半透明記録

もやもや日記

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『旅順入城式』 内田百間 (福武文庫)

2004年12月02日 | 読書日記ー日本
《あらすじ》

日露戦争時、難攻不落といわれた旅順要塞の
開城を映した映画を観つつ、映像と現実の境
界を自在に移動するような不思議な世界を描
く表代作、畏友芥川龍之介の自殺直前までの
交友をモデルに描く「山高帽子」など、第一
創作集『冥途』に続く29篇を収録した百間の
代表的作品集。

《この一文》

” 今年の秋、その庭に咲いた一輪の菊花が、その花はとっくに枯れて朽ちてしまっているのに、今でもなお私を苦しめ、どうかすると夢の中にまで咲いて出て、寝苦しい夜を悩ます。
  菊の夢は、美しい花だと思って眺めていると、その細長い花弁が一枚ずつ、人間の指の様に動きだして、向かい合っている花弁と花弁とがからみ合い、しまいには無茶苦茶に縺れてしまう。そうして、その中から一枚二枚と千切れてとれたのが、地面に落ちてもまだぴくぴくと動いている。どうかすると私の袂や懐にそんなのが這入っている。さわれば動く様で、気味がわるくて、摘まみ出すことも出来ない。目がさめた後、私は自分の手の指を見るのが恐ろしい様な気がした。前後のつながりに、いくらかの違いはあっても、そんな同じ様な夢を私は二度も三度も見ている。            
             ---「菊」より ”


内田百間(旧字が出ないのでこのままで失礼します)を抜きにしては私の読書生活は語れません。
『冥途』は史上最強の短編集であると言って憚りませんけれども、この『旅順入城式』収録「菊」の一節は私にはかなりの衝撃です。
「菊の夢は、美しい花だと思って眺めていると・・・」!!
この物語自体はとても恐ろしい話で、好きな話は他に沢山あるのですが、ここを読む度に叫びそうになるのでした。

新しい日記です

2004年12月02日 | 読書ー雑記
【旅の記録】を無事に仕上げることができたので、
新しい日記を始めることにしました。

ずばり【読書日記】です。
飽きっぽい私が続けられている奇跡的趣味の読書ですが、
いつも読みっぱなしなので、ここでちょっと振り返りたいと思います。
読書傾向に偏りがあるのは自覚しているのですが、そのなかで、
どういったところに感動しているのかを挙げていきたいと思います。
面白かった本には全て、印象的な一文があります。
それを取り上げることで、自分の好みの傾向をより深く知ることが
できるかもしれません。

それはさておき、このコーナーを御覧になった方が共感して下さる、
もしくは、まだ読んでないけど面白そうな本があるものだ、と思って下されば、
それで十分に有意義という気もするのです。