「岡山野宿生活者支援の会」の総会と、奥田知志さん(NPO法人北九州ホームレス支援機構理事長)による記念講演がありました。会場のウィズセンターはいっぱいでした。2時間という時間を丸まる語り続けた奥田さんのお話。参加者全員、時間が経つのを忘れて、食い入るように聞いていたと思います。
「ホームレス」=絆を失った人びと。その人たちの「ホーム」になる、人生支援をするという「覚悟」とそのための着実な実践のなかで築かれたのでしょうね、彼の〈大きさ〉には包まれてしまいます。写真の何倍も何倍も大きく見えられる方です。東京であった全国福祉事務所長会議(800人)で話をした帰りだとのことです。厚労省も彼に学ぶべきことが多くあると判断しているのでしょう。
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たくさんの話をしてくださいましたが、奥田さんたちが行なうトータルな自立支援体制(有給職員43名)においての自立率は94%、自立継続率は91.1%という全国的にダントツの驚くべき数字です。自立率が落ちないのは、困ったときは相談に来れる、来るという信頼関係を築いているから。一方、自己有用感が、自立後、むしろ減る傾向があり、これが自分たちの課題であると。
二つの理由があり、一つは、支援・被支援の関係が固定化している。二つ目は、がんばっても月収15万円までで、なんのために生きているのか見通しの立たない就労の限界。そこで、今、考えられておられるのが、〈相互多重支援システム〉。フェア・トレードの東チモール・コーヒーを自家焙煎して、消費者に届ける。東チモールの農民にとっても、野宿者だった人にとっても、そして消費者にとっても、互いの自立と支え合いができると。
なるほど。私が携わってきたネグロス・キャンペーン岡山では、フェア・トレード商品/フィリピン・ネグロス産お砂糖を扱って来たわけですが、キャッチコピーにしてきたのが〈+αの美味しさ〉。そこにもう一つ、〈+α〉を加えるということなのですね。
ホームレスを生み出した今の地域社会は、復帰したい社会なのか。ホームレスを生まない新しい社会の形成が私たちのミッションだと。人の輪を重ねながら、ともに歩みたいと思います。