「良い韓国人も、悪い韓国人も、どちらも殺せ」などというブラカード
を掲げてデモする日本国内のヘイトスピーチは、韓国、北朝鮮に強烈な
インパクトを与えたものと推測できる。この日本の一部の人々のヘイトス
ピーチに対する表面上の反発や韓国政府の抗議声明はまだ出されてい
ない。しかし、それだけに不気味である。
今回の南北会談の議題として取り上げられていたのは、開場(けそん)
工業団地や金剛山観光の再開問題などである。しかし、この時期に南北
会談を開くのは唐突の感がする。真の議題は、他にあったと思われる。そ
れは日本のヘイトスピーチではないか、と思うのは考え過ぎであろうか。
「韓国人を殺せ」というヘイトスピーチは、韓国政府にとっても、韓国人にと
っても一大事である。これは北朝鮮の人々にもあびせられた言葉と韓国
政府は受け取ったのであろう。当然、北朝鮮政府とも対応策を協議しなけ
ればならない、ということになったものと推察される。
しかし、今や各国ともに一国だけで問題解決策を決めること自体、困難
なことである。折も折、米中首脳会談の時期に重なってしまった。カメラの
前では、オバマ大統領も習近平国家主席も笑顔だったが、カメラに写され
ていないと思っている所では、相当深刻な様子が望遠レンズによるテレビ
で放映されている。これらの諸般の事情を勘案して、素人の政治アナリス
ト的な大胆な推論をしてみよう。
① もしも、日本と、韓国・北朝鮮が全面戦争になれば中国は一緒に戦う。
② 日本と韓国の全面戦争を米国は認めない。
③ 北朝鮮・中国と日本の全面戦争も米国は認めない。
④ ヘイトスピーチと同じ内容を日本政府が云うとは思われない。
⑤ 日本の右傾化は、米中で注視する。
⑥ 米国と中国の全面戦争は回避する。
⑦ 尖閣諸島は歴史的に日本に領有権があると米国は思っているが、中国
の主張も理解できる。結論は棚上げすべきではなかろうか。
日韓に関する米中首脳会談の一部協議内容は、このような結論だったの
ではなかろうか。当然、この結論は韓国と北朝鮮に伝達され、南北会談は中
止されたものと推測される。