半透明記録

もやもや日記

『ロボット(R.U.R.)』

2004年12月22日 | 読書日記ー東欧
カレル・チャペック作 千野栄一訳(岩波文庫)


《あらすじ》

ロボットという言葉はこの戯
曲で生まれて世界中に広まっ
た。舞台は人造人間の製造販
売を一手にまかなっている工
場。人間の労働を肩代わりし
ていたロボットたちが団結し
て反乱を起こし、人類抹殺を
開始する。機械文明の発達が
はたして人間に幸福をもたら
すか否かを問うたチャペック
(1890-1938)の予言的作品。


《この一文》

”アルクビスト: --(中略)--町や工場、われわれの芸術、われわれの思想は生命には何の役にも立たない。それなのに生命は亡びないのだ。ただわれわれだけが亡んだのだ。家々や機械はくずれ落ち、世界の体制は壊れ、偉大な人々の名は木の葉のように落ちていく。ただお前、愛よ、お前だけが廃墟で花を咲かせ、生命の小さな種を風に任せるのだ。主よ、今は汝の下僕に安らぎをお与え下さい。私の目は見たのです--見たのです--愛による主の救いを。生命は死に絶えることはありません!(立ち上がる)不滅です!(両手を前にさしのべる)不滅です!    ”


チェコを代表する作家、カレル・チャペックの作品です。
最近はお兄さんで絵描きのヨゼフ・チャペックも人気があるようです。
戯曲はどういうわけか敬遠してしまう私ですが、この作品は楽しめました。
それほど長くはない物語の中に様々な問題を提起しながら面白くかつ感動的に話を展開させていくチャペックという人の才能には目が眩みます。
同じ人の『山椒魚戦争』『絶対子工場』もまた深く考えさせられる作品です。

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4 コメント

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私も戯曲は敬遠がち (くろにゃんこ)
2004-12-26 22:24:05
あちこちに、コメント入れたい!

と、思いましたが、とりあえずここで。



チャペック「ロボット」は、何度も図書館の棚から出しては、戻していた本です。

戯曲って、普通小説より想像力を屈指するので、ついつい敬遠がちになってしまうんですよね。

自分は人形劇のシナリオは書くくせに、人の書いたものを読むのは苦手なんです。

こちらの紹介文を読んで、安心して図書館から借りようと思います。
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おすすめです! (ntmym)
2004-12-26 23:23:01
私も戯曲は芝居がかっていて(当たり前ですが)苦手だったのですが、『ロボット』はかえってそれが感動的で良かったですよ。

それに短いので読みやすかったですね。

おすすめです!



それにしても、くろにゃんこ様はシナリオを書かれるのですね!

すごい!
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読みました! (くろにゃんこ)
2005-01-16 16:18:19
長年読み継がれているだけあって、とてもすばらしい本でした。

戯曲ということで、頭の中で場面を想像したり、人物を動かしたりしながら読んでいたのですが、段々どうでもよくりました。

舞台演出を考えながら読むのは楽しいことなんですが、話の展開にそんなことはぶっ飛んでしまったんです。

現代のSFにもまったく引けをとらないもので驚きました。

あの、短い戯曲の中にたくさんの要素が凝縮されていて、カレル・チャペックという作家は、本当に天才だったんですね。

『山椒魚戦争』『絶対子工場』も読んでみようと思います。
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山椒魚戦争 (ntmym)
2005-01-16 19:54:31
私は特に『山椒魚戦争』がお気に入りです。

これは『ロボット』にくらべるとかなり長い小説ですが、

内容の凝縮度は変わらず読みごたえがあります。

この時代の小説は面白いものが多いような気がするので、

チャペックに限らず、もっとはやってほしいですね。
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