半透明記録

もやもや日記

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『ホフマン短篇集』

2004年12月11日 | 読書日記ードイツ
E.T.A.ホフマン作 池内紀編訳(岩波文庫)


《あらすじ》

平穏な日常の秩序をふみはずして、我知らず
夢想の世界へふみこんでゆく主人公たち。幻
想作家ホフマン(1776-1822)は、現実と非現
実をめまぐるしく交錯させながら、人間精神
の暗部を映しだす不気味な鏡を読者につきつ
ける。名篇「砂男」はじめ六篇を収録。


《この一文》

” みると足元に二つの目玉が血まみれになってころがっており、じっとナタナエルをみつめている。スパランツァーニ教授は傷ついていない方の手でそいつをつかみ、はっしとばかりにナタナエルに投げつけると、目玉はみごと彼の胸に命中した--この一瞬、狂気が炎のように燃えたってナタナエルの一切を焼きつくした。
  「ヒェー! 火の環だ、火の環がまわる--まわれ、まわれ、どんどんまわれ! --人形もまわれ、すてきな美人の人形もまわれ」
      ---「砂男」より   ”



「砂男」は恐ろしくて夜眠れなくなりました。
暗いところで一人で読むのは良くないでしょう。
「クレスペル顧問官」はちょっと感動的なお話です。
全体的に物悲しい話が多いような気がします。
それが魅力でしょうか。
怖くてもつい一生懸命読んでしまうのでした。