裏の肩(峠)を下って数分。赤紫色の花が咲いているのを見たとき“ヤッタ”と思った。この花の写真を撮りたくて鳴神山に来るのが3回目。最初の保護育成地で影も形も無かったので「今年も駄目か・・」と思っていただけに嬉しかった。この山の固有種“ナルカミスミレ”も撮ることができた。それにしても、標高は980Mに過ぎない山だが、山野草の豊富なところである。
「カッコウソウ」はサクラソウ科サクラソウ属の多年草。山地の林内に生える。葉や茎は白い薄毛に覆われ、草丈は10-20センチほど。円形の葉の縁は鋸歯状で表面には皺があるように見える。花は4ー5個から7-8個程着いたものも見える。花径は2-3センチ。2箇所あった保護育成地は両方とも、杉林と広葉樹林の境の辺り。やや薄暗い林の中で、濃い緑の葉と鮮やかな赤紫色の花が印象的。ここ4年間で3回この山に来て、ようやく会えたという思いもあり、なおさら感激する。
カッコウソウは愛らしい姿もあり、盗掘などにより個体数が激減。ネット上の書き込みに拠れば“足尾山系で800株ぐらいしか残っていない”のだという。このほど採集や売買を禁止する「国内希少野生動植物種」に指定された。5月1日より、採集や販売はできなくなっている。
鳴神山の登山道脇に2箇所ほど保護育成地があり、大切に守られている。可愛さゆえに盗掘され「数十株まで減少」。現在見られるのはクローン技術で栽培されたものを移植して育てているのだそうだ。足尾山系の山の中のどこかで自生している800株が復活し、所在地が公表されても心配ないように増えて欲しいものだ。
「鳴神山」(980メートル)は桐生市の中心街から北東部。群馬県の「鳴神自然保全地域」似指定されていると言うが、カッコウソウをはじめナルカミスミレなど固有種に近いもの。千メートル未満の高さだが、亜高山帯の植物(ヒメイワカガミやイワキンバイなど)も多い。山頂からは足尾、赤城山系の山並みからスカイツリーまでの大展望。春にはアカヤシオツツジからホツツジまで多様なツツジ。2日前はトウゴクミツバツツジが満開だった。花の山である。
※明日から帰省のためしばらく休みます。