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もやもや日記

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『夜間飛行』

2004年12月12日 | 読書日記ーフランス
サン=テグジュペリ作 堀口大學訳(新潮文庫)


《あらすじ》

第二次大戦末期、ナチス戦闘機に撃
墜され、地中海上空に散った天才サ
ン=テグジュペリ。彼の代表作であ
る『夜間飛行』は、郵便飛行機がま
だ危険視されていた草創期に、事業
の死活を賭けた夜間飛行に従事する
人々の、人間の尊厳を確証する高邁
な勇気にみちた行動を描く。実録的
価値と文学性を合わせもつ名作とし
てジッドの推賞する作品である。他
に処女作『南方郵便機』を併録。


《この一文》

”---彼は今、遠洋諸島のうわさを聞いて、そこへ自分たちの希望を載せて出かけようと、船を建造したという昔の小さな町々のことを思い出していた。たった一隻の船のおかげで、人々はいずれも自らに大を加え、自己を超越し、自由になったのだ。「目的は、ともすれば、何ものをも証明しないかもしれないが、行動が死滅から救ってくれるのだ。あの人々は彼らの船のゆえに後世までも生き残っているのだ」
  あそこに来ているあれらの電報に、その真の意義を、夜勤の荷役係らに仕事のうえの不安を、搭乗員たちにその悲劇的な目標を与えるとき、リヴィエールもはじめて人間の死滅に対して戦っていることになる。風が海の上の帆船を動かすように、生命がこの事業を動かすとき、はじめて、彼は人間の死滅に対して戦っていることになる。           
      ---『夜間飛行』より  ”


悩ましい問題です。
人は何のために生きるのか。
偉大な事業に対しては個人の生命は何程のものでもないのか。
確かに、理屈は分らなくもないのですが、
果たして偉大な事業とは本当に偉大なのか・・・。
考えれば考えるほど、難しくなっていきます。