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粉飾決算でも大株主のためなら上場維持(キリッ)

2012-01-21 11:19:23 | 社会・経済
早いもので、年が明けて3週間が経ちますが。

いやいや、原発に政治、経済/企業と、ろくなニュースがありませんね。


昨日は、東京証券取引所によるオリンパスの上場維持が発表されましたが。


 オリンパス上場維持を正式発表 違約金1千万円 東証

 東京証券取引所は20日、オリンパスの株式について、上場を維持すると正式に発表した。
 過去の決算にうそ(虚偽記載)があったとして上場を廃止するかどうか審査していたが、
 虚偽記載が株式市場に重大な影響を与えたとまではいえないと判断した。

 一方、上場のルールには違反していたとして、オリンパスに対し、
 上場契約違約金1千万円の支払いを求めた。また、3年以内に企業統治を改善しなければ、
 上場を取り消す「特設注意市場銘柄」に21日付で指定する。


アサヒる新聞は、数日前にも東証による上場維持判断がなされる見通しとの
記事を掲載していたのですが、それに対して東証はホームページに
こんなコメントを掲載していたのですね。


 本日の一部報道について

 一部報道において、「当取引所がオリンパス株式の上場を維持し、
 特設注意市場銘柄に指定する方針を固めた」という内容の報道がなされましたが、
 同社株式の上場適格性については東京証券取引所自主規制法人において
 審査しているところであり、当取引所及び同自主規制法人が報じられているような
 内容を決定または公表した事実はございません。


ま、事実じゃないと言ってますが、決定も公表もしてませんと主張してるだけで、
その内容を否定してるワケではありませんでしたね。

で、昨日のホームページでは、堂々とオリンパス上場維持の発表です。


 上場契約違約金の徴求及び特設注意市場銘柄の指定等について-オリンパス(株)-


この内容について各メディアでも簡単に報道されてますが。
ここで「理由」とされているところを見てみましょうか。


 本件は、金融資産の運用により生じた多額の含み損を、本来はそれを財務諸表に
 計上すべきであったにもかかわらず、連結対象外の複数のファンドを
 利用するなどの方法で隠蔽し、純資産の過大計上を長期間にわたり継続したものです。
 さらに、同社は、企業買収の機会をとらえて、株式の買取代金や仲介者への手数料を
 過大に支払い、その支払額をファンドに送金して損失を埋めるとともに、
 財務諸表上は「のれん」の償却等を通じて含み損の解消を図ったものと認められます。
 これらは、歴代の代表取締役の了知の下で、経理・財務又は経営企画を担当する
 取締役等が関与し、管理部門の限られた幹部社員の主導によって、数名の社外関係者の
 協力を受けて巧妙な手法を用いて行われました。その結果、不適切な会計処理が継続し、
 判明した連結純資産の訂正は、最大で1,235億円にのぼるものとなりました。


ふむふむ。。


 一方で、一連の行為は、会社組織としての関与が認められるものの、
 その発端となった損失の発生やその後の隠蔽行為は、一部の関与者のみによって
 なされたものでした。また、これらは同社本来の主たる事業部門とは直接的に関係せずに、
 その事業の経営状況には影響が及ばない形で進められたものであり、不適切な会計処理は、
 売上高や営業利益には概ね影響していませんでした。


は? それが何か?
不正を続けた事実、犯罪性とは関係ないのでは?


 本件虚偽記載の内容については、財務諸表への影響は長期間に及んでいたものの、
 同社の事業規模を踏まえれば、その利益水準や業績トレンドを継続的に大きく
 見誤らせるものであったとまではいえず、同社の本業における経営成績を拠り所とした
 市場の評価を著しく歪めたものであったとまでは認められませんでした。
 このため、上場廃止が相当であるとする程度まで投資者の投資判断が著しく
 歪められていたとは認められませんでした。


意味分かりません。
自分なんかには意味がわからないように書いてるのでしょうか。
結局は市場にも投資家にもウソをついていたんじゃないですか。


 以上のように、本件虚偽記載の影響の重大性について総合的に勘案すると、
 上場廃止が相当であるとまでは認められないことから、同社株式について、
 監理銘柄(審査中)の指定を解除することとします。


えっと、結果的に影響が大きくなければ?
その大小の判断なんて主観でしょうが、影響が大きくなければ、
粉飾決算をしても大した罪ではないと、そういう理解でいいのでしょうか。


日本経団連新聞を見ると、こんな識者(笑)のお話しが掲載されています。


 「投資家保護の観点から妥当」 識者の見方

 早大法科大学院教授・黒沼悦郎氏
 投資家の保護を考えれば、上場維持の結論は妥当だろう。
 オリンパスは損失隠しの原因を探る調査をきちんとして関与者の経営責任も追及し、
 再発防止策もある程度講じられた。虚偽記載の訂正後も債務超過ではなかったので、
 オリンパス株は投資適格性もある。


投資家の保護のため上場廃止に出来ないというなら、
いつ、どんな企業のどんなケースだって上場廃止にはできないじゃないですか。

そもそも投資家っていうのは常にリスクを負っているものじゃないのですか。

その利益が不正によって不当に損なわれることのないため、
会計なりが厳格に監査されるべきものであるはずなのに、これでは、
企業の不正会計のために、投資家が不正な利益を上げてるってことには
ならないのでしょうか? 歪んでませんか?


日経では同時にこんな記事も。


 オリンパス、資本提携交渉が前進へ  大株主、上場維持に安堵

 オリンパスの上場維持が決まり、大株主からはひとまず安堵の声が出ている。
 株式市場での次の焦点は資本増強の行方。上場維持を前提に資本提携を
 検討していた企業にとっては不確定要素が消えたことになり、交渉が進みやすくなりそうだ。

 オリンパスの株価は昨年11月上旬に損失隠しを公表する直前に比べ
 一時6割安まで下落したが、20日終値は公表前の水準を上回る。
 市場は先回りして「上場維持をすでに織り込んでいた」(国内証券)とみられる。

 大株主の日本生命保険と三菱東京UFJ銀行はそれぞれ
 「東証が適切に判断したと受け止めている」などとコメント。
 メーンバンクの三井住友銀行も「上場維持は再建にとって望ましい」と述べた。
 テルモも「従来通りの提携関係を維持する」考えだ。
 米投資ファンドのサウスイースタン・アセット・マネジメントは上場維持を
 「喜ばしい」としたうえで「新取締役を選び、経営を主導すること」を改めて促した。
 (以下略)


なあんだ、「投資家の保護」なんて耳障りのいいこと言って、
やっぱり大株主の大企業を守りたかったのですよ。

 「東証が適切に判断したと受け止めている」

ですって。


ま、東証はこういう判断をしたわけですが、この会計事件、
企業もしくは個人に刑事罰が問われることにならないんですかねえ。

そうなった場合でも、上場維持は適切なんでしょうか。