啄木鳥の詩

里山の自然と山野草・高山植物、低山歩きと野鳥観察

「クロユリ」

2012-08-11 11:00:13 | 高山植物

南アルプスの荒川三山から赤石岳への縦走は、天候に恵まれ最高だった。殆ど花の咲いていない深い樹林帯の急な登り。標高差1600Mを登りきったところにクリンソウ、シナノキンバイが咲く小さなお花畑。ここが千枚小屋だった。ここから先、下りの赤石小屋までは高山植物が多く楽しめた。荒川岳(前岳への分岐)から荒川小屋に向かう急な下りにあるお花畑は圧巻。花の種類はそれほど多くないが、黒百合を見つけた時にはドキッとした。

「クロユリ」はユリ科バイモ属の多年草。高山植物。中部以北の高山帯の草地に生える。草丈は10-30センチ弱。葉は輪生しているように見えるが、図鑑によると互生しており2,3段に分かれているように見える。花は黒紫色(褐紫色)の神秘的な姿。花径は3センチほどで釣鐘型の花冠を下向きに咲かせ、先端が三裂している。

山の経験が少ない私は、自生している黒百合を見るのはこれが2回目。ドキッとするほど印象的な植物。伝説もあるようだ。戦国の武将「佐々(さっさ)成政」の愛妾“小百合”及び本人の自刃などに纏わる悲劇から“人を不仲にして、家を滅ぼすのろいの花”と言われること。アイヌの“鯉の花伝説のフタツは特に知られている。恋の花伝説は「クロユリを他の人に知られないように好きな人の近くに置き、送り主不明のまま好きな人が手にすれば必ず結ばれる」ということだそうだ。賑やかなお花畑の中で、妖艶で静寂なこの花は伝説を生むほどの魅力があるのだろう。



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