきとめるまでのゲドの生涯を描く一大叙事詩
《この一文》
” 目が覚めても、ゲドはまだもとのゲドにもどれず、口もきけなかった。オジオンは黙って、彼に肉と水を与え、火のそばにすわらせた。背をまるめてうずくまったゲドの後姿は、疲れて、不機嫌になっている大きなハヤブサを思わせた。夜が来ると、彼は眠った。三日目の朝、オジオンが炉端にすわって、火を見つめていると、ゲドがやって来て言った。
「オジオンさま・・・」
「やあ、来たか。」オジオンは言った。
「はい、出ていった時と同じ、愚か者のままで。」若者は言った。--- ”
対象年齢は小学6年、中学以上となっていますが、私が読んだのは21歳の時でした。
大人でも十分に楽しめる作品です。
ファンタジーですが、テーマは重く、様々なことに関して考えさせられます。
私が特に興味を持ったのは、この物語世界の重要な設定のひとつである「物は全て名前を持つ」ということでしょうか。
まあ、いろいろと深く考えても考えなくても、物語としてとても面白い作品であることは間違いありません。
もう2度程読みましたが、この先また何度か読み返すだろう1冊です。